【小麦活性化プロジェクト】安心・安全なうきは産小麦粉の魅力を発信!
焼きたてのパンからふわりと漂う、香ばしく優しい香り。
思わず幸せな気持ちにさせてくれるパンの香りの正体は、
そう、小麦だ。
福岡県産の小麦生産量は全国2位
小麦と言えばアメリカやオーストラリアなど、
外国の広大な大地で栽培されているイメージが強いかもしれないが、
日本でも食料自給率を高めようと
国産小麦の価値が見直されつつある。
実はここ福岡県でも小麦が盛んに栽培されており、
その量は全国でも第2位を誇るほど。
その中でも県南部の「うきは市」は、
福岡県の小麦生産量を支える代表的な小麦の生産地だ。
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うきは市での小麦栽培の歴史は古く、
江戸時代中期の筑後川治水工事から麦の生産が始まったと伝わる。
夏に米、冬に麦を栽培する日本最大の二毛作地帯でもあるように、
うきは市一帯は豊かな土壌に恵まれ、
“九州三大麺どころ”としても名を馳せる。
「にもかかわらず、
地元の方でも日頃使っているのは外国産の小麦粉が多いんですよ」と
教えてくれたのは、松尾潤一さん。
この後に紹介する「うきは『小麦』活性化プロジェクト」の代表だ。
小麦粉は食感を出す等の理由によって
国産の小麦粉でも外国産と混ぜることが多く、
純粋な国内産小麦は極めて希少になっているそう。
しかも食品表示法によると、
パッケージに表示される「◯◯産」は
最も重量割合が多いものが記載されるため、
外国産の小麦が混じっているとは知らずに使っているケースも少なくないという。
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「地元の粉があったら使ってみたい」との声に励まされて
「国産小麦にシフトしつつある今こそ、
産地が目にみえる小麦、
安心・安全に食べられるうきはの小麦を提供したい」。
そのに想いよって、
2021年9月に「うきは『小麦』活性化プロジェクト」が始動した。
プロジェクトの発端になったのは、
うきは市の建設会社「稲富組」代表の稲富幸生会長の
「うきはが誇る麦の文化を大事にせんといかん」という声掛けだった。
これを受け、
当時「福岡銀行吉井町支店」の支店長を務めていた
松尾さんを筆頭に有志が集まり、
うきは市産小麦の生産から販売までのスキームを整える組織
「うきは『小麦』活性化プロジェクト」が発足。
立ち上げには松尾さんの他に、
農業生産法人「みずほファーム」の石井取締役、
「浮羽究真館高校」ラグビー部監督の吉瀬先生、
製麺加工の「栗木商店」代表の栗木社長、
福岡を代表するフランス料理店「ジョルジュマルソー」オーナーシェフの小西代表、
うきは市の人気ベーカリー「ぱんのもっか」オーナーの吉岡代表
という多業種のメンバーが集まった。
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1年目 産地限定小麦粉誕生
うきはの小麦は肥沃な土壌とミネラル豊富な地下水によって育まれ、
味や品質に優れていることはもちろん、
外国産特有のポストハーベスト等の
農薬を使わずに栽培されることも特徴。
「ミナミノカオリ」「チクゴイズミ」「シロガネコムギ」
という3つの品種が栽培され、
それぞれ強力粉、中力粉、薄力粉という
用途が異なる小麦粉を生産できる。
プロジェクトではまず1年目に、
うきは産100%の小麦を使った産地限定小麦粉を製品として誕生させた。
安心・安全に食べられるだけでなく、
製粉過程で石臼を使うことできめが細かく、
風味と香りが際立ち、なおかつふすま分を合わせて挽くことで
ミネラルや食物繊維も豊富な小麦粉が出来上がった。
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さらに活動の幅を広げ…
2年目からは
うきは産100%小麦の魅力を広めるために、
オリジナルの小麦商品の開発へと本格始動していく。
新たに「うきは小麦新商品開発協議会」を発足し、
うきは産小麦で作った麺やパン、
スイーツなどのオリジナル商品の開発を進めている。
次世代を担う子どもや学生たちに
うきは産小麦の魅力を広める体験活動にも力を入れ、
市内の公立高校「浮羽究真館高校」の生徒とは、
商品開発実習や麦踏みイベント体験などの
さまざまな取り組みを進めているところだ。
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活動は3年目に突入。
これからのプロジェクト活動
そして活動3年目には
うきは産100%の産地限定小麦粉のブランド化に向け、
「うきはん小麦」として商標登録を申請。
市内の「JAにじ耳納の里」で昨年12月に行った
新商品お披露目披露会では、
完売するほどの大盛況となった。
「ぱんのもっか」をはじめ、市内のベーカリーや菓子工房でも
「うきはん小麦」を使った商品が製造されているという。
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「成熟していない組織なので、活動はまだまだこれから。
小麦ふすまを使ったエコな食器を作ったり、
うきはん小麦を使ったスイーツを楽しめる観光施設を作ったり…。
メンバーやまちのみなさんと協力して、
そんな夢を実現できるように活動を盛り上げたいと思います!」