むにゃむ物語 サイドストーリー ~うちの むにゃむ のふるさと~
物心ついた時から、家にいた白いぬいぐるみ。
あたりまえの家族だと思っていたその子に、
実は誰も知らなかった「ふるさと」がありました。
女の子の家には、物心ついたときから、いつもそばにいる相棒がいました。
真っ白でふわふわの、まんまるいぬいぐるみ「むにゃむ」です。
いつから家にいたのか、女の子は覚えていません。
気づいたときにはもう、ベッドの隣にいました。
一緒にお昼寝をして、一緒に大きくなってきた。
ただそこにいるだけなのに、なんだかいつも安心する。
女の子にとってむにゃむは、いつのまにか
「家族の一員」になっていました。
ある夏、女の子は家族と一緒に、お母さんのふるさとへ帰省しました。
おばあちゃんの家の近くを散歩していたとき、
ふと目に留まったのが、小さな雑貨屋さん「ハウズ」の看板でした。
「かわいいものがいっぱいありそう」
——そんな軽い気持ちでドアを開けた瞬間、女の子は目を丸くしました。
店のいたるところに、むにゃむがいたのです。
棚の上にも、レジの横にも、窓辺にも。
見渡す限り、むにゃむ、むにゃむ、むにゃむ。
おまけに、店内には聞き覚えのある「むにゃむのうた」まで流れています。
まるで、むにゃむの世界にまぎれこんでしまったようでした。
「どうして、こんなにたくさん…?」
戸惑う女の子に、
お母さんが少し照れくさそうに種明かしをしました。
「実はね、あなたが小さいころ持っていたむにゃむのぬいぐるみ。
あれ、お母さんがこっちに帰ってきたときに、このお店で買ったものなんだよ」
ずっと「家に当たり前にいた家族」だと思っていたむにゃむに、
こんなないしょの顔があったなんて。
女の子は驚きと嬉しさで、胸がいっぱいになりました。
それからは、もう夢中です。
店中のむにゃむと、代わる代わる記念写真。
棚の隅で見つけたちょっと変わった顔のむにゃむにも、
思わず話しかけてしまいます。
たくさんのむにゃむに囲まれているうちに、
女の子の目には、気づけば涙がにじんでいました。
うれしくて、なつかしくて、なんだかとても温かい涙でした。
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