【インタビュー】映画『悪鬼のウイルス』で村重杏奈が映画初主演!「シリアスなシーンがたくさん。バラエティ魂は楽屋で発散していました」
HKT48を卒業以降、バラエティ番組を中心に“無双”状態の村重杏奈がついに主演女優としてスクリーンデビューを飾る。映画の現場では自身を「初心者」と呼び、無我夢中で演技に挑戦。ホラー映画の『悪鬼のウイルス』で初々しくも体当たりの演技を披露している。
今後は女優としてもさらなる飛躍を……といった話にはならず、あくまでも「バラエティという軸はブレずにこれからも頑張っていきたい」という語り口も素直で真っすぐな彼女らしい。本人にとってかつての活動拠点である、所縁の深い福岡で話を聞いた。

●村重杏奈
’98年生まれ。山口県出身。’21年12月に約10年間在籍したアイドルグループ・HKT48を卒業。日本とロシアのハーフタレントとして、持ち前の明るくポジティブなキャラクターを生かしてバラエティ番組を中心に活躍。ファッション誌やイベントでモデルとしても注目を集めている。
1つでも誰にも負けないものがあれば、
ギャップとして違うことができる。
それは自分でも新しい発見でした。
――ホラー映画の今作で主演女優という大役を務められています。オファーには驚いたのでは?
そうですね。感じたことのないプレッシャーを初めて感じました。最初は番組の企画かと思ってオファーを信じていなくて「はいはい」とか言ってたんですけど、顔合わせとか本読みみたいなリアルな予定が入ってきて、「これ、さすがにドッキリじゃないな」と。バラエティは基本的に台本がないので「自分の言葉で好き勝手にやってください」というのがマストですけど、台本がしっかりあってセリフがあるというのは、不安がありました。あまりにも“バラエティの村重”というイメージが皆さん強いと思うので、作品に入りこませることができるのかなとか。でも、緊張する暇もなく撮影が始まっていって。周りが経験者ばかりなので、「主演がこんな人でいいの?」と思われたら終わりだなと思っていたので、そう思われないように台本もしっかりおぼえていって、おぼえなくていいところもおぼえていったりとかしちゃって。全部が初めてのことだったので、10日間撮影があったんですけど、プレッシャーだらけの10日間でしたね。
――飛び込んでみた映画撮影の現場はいかがでしたか?
やっぱり難しいですね。ただセリフを言うことはできますけど、 その子の気持ちになってセリフを言うということがまず頭になかったんです。撮影現場でお昼休憩中とかに「日奈子のここの感情はこういう感じだよね」って問いかけてくるんですよ。「そうだったんだ」みたいな、共演者の言葉によって気づけたことがたくさんありました。私も含め共演者の太田将熙くんはYouTuberの役だったので、実際に都市伝説を調査しに行くYouTuberの方々の動画をめっちゃ観たと話していて、「そこまでしなくちゃいけなかったんだ…」と気づけたり。でも松野友喜人監督には「村重さんらしい感じでいってください」という風に言われていて。映画の前半の30分ぐらいは私たちがYouTuberとして撮影した映像が実際に使われているんですけど、私は自分でもYouTubeチャンネルを持っていたりするのでわりとカメラとか扱えて。それに対して「カメラ、もうちょっとブレてもらっていいですか」と指摘が入ったりして、そういう具合は難しかったし、本当に初心者だったので大変でした。

