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【福岡の頼れるお医者さん2022】化学免疫細胞療法で、がん治療は新たなステージへ「福岡メディカルクリニック」

福岡メディカルクリニック
院長 内藤 恵子先生

佐賀(医科)大学卒業。臨床研究科大学院で免疫学専攻。内科呼吸器科、米国ベイラー医科大学、高木病院予防医学センター勤務。2011年、瀬田クリニック福岡院長、2018年より現職。日本再生医療学会認定医。

 

福岡大学病院
消化器外科診療教授・医療情報部診療部長 吉田 陽一郎先生

産業医科大学医学部卒業。2010年より福岡大学消化器外科に勤務し、専門は大腸がん治療。福岡大学次世代がん治療研究所で『がんバイオバンク』を設立し、ストレス下でのがん遺伝子の変化についても研究中。

 


自らのリンパ球を再生し免疫を高めてがんを攻撃する


福岡大学病院消化器外科と福岡メディカルクリニックが協力。ステージ4の大腸がん患者の抗癌剤一次治療に免疫細胞療法を併用する治療を行ない、68.8%に効果(CR「完全奏効」及びPR「部分奏効」)を認め、疾病制御率(CR~SD「不変」の割合)は87.5%に及ぶことが確認された。その結果は論文で発表され、国内外から注目を集めている。

 

この治療ではどのような免疫細胞療法が用いられたのでしょうか?

内藤先生 今回は抗がん剤治療中の患者さんから採血してリンパ球を取り出し、そのリンパ球を培養、増幅、再生して体内に戻し、免疫細胞(キラーTリンパ球)によるがんへの攻撃を追加する「αβ(アルファ・ベータ)T細胞療法」を行ないました。抗がん剤によって傷つけられたがん細胞を、免疫を活性化して攻撃するというがん免疫サイクルによって標準治療の効果も高まり大きな成果が得られたと考えられます。

 


 

半数以上の人で部分奏効の効果が確認でき、しかもステージ4から完全奏効に至った方がいたことに驚きました。大腸がん治療を専門とする吉田先生はこの結果をどうご覧になっていますか?

吉田先生 大腸がんの治療効果は2~3ヶ月ごとにCTを取って画像で評価しますが、免疫療法を併用した患者さんも同様の評価を行ない、効果が出た方の多くが2~6ヶ月で縮小効果を確認できました。CR(完全奏効)は画像上で完全に腫瘍がなくなっていることを意味し、PR(部分奏効)はがんの直径が30%以上小さくなることなので、実際にはがんのボリュームが半分以下程度になっていることになります。今回の研究では対象となる患者数は決して多くはありませんでしたが、これまで大腸がんの患者さんで化学療法だけで完全奏効するケースは現実的にはごくわずかであったことを考えると、よい効果であるといえるでしょう。

 

内藤先生 吉田先生は抗がん剤の副作用への対処を研究されていて、同様な治療を受けている患者さんと比べると、吉田先生のところから来られる患者さんは副作用が少ないように見えます。患者さんの生活の質が維持できれば、それは免疫療法にとっても有益なことなんです。

 

吉田先生 がん治療にはガイドラインがありますが、患者さんの状態は人によって大きく異なり、現実的にはその通りに治療ができるわけではありません。時間の経過とともにがんは進行するので、身体条件が悪化する中でも治療を継続できるよう、サポーティブケアには十分配慮しています。

 


大学病院での抗がん剤治療と免疫細胞療法の併用は可能


 

これまでの成果を元に新たな研究もスタートしたそうですが、その概要とねらいについてお聞かせください。

吉田先生 今は順天堂大学下部消化管外科と日本医科大学消化器外科と福岡大学の共同研究で、ステージ3以下の大腸がんで手術適応の患者さんを対象として、抗がん剤と免疫療法を併用する臨床試験を行っています。現在の治療では、手術できれいにがんを切除できても、血液中に残ったがん細胞からの再発を防ぐのは難しいです。そこで、手術前にリンパ球を増やして、免疫の力で再発をできるだけ食い止めようとするのがこの研究の目的です。研究に同意して治療を受けた患者さんは、1年間は再発なく過ごしておられますが、今後も引き続き観察を続け、その成果を確認していくことになります。

 


 

がん治療は年々進化していることはわかりましたが、大学病院で標準治療を受けながら、免疫細胞療法を受けることは可能なのでしょうか?

吉田先生 今は患者さんがご自身で自分の治療の可能性を広げるため、保険外診療も視野に入れてインターネットで調べておられます。「こういう治療法があるので試してみたいです」と相談を受けた際は、その時に行っている化学療法との併用が問題ないと判断できれば患者さんの意思を尊重してクリニックを紹介しています。

 

内藤先生 今はがん治療でセカンドオピニオンを求めることも一般的になっていますので、当院にも相談に来られます。抗がん剤もこの10年ほどで大変進化していますし、免疫細胞療法もそうです。ただ、免疫細胞療法は大量生産できる薬剤による治療とは異なる究極の個別化医療。保険診療ではありませんが、治療効果を上げたい方には、可能性を広げる選択肢になると思います。これまでの研究から、身体の状態がいい患者さんは免疫療法の効果が出やすいことが分かっています。治療開始のタイミングは重要と考えます。

 

 


 

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