むにゃむ物語 第四章 ~50のほしのひみつ~
がばっ——!
むにゃむは、布団の中から飛び起きました。
ドキドキ、ドキドキ、心臓が激しく踊っているようです。
ぶどう畑の匂いも、
あじむくんだった体も、
子どもたちと駆け回って、汗びっしょりだった感触も、
さっきまで確かに・・・あったのに・・・。
ぜんぶ、夢だったのか。
「むにゃ・・・・・・むにゃ・・・・・・むーー?」
むにゃむは、ベッドの上でぼーーーんやり!
あんまりリアルな夢だったから、
心のどこかが、あじむくんのまんまです。
窓の外からひんやりとした風が吹き込んで、
カーテンをふんわりと揺らしました。
むにゃむはあわてて、
廊下に飾られたベネチアンミラーに飛んでいき、
全身を鏡に映してみました。
「あれーーーー!」
体が真―――っ白!とってもかわいいむにゃむが立っています。
やーっぱり、あれは夢だったのかな?
「むにゃ・・・・・・むにゃ・・・・・・クシュン‼」
お部屋の揺れるカーテンが、秋の終わりを告げているようです。
そういえば、朝も夜もめっきり肌寒くなってきました。
ブルブル・・・今朝はその中でも特に冷え込む一日。
「大変だ・・・ブランケット、ブランケット・・・ふんわりブランケット、探さなくちゃ・・・。」
一生懸命探したけれど・・・押し入れ、タンス・・・どこにもない。
「むにゃ・・・むにゃ・・・・・・むーー!」
むにゃむは、ハウズへ向かって駆け出しました。
ビューン!すごいスピードです。
「わ—――っ!いっぱい!」
ハウズに着くと、むにゃむは思わず叫んでしまいました。
「ブランケット、ブランケット・・・ふんわりブランケット」
棚には、色とりどりのブランケットがずらりと勢ぞろい。
「この模様、かわいいな」
「あっちの色のは素敵だな」
あれやこれやと、目移りばっかり!そっと手にするとその肌ざわりに、むにゃむはうっとり!
「眠たくなってきちゃった・・・むにゃ・・・むにゃ!」
夢中になってブランケットを選んでいると、お店のあちこちから声が飛びます。
「こんにちは、むにゃむ!元気?」
「やあ、むにゃむ、ひさしぶり!」
「ずいぶん会わなかったね」
いつも通りのにぎやかなハウズの一日・・・のはずだったのですが、むにゃむは、あることに気づきました。
会う友達、会う友達、みんな背中に、見慣れない星のマークがキラキラ・・・
銀色に光る大きな星に・・・「50」のマーク。
「これって・・・・・・なーに?むにゃ・・・・・・むにゃ・・・」
むにゃむは、気になって気になって、こっそりお店の隅っこから、お母さんに電話を・・・。
「むにゃ・・・・・・むにゃ・・・お母さん? あのね・・・みんな背中に、キラキラ星を付けているの。
真ん中に50ってマークがあって、凄くカッコイイんだけど・・・あれって、なあーーーに?」
お母さんは、電話の向こうで「くすっ!」と笑ったようです。
「それはね、ハウズの仲よしさんが50歳になったお祝いよ。
だから、沢山のお友達が『50』の星を付けて、お祝いに来ているの」
「むにゃむにゃ・・・50歳!すごい!」
50歳・・・つまり50周年です。むにゃむは、初めて知りました。そして、お母さんはもうひとつの秘密を教えてくれました。
「ハウズは『アプライドグループ』っていう、大きな仲間たちの一員でもあるのよ」
「むにゃむにゃ・・・・・・びっくり!」
「よく分かんないけどハウズには、こんなにたくさんの仲間がいたんだ」
むにゃむは、なんだか誇らしいような、くすぐったいような気持ちです。
さらに、さらにお母さんの弾んだ声は続きます。
「50周年のお祝いだから、大抽選会があるんですって・・・
むにゃむ坊やの可愛いぬいぐるみだけじゃなくて・・・安心院ワインまでも当たるんですって!素敵ねーーー!」
「むにゃむにゃ!安心院ワイン?―――あじむ・・・あ・じ・む・・・。」
その言葉を聞いた途端、むにゃむの胸が、きゅん!と高鳴りました。
あじむ・・・・・・あじむ・・・・・・。さっきまで見ていた夢の中の景色が、頭の中でぐるぐると回りだします。
あの夢は、ただの夢だったけれど・・・。
「夢の中じゃなくて、本当のあ・じ・む・く・んに会ってみたいな!」
そう思うと、むにゃむは、懐かしい気持ちでいっぱいになります。
「むにゃ・・・・・・むにゃ・・・・・・!むーーー!」
窓の外では、秋の風がまた一つ、季節を運んでいきます。
むにゃむの小さな胸の中で、「ワイン色のあじむくんに会いたいなー」という期待が、むくむくとふくらんでいくのでした。
「むにゃ・・・・・・むにゃ・・・・・・!むーーー!・・・・・・むにゃ!」
むにゃむの物語は、まだまだ続きます。
番外編