【福岡肉本2025】福岡もつ焼き新時代 [1/2]
福岡もつ焼き新時代
もつ焼きとは、東京の下町に生まれた庶民の味である。
豚の内臓を串に刺して焼き上げるこの料理は、戦後の食糧難を背景に、
限られた食材を無駄なく使う知恵から生まれた。
関東では焼鳥と並ぶ定番として根づいたが、
福岡では長くその文化が定着することはなかった。
もつ鍋、酢もつ、そして久留米のダルム――
福岡には古くから“もつ”を食べる習慣があったにもかかわらず、
豚もつを串焼きにするというスタイルは地域に根づいてこなかった。
そんな中、2008年創業の『塩田屋』が、丁寧な仕込みと独自の調理法で
もつ焼きを打ち出し、福岡にもつ焼きの魅力を伝えてきた。
さらに2021年、西新に誕生した『てしまや』が関東仕込みのスタイルで注目を集め、
日常的にもつ焼きを楽しむ客層を広げた。
2022年には東京から『狼煙』が福岡に進出。
そして、2025年夏、平尾・警固で店を展開する『ふるや』グループが、
新たに『もつ焼き ふる矢』を開業するなど、専門店の動きが一気に加速している。
豚もつを串で味わうという選択肢が、今、福岡の日常に根づき始めている。
ここから先、この街の“もつ焼き”は、どこへ向かうのか。
新時代の入口が、今まさに開かれた。

| 早良区西新 |
『 もつ焼き てしまや 』
関東で培った技と心で
福岡にもつ焼き文化を紡ぐ

店主・手島佑太さんは福岡出身。かつては食品メーカーに勤めるサラリーマンだったが、転勤で千葉に7年間暮らす中、関東のもつ焼き文化に出会った。最初は「えー? 豚のもつ?」と半信半疑だったが、奥様のすすめで訪ねた千葉・成田の名店「寅屋」の味に感動し、次第に通うようになったという。

福岡へ戻ったときにこの味が食べられなくなるのは嫌だ――。そんな思いから「自分でやってみたい」と決意したのが34歳のとき。「寅屋」で1年半修業した後、福岡の焼鳥店で炭火の扱いを学び、2021年6月、西新に『てしまや』を開業した。

開店当初からのこだわりは、鮮度と丁寧な仕込みである。その日の朝に仕入れた豚モツは、その日のうちにすべて使い切る。部位の特性を見極め、丁寧に処理することで、脂の旨味や食感を最大限に引き出している。

4周年を迎えた2025年6月、多くの常連客がお祝いにかけつけた。「あっという間だった」と手島さん。2024年には紹介制の姉妹店「もつくみ」も始動。福岡にもつ焼き文化を広げていきたいという思いが、1串1串に込められている。


『もつ焼き てしまや』
[所]福岡市早良区西新4-9-3-3
[電]090-7980-4261
[営]15:00~OS21:00(木曜は16:00~、売り切れ次第閉店)
[休]月曜
[席]スタンディング約12名
[駐]なし
カード/不可、QRコード決済不可
[Instagram] @motsuyaki_teshimaya
| 中央区春吉 |
『 もつ焼 塩田屋 春吉 』
福岡のもつ焼きといえばココ!


もつ焼き文化がまだ定着していなかった2008年、創業者が「もつが好きだから」という純粋な理由で店を構えた。以来、春吉の地で一切の妥協なく、丁寧なもつ焼きを提供し続けてきた。現店主・古門昭寿さんがこの味と出会ったのは、客として通っていた頃のこと。「この味を継承したい」との思いからサラリーマンを辞め、この世界へ。修業を経て2018年に店を継いだ。受け継いだのは味だけではない。モツの処理や保存方法といった下処理の技術にも、先代の哲学が息づいている。串焼は、牛と豚を組み合わせた構成。それぞれの部位に応じて、味付けや薬味を細かく変えて提供される。




『もつ焼 塩田屋 春吉』
[所]福岡市中央区春吉3-25-10 王丸ビル1階
[電]092-712-2040
[営]17:00~23:00(ネタがなくなり次第閉店)
[休]日曜、ほか不定あり
[席]12席
[駐]なし
カード/可、QRコード決済不可
[Instagram] @motuyakishiotaya