――松野監督は村重さんと同い年なんですよね。
そうなんですよ。映画の現場って、監督さんが恐いみたいなイメージがあるじゃないですか。すっごいビビりながら現場に入ったんですけど、同い年ってこともあって、お互い相談し合いながら、「アイデアを出しながら撮影進めていきましょう」みたいな感じで。私も途中で、演じる中でちょっとしたプライドが出てきたりして、「ここは日奈子はこういう感じだと思います」とか言って意見出し合って。監督も「僕もそう思います。それでいきましょう」みたいな、「今、女優っぽいことしたな」とか思ってみたりして(笑)。すごく親身になってくださったので、そういう面では助かりました。
――映画の中盤からアクションシーンが多数登場しますが、極限状態での心理描写も印象的でした。
私は逃げ惑う役でアクションシーンはなくて、なんなら守られてばっかりな頼りない主人公ではあるんですけど、実は日奈子が一番ずる賢かったんじゃないかなとか思ったりします。太田くんの演じる智樹に対する感情がいけない方向に出ちゃったり、「ここでそんな思考に!?」というのも日奈子らしさだったりして。4人のYouTuberたちのお互いの腹黒さが見える瞬間もあったりとかして、リアルな人間関係だなと思いました。あとは、私たちは子どもと大人の境目の人間を演じていて、登場人物たちの感情が結構複雑だったりするので、そういう風にいろんな目線で何回観ても面白い映画になっているんじゃないかなと思っています。
――村重さんだったら、映画のような状況でどのように行動すると思いますか?
パニックになるタイプだと思うし、最初に鬼になるタイプです(笑)。パニックになって一番わけわかんない選択しちゃうと思うので、そういう面では日奈子は結構大人だったのかな。
――共演者は皆さん年齢が近い方ばかりですが、撮影の裏側の雰囲気は?
私はしんみりするのが本当に苦手で。演じている中でシリアスなシーンがたくさんあったりして、やっぱり騒ぎたいというか、バラエティ魂が出てきちゃったりする時もあったので、そこは楽屋で発散させてもらって、周りから「すごいね。本当に楽屋番長だったんだね」と言われるぐらいでした(笑)。「でも、それで助かった」とも言ってもらえたので、HKT48時代の楽屋番長がここで生きるのかと思いました。

――村重さんのように、不慣れな場所でも臆せずに飛び込んで存在感を出すというのは、どちらかと言うと最近の若者などは苦手に感じている方が多いと思います。改めてそのコミュニケーション能力には驚かされます。
こればっかりは、村重はもう自分のことをモンスターだと思ってますから。“コミュ力お化け”だなと。ただ、アイドル時代は自分を出せずになかなか前に出られないとか、いろんな反抗期があったりして、大人とぶつかってとかもある中で、「あの時もったいなかったな」と思えるから今があるなとも思います。そういう時期も大事だと思うんですよ。人それぞれなので無理に「頑張れ」とも言えないんですけど。村重みたいに場を盛り上げたり、明るい自分で仕事している方が楽という人ももちろんいると思うけど、いろんなことを言われたり、生きづらい世の中だなと自分でもすごく感じているので、とにかくメンタルが負けないように気をつけてほしいです。「この自分が好きだ」と思えたら結構乗り越えられる壁がたくさんあるので、それが本当の自分でも、なりきっている自分でも、スイッチとして持っていれば意外とやりきれるなと。そういう風に楽に思ってほしいなとは思います。
――村重さんならではの言葉ですね。最後に、今回の経験を経て自分自身になにかフィードバックできそうなことはありますか?
今回、どこかの誰かが「村重杏奈のギャップを見せたい」と思ってくれたのかなと思うと、それはバラエティの村重があってこそだと思うんですよ。自分がまず1つ頑張りたいと思ったことを頑張った上でのお話だと思っているので、続けてきてよかったな、間違ってなかったなと思って。ブレずに続けることに意味があったんだなと思うので、これで「村重は女優業を頑張ります」とか言い始めたらブレブレですよね。なにか1つ、「絶対にこれだ」と言って、その目標に向かって進んでいくことがいかに大事なのかということに気づきました。
――1つを貫いた結果として、演技の仕事にも今回広がったと。
だからこそ、今回バラエティとは違う村重を見せられると思います。1つでも誰にも負けないものがあれば、ギャップとして違うことができるので、それは自分でも新しい発見でしたね。
■映画『悪鬼のウイルス』(PG12)

悪鬼のウイルス / 1月24日(金)イオンシネマ系列全国ロードショー
二宮敦人の同名小説を、HKT48の元メンバー・村重杏奈を主演に迎え、松野友喜人監督が映画化したイニシエーション・ホラー。
都市伝説調査の動画撮影のために神隠しの噂がある村を訪れた4人の若者が消息不明になる。村の入り口で発見されたビデオカメラには、驚愕の映像が記録されていた。
配給:イオンエンターテイメント
劇場公開日:2025年1月24日
