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【福岡ラーメン物語 のぼせもん|32杯目 博多くまちゃんらぁめん】

「食べた百人が全員美味しいと言ってくれる。そんなラーメンを作りたいと思っています。」

その道を貫こうとするならば「覚悟」が必要だ。その道を極めんとするならば「努力」も必要だ。ラーメン屋は楽に儲かるのではないか。そんな軽い気持ちで始めたラーメン人生が長く続くはずがなかった。自信を失い、一度は夢を諦めた男が再び厨房に立った理由は、ラーメンが好きだという純粋で真っ直ぐな想い。覚悟は決まった。あとは努力あるのみだ。

「クリーミーとんこつ」(620円)/豚の頭骨、大腿骨、背骨を強火で長時間炊き上げたスープは、背脂のコクも加わってマイルドでクリーミーな味わい。濃厚な豚骨の旨味をたくわえながら臭みはまったくない。歯切れの良い食感の低加水細ストレート麺は、人気製麺所『製麺屋慶史』に特注

 


博多くまちゃんらぁめん 店主/strong>

西熊賢二 / KENJI NISHIKUMA

1984年、福岡県福岡市生まれ。高校卒業後、機関工や建築業、塗装業などを経て、24歳の時にラーメンの世界へ。一度は夢を諦めるも、2014年に城南区で独立開業。2018年、大名へ移転する


なぜラーメン屋をやろうと思ったのか。その理由は人それぞれだ。ラーメン屋に生まれて家業として継ぐ人もいれば、ラーメンが大好きで商売にした人もいる。「博多くまちゃんらぁめん」の「くまちゃん」こと、店主の西熊賢二さんがラーメンの世界に入った理由は「お金持ちになりたい」だった。

「とにかくお金持ちになりたかったんです。小さい頃からラーメンが好きだったので、好きなことで稼げたらいいなぁと思って、ラーメン屋をやろうと思いました」

高校卒業後、機関工や建築業、塗装業などを転々とした。これといった目標があるわけでもなく、車やスノボーなどの遊びのために働いた。しかし、24歳の時に一生の仕事をラーメンにしようと決めた。人気ラーメン店の門を叩き、知識も技術もゼロの状態で修業を始めた。しかし二年ほど経った時、志半ばでラーメンの世界から離れた。

 

「実際に入って働いてみて、ラーメン屋がいかに大変かを知りました。ラーメン屋を自分でやる自信がなくなったんです」

麺も丁寧にならしてそっと横たえる。 「速く出すよりもべストの状態で出す」 西熊さんが辿り着いた、くまちゃんらぁめんのラーメン作りのモットーだ

ラーメンから離れて再び塗装業へ戻った西熊さんだったが、やはりラーメンへの想いは捨て切れなかった。塗装業をやりながらラーメン店でバイトをして、現場の感覚を取り戻す日々。そして2014年、城南区神松寺に『油山とんこつ研究所くまちゃんラーメン」を創業する。

西熊さんが目指したのは、濃厚で油分もありながらもクリーミーで飲み干せるラーメン。しかし客の反応は賛否両論。客や周りの意見に流されて、自分の目指す味を貫くことが出来なかった。味はどんどん変わり客足は減っていった。

 

さらに原価をかけすぎて経営を圧迫していった。そんな時に、地元テレビ局の企画で先輩ラーメン店主たちのアドバイスを受ける機会を得て、西熊さんの揺らいでいた想いが固まった。

 

 

「先輩たちの叱咤激励で、店を始めた原点に戻れたと言いますか、自分が作りたいラーメンをブレずに出すんだという「軸」が出来ました」

「醤油とんこつ」(600円)/豚骨の旨味と背脂の甘味、さらに地元醤油の味わいが調和したオリジナル

 

骨を感じさせる濃いスープながら、スッキリと飲み干せる。百人が百人美味しいと思って貰えるラーメンを作る。西熊さんの「覚悟」はラーメンにも表れ、多くの人から支持を受けるまでになった。

 

スープは一杯ずつ丁寧に小鍋で温めて仕上げる。

さらにもっと多くの人に食べて欲しいと、2018年には飲食店が密集する大名へ移転し、再スタートを切った。

 

 

骨の配合や分量は常に見直し、火加減はもちろん、寸胴の蓋を閉めるタイミングまでも実験を重ねて、ベストの状態を模索する。さらに熱々のラーメンを食べて欲しいと、提供直前に一杯ずつ手鍋で仕上げる。西熊さんは日々厨房に立ち、常に考え続けて改良をし続けている。

博多ラーメンらしい歯切れの良さと軽やかな食感、そして小麦の風味香る味わいの麺は「製麺屋慶史』 製。

 

「僕が思い描いた理想のラーメンにはまだまだ届いていません。もっと美味しくなるはずですし、美味しくしていかなければならない。ラーメン作りに完成や終わりはないと思っています。だからこの店はいつまでも「とんこつ研究所』のままなんです」

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■取材を終えて

実直で真面目な姿勢がラーメンの味に出る

私が初めてくまちゃんのラーメンを食べたのは、大名に移転してすぐのことでしたが、慣れない厨房で汗をかきながらラーメンを作っている姿が強く印象に残っています。その後、とある宴席で一緒になった時に初めて話をしたのですが、お酒も飲まずに真剣な眼差しでラーメンや店についての悩みなどを、私に一生懸命話してくれました。とにかく実直で真面目にラーメンに向き合っているくまちゃん。彼の作るラーメンも同じく手抜きが一切ない真面目なラーメンです。しっかり美味しいのだけれど、派手で目立つラーメンというわけではないのも彼らしい。あの夜話してくれた夢や野望に向かって、これからも頑張って下さいね。

ラーメン評論家

山路力也 / Rikiya Yamaji

テレビ・雑誌・ウェブなど様々な 媒体で情報発信するかたわら、 ラーメン店のプロデュースなど、 その活動は多岐にわたる。「福岡ラーメン通信」でも情報発信中


掲載の内容は取材時のものです。取材日と記事公開日は異なる場合があり、メニューや価格、営業時間、定休日など取材時と異なる場合がありますので、事前に公式HPやお問い合わせにてご確認をお願いします。

博多くまちゃんらぁめん

【所】福岡市中央区大名1-8-4
エクシード大名1階
【☎】080-8048-5736
【営】11:00-23:00
【休】火曜
【席】20席
【P】なし  カード/不可  喫煙/不可

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