トップに
戻る

~宇佐神宮、 御鎮座1300年 祈りの地をめぐる旅~ vol.3⛩️

神も仏も、祈りはひとつ。
宇佐神宮と富貴寺、1300年をつなぐ対話。

神仏習合。そのルーツを語れる人がいる。
1300年の節目を迎える今、語り継ぐべきは「祈りの本質」。
神社と寺、それぞれの視点が、ひとつの想いに重なっていく。


祈りとは、
“営み”の連なり

宇佐神宮 権禰宜 山本宗龍さん

 

『宇佐神宮』は、全国約4万社ある八幡社の総本宮です。
 2025年は、鎮座1300年の節目。そして10年に一度の『勅祭(ちょくさい)』の年でもあります。
 勅祭とは、天皇陛下の勅使が参列される特別な祭祀で、全国でもわずか16社しか執り行われていません。九州では宇佐神宮と香椎宮のみ。期間中は、呉橋と呼ばれる特別な橋も渡ることができます。10月4日には、小笠原流と武田流による流鏑馬神事も予定されています。
 『宇佐神宮』とひとくくりに言っても、境内には20の神社が点在しています。

宇佐神宮の西大門

 今年5月には、約4年に及んだ西大門解体・改修工事も竣工されました。檜皮葺きの屋根と鮮やかな朱が、往時の美しさを現代によみがえらせています。
 どれほど価値ある文化財でも、守り手が手をかけ続けなければ、やがて朽ちてしまいます。一つの修復が終われば、次の手入れが必要になる。その繰り返しの中で、いつ訪れても心地よい空間を保ち続けること――それもまた、祈りのかたちなのだと思います。
 1300年という歳月の中には、数々の祭事、神様とのつながりがなされています。「今日をどう生きるか」を問い続けた人々の日々の選択と行動の積み重ねがあるのです。一見、変わらない日常を丁寧に生きること。それこそが〝祈り〞であり、未来へ続く終わりなき営みなのだと感じています。

 

  宇佐神宮

【所】大分県宇佐市大字南宇佐2859

【☎】0978-37-0001

【営】6:00~18:00


心を開いて
生きるための祈り

富貴寺 副住職 河野順祐さん

 

 豊後高田市にある九州最古の木造建築・『富貴寺(ふきじ)』は、平安末期、末法思想が広まるなかで建てられた阿弥陀堂です。

富貴寺

 「この世では救われないなら、せめて来世は極楽浄土へ」。そんな祈りが壁画や装飾に込められた、時代の願いの結晶です。このお堂は、当時の『宇佐神宮』の大宮司によって建立された祈願所でもありました。

富貴寺の中にある壁画

 鎌倉時代以降、武士の勢力が強まる中で地域のお堂のように使われるようになり、やがて無住に。戦時中には屋根さえ失った荒れ寺を継いだのが、私の祖父です。貧しさから寺に小僧として預けられた祖父は、比叡山での修行と戦地を経て帰郷し、『富貴寺』の住職として、建物と信仰の復興に尽力しました。
 私自身も、僧侶になる前は湯布院のそば屋で働いていた時期があります。慣れない環境に馴染めず、心が沈んでいたとき、大学時代に読んだ坐禅の本を開きました。そこで「坐禅の時間が取れなくても、自分と向き合うことはできる」。そんな一節に、ハッとしたのを覚えています。
 天台宗では、坐禅を『止観(しかん)』といいます。心を止め、己を観ること。特別な場を設けなくても、数分だけでもスマホを置いて深呼吸するだけで、心が少しずつ開かれていきます。そうすると、ものの見え方が変わる。不安ではなく、今というありのままを俯瞰で見ようとする姿勢が立ち上がってきます。祈りとは、誰にでもできる小さな営み。日常のなかにそっと差し込む、しずかな希望のかたちだと感じています。

 

  富貴寺

【所】大分県豊後高田市田染蕗2395

【☎】0978-26-3189

【営】8:30~16:30

バナー広告募集中
SNS運用代行サービス