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【インタビュー】「ライヴハウスでライヴがしたい」福岡発のアーティスト5組がライヴハウス支援プロジェクト‟Make With Music”を始動

 

“Make With Music”とは…

福岡エリアの5アーティストが集結し、活動の再開を待つライヴハウスを応援する楽曲『またここで。』を共同制作。楽曲の全ての売上を支援対象ライヴハウスに寄付するプロジェクト。公式サイトはhttps://makewithmusic.flag.gg/

 

全国的にも熱い注目を集める福岡のインディーズ・シーンから、5組のアーティストが結束してコロナ禍で苦境に立たされているライヴハウス支援のためのプロジェクト“Make With Music”を開始。今回はその発足の経緯と各自の想いについて、マルシィを除く4組の代表者に取材を行なった。福岡発のアーティストたちによる楽曲をダウンロードすることが支援に繋がるという、音楽ファンにとって朗報とも言えるアクションだ。

 

―プロジェクトの発端はクレナズムの呼びかけからですよね。

萌映:私たちはツアーのファイナルがコロナで中止になっちゃったんです。いつも当たり前のようにしていたライヴが急にできなくなると、どうしたらいいんだろうという不安もあるし、リスナーの人と会える場所であるライヴハウスがなくなっちゃうのも嫌だし、何か自分たちでできることはないかなと思って立ち上げました。DimDamDonkeyさん以外は対バンとかで面識がある方々に声をかけて、ディムダムさんは事務所から「凄く良いバンドがいるから」と紹介してもらって。こういう状況だからこそ出会えた気がして、嬉しいなと思います。

北野:取り組みに賛同したので参加したんですけど、まず面白そうだなぁと思って。他の人が作った曲を歌って音源にするという作業をしたことがなかったし、僕らがお世話になっているライヴハウスのためになるなら何でもやろうという気持ちは前からあったので、今回参加させていただきました。

ニシダ:色んなところが支援のTシャツを売ったりしてライヴハウスも支援を求めている状態ですけど、やっぱりバンドをしている身としては音楽で力になれることが嬉しいなと思ったし、クレナズムが声をかけてくれたことが何より嬉しかった。僕はベースのまことから電話で誘ってもらったんですけど、二つ返事でOKしました。

虎太朗:福岡の音楽が今凄く熱いなと思っているので、それが5組集まるのは面白いなと思って僕も参加しました。

―皆さんそれぞれライヴハウスや音楽にまつわる人々をはじめ、色んな声が届いていると思います。

萌映:いつも練習しているスタジオがあるんですけど、「経営が厳しくなってクラウドファンディングしようと思うんだ」とそこの方から聞かされて。「ここがなくなったら、どこで大きい音出すんだろう…」って、ライヴハウスがなくなる時と同じ危機感を感じました。あと、プライベートの話になっちゃうんですけど、アルバイトの出勤日数が凄く増えたんですよ。思った以上に自分は生活の主軸が音楽やバンドであって、それに支えられていたんだなって気付かされたし、アルバイトだけしているとどうしても変化のない毎日がつまらないなと思っちゃうし、逆にずっとアルバイトをしていると「ここはここの世界で大変なことがあるけど、私は違う世界で音楽をしていたんだな」って、大変なのは自分だけじゃなかったんだなと感じられて。私がやっているアルバイトは小売の店なんですけど、生活必需品を取り扱っているので、コロナの状況でもスーパーと同じぐらいお客さんが来るし、でもコロナの影響でなかなかいつもより出勤人数は増えなくて。改めて大変だなぁって思いました。

ニシダ:ふだん行っているハコもそうなんですけど、SNSでまだ行ったことのない県のハコが潰れちゃったニュースも見かけたりして。ツアーで行ったことのないところに行けなくなるんじゃないかなというのが凄く怖いです。身近ではないところからも影響を感じていますね。

―今回の楽曲はクレナズムがデモ音源を用意してリモートで制作されたそうですが、感想はいかがですか?

虎太朗:みんな考えていることは一緒だけど、同時にそれぞれの色も出ているなと思いました。

北野:今はまだ仮歌しかもらってない段階なんですけど、各パートの個性がちゃんと出ています。みんな「ライヴハウスでライヴがしたい」ということを違う言葉で言っているだけなんですよね。パートごとの繋がりとかは各自考えようがなかったと思うんですけど、自然と流れとして一貫しているものがある。

―今回のプロジェクトを通してプラスになったことは?

萌映:今まで他のアーティストさんと一緒に曲を作るということをしたことがなかったので、作詞をする人間として同じことを言っているけどこういう言い方があるんだとか、ちょっと視点を変えてみてもいいなとか、表現者として凄く視野が広がりました。プロジェクトとしては、今回を機に今後も続けていけたらと思いますし、一刻も早く今の状況が良くなればいいなと思います。

北野:改めてふだん出ているライヴハウスに恩返しが少しでもできるのが一番大きいところなんですけど、楽曲の制作においては、僕のバンドはスタジオに集まって曲をみんなで作るというスタンスなので、リモートという発想が難しくてなかなかできなかったんですけど、これからやっていく良いきっかけになったんじゃないかなと感じています。

虎太朗:僕は一人で音楽を作っている身で、初めて人と一緒に作ったんですよ。何より自粛期間も重なって一人じゃないんだなというのがより深く味わえて、ちょっと安心もできたというか。だからこそそれが自信に繋がったし、とても良い経験だったと思います。

ニシダ:僕らはバンドとしてリモートで曲を作るのはコロナの前からやっていたことなんですけど、違うバンドから僕がふだん歌わないようなデモをもらって、それに合わせて歌って。それはもともと女性が作ったものだから、僕からしたらキーが高いところだったりするんですけど、歌ってみたら意外といけちゃったりして新しい発見をもらったなと。何より他のバンドが作った曲を自分が歌ってみるという新しさみたいなものを凄く感じさせてもらえたので、良い経験だったと思いますね。今度は僕らが作った曲をぜひ歌ってほしいなという気持ちも出たので、今後も続けていきたいです。

 

撮影場所:音楽堂PLUM

 

●クレナズム
萌映(vo、g)、けんじろう(g)、まこと(b)、しゅうた(ds)からなる4人組ロックバンド。情景が浮かぶ色鮮やかなメロディと、清涼感のある声で表現される強い言葉をギターノイズで包み込む。8月5日(水)に新曲『ひとり残らず睨みつけて』を配信予定
●aint
ニシダコウキ(vo、g)、usako(vo、g)、清風(b)、もっちゃん(ds)からなる久留米市発の4人組ロックバンド。ポストロック、インストゥルメンタルに影響を受け、変拍子を取り入れつつもキャッチーな世界観を創出。今年3月より12カ月連続配信&枚数限定CDをリリース中
●DimDamDonkey
北野龍馬(vo、g)、中野五月(vo、b)、西里勇気(ds)、依里忠樹(g)からなる4人組ロックバンド。’14年、北九州市で結成し、メンバーチェンジを経て現体制となる。ツインボーカルに乗せてUSロックの影響を感じるオルタナティブなサウンドを発信する
●マルシィ
’18年にうきょう(vo、g)、おさみぃ(g)、フジイタクミ(b)、めゐびー(ds)で結成。耳に残る美麗なメロディとクリアなボーカルが特徴的。各種音楽配信サービスにて『Drama』、『絵空』の2曲を配信中
●虎太朗
’19年6月に活動を開始した19歳のシンガーソングライター。これまでに『トリビア』、『ユーティリティ』の2枚のEPをリリース。同世代のミュージシャンたちと立ち上げたレーベル・Ariasのオーナーも務める
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