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【舞台挨拶レポート】映画『ONODA 一万夜を越えて』より、主演の遠藤雄弥が登壇! 「人の在り方というものを皆さんに問いかけるような作品になった」

太平洋戦争末期の1944年にフィリピン・ルバング島に渡った旧日本軍兵士・小野田寛郎を題材にした『ONODA 一万夜を越えて』が10月8日から公開スタートした。約30年間、終戦を知らされないまま秘密戦の任務を遂行し続けた実在の人物を演じた主演の遠藤雄弥が中洲大洋での舞台挨拶に登壇。キャストとスタッフが満身創痍になりながら撮影したという意欲作について語った。

Profile / 遠藤雄弥:1987年生まれ。神奈川県出身。2000年に映画『ジュブナイル』でデビュー。近年の主な出演作は映画『無頼』(’21)、日本テレビ「ボイスII 110緊急指令室」など


――公開を迎えた今の気持ちを聞かせてください。

遠藤:中洲大洋劇場に来るのは今日が初めてですが、本当に素敵な劇場ですね。古き良き趣もありつつ、『ONODA 一万夜を越えて』という作品にもぴったりだと思います。『ONODA 一万夜を越えて』は2018年11月から2019年3月までカンボジアで撮影をしていて、本来であれば去年のカンヌ国際映画祭を目指していましたが、コロナ禍の影響もありつつ、「いつ上映できるのかな」という一抹の不安も抱えていました。僕だけでなくキャストやスタッフ、監督もみんな嬉しい気持ちでいっぱいと伺っています。

 

――本作は遠藤さんの新たな代表作となりましたね。

遠藤:ありがたいことにキャリアの中でも1度あるかないかというぐらい、素敵な作品に参加させていただいたと思います。小野田さんという、実際にフィリピンの島で約30年間壮絶な時間を過ごされている方を演じる意義もありました。正直な話、小野田さんについて僕は知らなかったんです。参加するにあたって小野田さんの文献などを拝読させていただいたんですが、「非常に強い意志をお持ちになって孤独な時間を過ごされていたんだな。これはしっかり演じなきゃいけないな」という思いで演じさせていただきました。小野田さんを知らない若い世代の方々にもこの作品を観ていただいて、人間の美しい部分を感じたり、心に何か響くものがあれば嬉しいなと思います。

 

――今作出演までの経緯は?

遠藤:2018年の2月か3月頃にオーディションの話をいただいて、アルチュール・アラリ監督が来日されているタイミングで面接があり、海外のクリエイターの方と映画を作ること自体貴重な機会だと思っていました。これまでオーディションは何千回と受けていますが、基本的に落ちるものと思って受けているんですね。ただ、監督とのセッションが凄く楽しくて、是が非でもこの方と一緒に映画を作りたいなと心底思いました。


――役作りについても聞かせてください。減量はとても大変だったのでは?

遠藤:僕だけではなくて津田寛治さんや松浦祐也さん、カトウシンスケさん、井之脇海さんなども、減量のアプローチの先にある登場人物の精神性までもしっかりと作り込んでこの作品に全員臨まれていました。減量については、僕はざるそばかサラダの毎日1食という生活を2カ月ほど続けました。余談ですが、僕はふだん体重60kgですが、たしか15kgぐらい落としていたんです。ロケ場所のカンボジアに入る前に松浦さんと加藤さんと新宿の喫茶店でお茶をしたんですが、僕の方が先にカンボジアに入るスケジュールだったので「いよいよですね」なんて話していると、松浦さんが「遠藤くん、ちょっと痩せすぎだよ! もうちょい太った方がいいよ」と。そのまま現地入りしたら案の定監督から「遠藤さんがちょっと痩せすぎで、このままだと津田さんがもっと痩せなきゃいけなくなってしまう」と言われてしまって。撮影がほぼ順撮りで、ジャングルに入ってからさらに痩せないといけなかったので、袋いっぱいのピーナッツバターや食パンを調達していただいて、今度は太るように努めました。いきなりご迷惑をおかけしちゃいましたが(笑)。噂によると津田さんも痩せすぎてしまったみたいで、監督から注意されたらしいんです。

 

――おふたりともストイックすぎたんですね(笑)。そして、遠藤さんが小野田さんを演じるシーンは常に緊張感が溢れていました。撮影現場の雰囲気はいかがでしたか?

遠藤:僕らクルーが滞在していたのはカンボジアのカンポットという町で、首都から5時間程度の場所にある小さな港町ですが、気候が温かくて時間がゆっくり流れていてリラックスしたムードが漂っていました。ただ、こういった作風なので緊張感もありましたね。スケジュールで言うと週休2日だったんです。なので体を休める時間もありました。メリハリをつけながら良い環境で撮影ができていたと思います。

 

――撮影の中で特に印象的な出来事は?

遠藤:高熱と、やはり皆さん具合が悪くなってしまって。満身創痍で撮影したのが印象に残ってますね。水がどうしても日本とカンボジアでは多少違うので。生野菜も美味しいんですが日本人の体には合わないのか、バタバタと「今日はこの人、次はこの人」と、キャストだけでなくスタッフもダウンしていって。「今日は監督具合悪いらしいよ」と聞くこともありました。ただ、この作品には凄く合っていたのかなと。だからこそ生まれた絆もありました。

 

――ありがとうございました。最後に、メッセージをお願いします。

遠藤:この作品を通して何か心に響くものを共有していただけたら。今はコロナ禍で、もしかしたら人々が分断されてしまうような局面にあるという中で、まさに人の在り方というものを皆さんに問いかけるような作品になったと個人的に思っていて。皆さんが明日からも生きていく上で何か良い影響を与えることができたら幸いです。

■映画『ONODA 一万夜を越えて』公開中

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