トップに
戻る

話題の『Maison (MY) Labo.』。世界で活躍するデザイナー・三原康裕を直撃インタビュー!

帰ってきた福岡路上文化のカリスマ。

福岡のストリートカルチャーから世界へ飛び立った
デザイナー・三原 康裕が、なぜ赤坂・けやき通りに
新店舗を出したのか。その理由を聞いてきた。

写真・丹野篤史 文・編集部

福岡市・東区出身のデザイナー・三原康裕。パリでのコレクション発表をはじめ有名ブランドとのコラボレーションやドリームズ・カム・トゥルーのステージ衣装プロデュースなど、世界を舞台に活躍する三原さんが、今年の9月、福岡市中央区赤坂・けやき通りの一等地に、自身のブランド初となるコンセプトショップ『Maison (MY) Labo.(メゾンエムワイラボ)』をオープン。
今回は福岡を代表するストリート・カルチャーのカリスマである三原さんに、コンセプトショップを故郷・福岡に出店したその理由と、今の心境を直撃インタビューした。

 

この歳になってみて、福岡っていい街だなぁと改めて思ったんよね。

「今年でブランドが25周年。来年には僕も50歳になるんですが、年を重ねるごとに、福岡ってやっぱりいい街なんだなって実感するようになったんです。東京の知人が『福岡っていいよね』っていう理由がよくわかるようになってきたというか。繁華街から空港にもすぐだし、海や山へもすぐ行けちゃう、コンパクトシティってところも魅力なんだけど、やっぱり一番はヒトかな。たまに帰省した時に、昔の知人や友人がみんな面白いことを今も街の第一線で面白がりながらパワフルに活躍しているのを目の当たりにすると刺激されるし、やっぱりそんな仲間や、この街自体に、何かしら関わって『恩返し』って言ったら大袈裟かもしれないけど、利他的な活動をしたいって思いが強くなって」。


取材当日はちょうど『メゾンエムワイラボ』のオープン前日。多忙なスクジュールを縫って、早朝から友人と三苫の海に出かけてサーフィンをしてきたという三原さん。年月が流れ、家族が増え、今の価値観で故郷を見たとき、そこに自分が育ったストリートの街並みはなかったが、刺激的な街と人の文化があったこと。それが出店を決めた理由のひとつだったようだ。
では、なぜ普通のブランドショップではなく、コンセプトショップにしたのか。その答えはショップの中にあった。

積極的に"実験"してみる。遊びをつくるために。

「とにかくゆるい感じで、好きなことを適当にやる。いい意味で無責任。でも自分たちのためでなく、利他的な考えで、“実験的な取り組みを行なう新たな空間”をコンセプトに、今回のショップをつくり上げました。だから、これからこの箱がどんな変化をするかは、僕にもわからない。でも、わからないから、ワクワクするし、面白くなる。そういう意味では、これからの時代を創っていく、若いクリエイター、高校生や中学生に“遊び”を積極的につくっていってほしい」。


最近話題となった三原さんの仕事に、〈GU〉とのコラボレーションがある。その時にも感じた、若者へ向けた思いが今回のショップにも満載のようだ。
「街の文化っていうものは循環するようになっていて。僕がまだ駆け出しで何者でもなかった時も、僕たちの作品づくりを支えてくれる先輩がたくさんいました。そんな90年代は就職氷河期だったり、天災もあって、めまぐるしく社会が変化していった時代。なんだかコロナ禍もあって、今の若い世代がその時の自分たちと同じだなって。だからアートでも洋服でも作品の持ち込みを大歓迎! でも、審査はちかっぱ厳しいけどねって書いといて(笑)」。
同じ福岡のストリートで育った先輩・三原さんが開いた「実験的路上文化の遊び場」。ぜひ新たな路上文化が育まれる場所になってほしい。

 

三原康裕
MIHARA YASUHIRO
1972年、長崎県生まれ。福岡市東区出身。多摩美術大学在学中に独学で靴をつくりはじめ、1996年に『Maison MIHARA YASUHIRO』を立ち上げる。1998年に初の直営店『SOSU MIHARAYASUHIRO』を東京にオープンし、翌99年に運営会社のSOSUを設立。2021年9月、コンセプトショップ『Maison (MY) Labo.』を福岡にオープン。

https://miharayasuhiro.jp/

ただ面白がればいい。『Maison (MY) Labo.』無責任取扱説明書

希少なコレクションを揃えた、ただの洋服屋じゃないから、
ただお目当のアイテムを買い物するだけじゃもったいない。
“実験的な取り組みを行なう新たな空間”
そんな前代未聞のストリートカルチャーショップ。
何に出会えるかはその時次第。明確な答えがないから面白い。
そんな偶然(必然!?)をただ面白がればいい。

普通じゃないから。考えるな、感じろ。

けやき通りに出現した、ちょっと異質なショーウィンドウ・アートは『Maison (MY) Labo.』のスピリッツを表現したシンボルだ。「答えを考えるより、何かを感じとってほしい」。そんなメッセージが聞こえてくる。ショップ前がバス停ということもあって、みんな振り向いては写メをする。そんな赤坂の新しいフォト・スポットになっている。

店内装飾すべてが貴重な芸術品だ。

入口正面で出迎えてくれるのがこちらのスモールハウス。まるで町のKIOSKのような売店スタイル。シンプルなデザインと飾らない建築設計がカッコイイ。『Maison (MY) Labo.』で使われている什器の多くは、三原さんの知人である『スマイルズ』の遠山氏が運営する『パス・ザ・バトン』より、オブジェやインテリアを譲り受け、アップサイクルしたものだとか。いずれもアートコレクションとしても通用する、ヴィンテージ級の貴重なものばかり。細かな装飾まで、じっくりと鑑賞するべし。

空間全体が醸す路上文化の空気。

前述した通り、このショップはただ買い物するだけのショップじゃない。だからこそ、ショップ内は商品で埋め尽くされるのではなく、あえてブランクスペースをあちらこちらに設け、什器も可動式することで、ヒト・モノ・コトの流れが、常に変化していくようにできている。それはまるで日々変化する、一つの「まち」のようでもあり、その余白からきっと新たなストリートカルチャーが生まれるに違いない。そんな文化創造の息吹もぜひ感じてみてほしい。

フリーク行列必至の最旬アイテムが目白押し!

世界中に多くのファンを持つ〈メゾン ミハラヤスヒロ〉。九州唯一のオンリーショップにはフリーク垂涎のスニーカーや洋服など最旬アイテムが勢揃い。希少なコレクションを目当てに、発売日には国内外から多くのファンが集まり、開店前から長蛇の列ができるほどの人気ぶりだ。

無責任だからこそ放つことができる光。

ショップの奥にはギャラリーが併設されているので要チェック。ギャラリースペースの名前は“無責任画廊”。「カルチャー、アート、サイエンスなど、可能な限り広く浅く。そんな適当で無責任なギャラリースペースです」と三原さん。無責任だからこそ、力強く放つことができる光がある。そんな作品のパワーを直に感じてみてほしい。最新情報は下記をチェック!

『Maison (MY) Labo.』無責任画廊 2nd Exhibition 青木京太郎 “VILOVILO”

 

『Maison (MY) Labo.(メゾンエムワイラボ)』

住所:福岡市中央区赤坂2-3-6 東急ドエルアルス赤坂1-B
電話:092-753-8518
営業時間:12:00~20:00
定休日:水・木曜
駐車場:なし
Instagram @maison_my_labo

法人様・自治体様向け情報サイトはこちら