【SANTA ANA GARDEN
STORY Vol.４】未知の世界への探求心が僕たちの仕事の原動力。

2024年02月20日 公開

見たことのない植物　見たことのないパン

藤吉　平山さんとは、南区にあるフラワーベースショップ [ブルーモ] 王寺さんを通じて知り合ったんでしたね。ちょうどここ [ストック]をオープンされる前で、お店の植栽について相談いただいて。

平山 　僕が [ブルーモ]で買った 鉢を見せて、これに合う面白い植物を探して欲しいって、無　　　　茶振りをしたんですよね (笑)

藤吉　 いえいえ、そういう依頼は大歓迎ですよ。 面白い植物を探すのが僕の仕事ですから。

平山　持ってきていただいた「スギ」を見た時は驚きました。

藤吉　あれは「スギ」の中でも、突然変異で曲がった樹形を持つ石化・綴化 (てっか) という変異種で、さらに葉や組織の葉緑素が失われた斑 (ふ)入りなので、 かなり珍しいと思います。

平山　斑入りの植物って光合成能力が低いと聞いていたので、ヒヤヒヤしながら育てています。 購入したとは言え、預かっているようなものですし、何年もかけて成長してうちに来たと思うと、枯 らさないようにしてあげたいですしね。

藤吉　綴化も斑入りも突然変異 のようなものなので、とてもレアな個体なんです。だからこそ発見した時に、見たことのない植物だっ!て感動がありますよね。

平山　僕が面白い植物を見るとテンションが上がるのも、日頃から「見たことのないパンをつくりたい」と思っているからかもしれません。今日なんて、トマト缶の中に小麦粉を入れ て、キュウリを合わせたら、ガスパチョみたいなパンができないかなって、 実験していたんですよ。

藤吉　スープみたいなバンですか、面白いですね。

平山　パンって、粉と水と塩に天然酵母を混ぜておくと、翌日には生態系ができているんです。生き物を飼う感覚に近くて面白いんですよ。うまくいくこともあれば、悪い菌が増えちゃうこともある。でもそういった失敗って人から教わるんじゃなくて自分で 経験することが大事だと思うんです。成功と違って失敗って絶対に忘れないじゃないですか。

藤吉　そうですよね。失敗することで自分の中にデータが蓄積されていきますもんね。

植物を育てるコツは「好き」になること

平山　トライ&エラーが大事なのは、植物を育てる時も同じですよね。これまでに何度枯らして悔やんできたことか・・・

藤吉　子育てと同じで、可愛いだけじゃなくて大変なこともあるけど、その一筋縄ではいかない所が、生き物の面白さだと思います。失敗から得た知識や経験を持って接すれば、植物は必ず応えてくれますしね。

よく植物を上手に育てるコツを聞かれるんですが、1番の近道は「好き」になることだと思うんです。僕が個性的な植物を探すのも、見たことのない植物への好奇心からで、好きで楽しいことだから続けられる。平山さんのパンづくりも「好き」が原点にあるのがいいなって思います

平山　僕の実験はマニアックな趣味みたいなものですが(笑)自分が没頭してエネルギーを注ぎ込めるものがあることが、店の核たる部分を作ると思っていて、 仕事ってそういうのが大事だったりしませんか?

多くの人に売れる商品と、自分の「好き」は少し違っていて、売れるものだけつくっていてもエネルギーって増えていかない。一見遠回りのように見えるけど、自分のエネルギーを増やすことをちゃんとやることが、ある意味効率がいいと思うんですよね。

藤吉　そういった所から新たな発想が生まれたり、結果的にそれが店の特徴になったりしますもんね。 自分の「好き」をお客さんが好きになってくれたら嬉しいですし…。

[サンタアナガーデン]のコンセプトの「あなたと共に生きる木を」という言葉には、植物を好きになって欲しいという思いが込められているんです。そのためには、ただ売るんじゃなくて、 お客様に合った植物を提案したいし、育て方の情報をシェアしたり、アフターケアも大切にしたい。

そういった植木屋が1つでも増えると、植物を楽しんでくれるお客さんがもっと増えるんじゃないかと思うんですよね。

あなたとともに生きる木を一。

人に個性があるように多様な美しさを持つ植物を 追い求め、 生産者を訪れて仕入れを行う [サンタ・ アナガーデン]。 1000にひとつ、100にひとつ誕生する個性的な樹形の植物を多く取り揃え、 店 舗や住宅の個性に合った植栽の提案を手掛ける。