まだまだアツいよ、立ち飲み!ブームの立役者である落水さんに今改めて聞きたい、”立ち飲みの魅力“とは何ですか?
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昼飲みできる場所を探していると、高確率で候補に挙がる立ち飲み店。「立ち飲みブーム到来」と言われて久しいけれど、まだまだその勢いは止まらない様子だ。ブームの立役者である落水さんに今改めて聞きたい、”立ち飲みの魅力“とは何ですか?

落水研仁さん
1979年、北九州市生まれ。福岡市内で『メグスタ』や『SOUP TRUCK』など、飲食店計8店舗を運営する株式会社Thinkingforの代表取締役にして、ハシゴ酒イベント「タチノミスト」の主催者。夢は「福岡の立ち飲みを文化にすること」
「タチノミスト」とは…
福岡市内の立ち飲み店をスタンプラリー形式で周り、スタンプを貯めながら景品を獲得していくイベント。’18年の初回から数えて8回目の「タチノミスト8」(’25年5月2〜18日開催)には72店舗が参加し、約5万5千人を動員。全店舗を制覇した人は80名! 9回目(’25年10月開催予定)の詳細については確定次第、特設サイトにて発表予定。
福岡県内の立ち飲み店約70店舗が参加し、延べ5万人以上を動員する日本最大規模の飲み歩きイベントといえば…そう、「タチノミスト」だ。参加したことがない人でも、福岡の酒飲みなら一度は耳にしたことがあるのでは? そんなビッグイベントを主催し、福岡の立ち飲みブームをけん引する人物こそ、『メグスタ』オーナーの落水研仁さん。今回は彼と、さらに盛り上がりを見せる「福岡の立ち飲み」について語ろう!…とその前に、福岡の立ち飲みを語るなら避けては通れない『メグスタ』のことから。

’15年に、その後ブームとなる立ち飲み店の先駆けとしてオープンしたのが『メグスタ 警固歩道橋酒場』。当初は客に「なんで立って飲まないといけないの?」と問われる日々で、開業から3ヵ月間は閑古鳥が鳴いていたそうだ。そもそも、なぜ立ち飲み店のオープンに至ったのだろう? 「’11年に自分が初めて開いた店が『b u e n aonda』(現在は閉店)というスペインバルでした。視察のためにスペインに行ったら、現地のバルではみんな立って飲んでいて。そのラフな雰囲気が気に入り、福岡でもやりたいと思ったんです。いざオープンして1年ほど経った頃、同じく立ち飲み店である『三九酒場 けごむす』が近くに開店。さらに赤坂には『STAND BY ME』(現在はメグスタグループが運営)ができて、その3 店をハシゴする流れができ始めたんです。その頃から徐々に客足が伸びていきました」。

立ち飲み店の回遊がブームの火種に
次第に常連がつき始めると、店が”コミュニケーションの場“としての盛り上がりを見せていく。「立ち飲み屋でお客さん同士が会話を楽しんでいる光景は、案外福岡ならではのものだと思います。東京や大阪では、壁に向かってじっくり飲み、一人の時間を楽んでいる人が多い印象」。ではなぜ、福岡では客同士のコミュニケーションが弾むのか?「それは、屋台文化の影響が大きいのではないかな。『メグスタ』のお客さんを見ていると、同じ話題で盛り上がれる最大人数は8〜9人であることがわかります。これは屋台のキャパシティとおおよそ同じですよね。お酒を飲みながら周囲の人との会話を楽しむことが、福岡の人にとっては当たり前の文化なんだろうと思います。…と言いつつ僕は、お客さん同士の盛り上がりに加わるのが苦手なタイプですが(笑)」。出会いを求めて店に行く人もいれば、立ち飲みにコミュニケーションを求めない、落水さんのような人も多いだろう。それならば、落水さんの思う立ち飲みの魅力とは? そのアンサーは、六本松の『トリスタンド酒場NiCE』で聞くことにしよう。

『メグスタ 警固歩道橋酒場』
[所]福岡市中央区警固2-1-14
☎092-982-1209
[営]15:00~翌1:00
[休]なし [P]なし
カード/可、QRコード決済可
立ち飲みの魅力、それは〝気軽さ〞
『トリスタンド酒場NiCE』は’19年の「タチノミスト2」から途切れることなくイベントに参加する、言わば”タチノミスト常連組“だ。まだまだ立ち飲み黎明期だった6年前を振り返り、『NiCE』オーナーの橋本さんはこう話す。「当時は六本松からの参加店もウチだけだったし、まさかこんなビッグイベントになるとは想像もしていなかったな。落水くんから声をかけてもらい”面白そうだな“とは思ったものの、お客さんが集まるのかは半信半疑でした。でもいざ始まると、開店直後の時間帯が大混雑! 昔は13時から店を開けていたので、大抵のお客さんはこの店をハシゴ酒の一軒目にしていたんです」。

’19年当時、まだ市内に30店前後しか存在しなかった立ち飲みの店。そこから急速に店舗数が拡大したきっかけは”新型コロナ流行“にあるのでは、と落水さん。「コロナ禍で大人数の飲み会が制限され、一人飲みの需要が一気に高まりました。リモートワークの普及で日中に人と会わなくなった人が、飲みの場にコミュニケーションを求めるようになったことも大きいと思います」。コロナ流行による不安な日々を、立ち飲みに救ってもらった…そんな人もきっと多いだろう。

落水さんが考える「立ち飲みの魅力」とは、誰とも約束せずに、一人で、ふらっと立ち寄れる”気軽さ“だという。「例えば『NiCE』さんは、立ち飲み店でも珍しい”焼き鳥“の店。片手で食べられるし立ち飲みとの相性はすごくいいけれど、仕込みが大変で調理にも技術がいるので、避ける人が多いんですよ。だけどここなら気軽に入れて、焼き鳥居酒屋には一人で入りにくいという女性にとっては貴重なお店じゃないかな」。この言葉には橋本さんもうれしそう。「『メグスタ』で立ち飲みの楽しさを知った人が大半じゃない?」「いやいや『NiCE』さんこそ〜」と、なんだか終始ニコニコ、楽しそうな二人なのだった。

『トリスタンド酒場NiCE』
[所]福岡市中央区六本松2-10-20
☎092-517-8560
[営]15:00~24:00(土・日曜13:00~)
[休]不定 [P]なし
カード/不可、QRコード決済可
立ち飲みを福岡の文化に!
タチノミスト常連組の『NiCE』とはうって変わり、今年10月に開催される「タチノミスト9」で初参加を予定しているのが『酒と旅と語らいの店 ポン介』。うどん居酒屋『二〇加屋長介』が手掛ける新業態で、おでんや刺身といった和の肴と共に常時150種前後の日本酒を味わえる、酒ラバーにとってはたまらない店だ。

落水さんが席に着くなり、「おでんは仕込みが間に合わないですかね?」「朝から空いているお店は他にないから、午前中が混むと思いますよ」「奥の席も立ち飲みスペースにする予定で…」と、ビッグイベント初参加に向けた打合せが始まった!「タチノミスト期間中は人の流れも客層も何もかも変わりますから、できるだけスムーズなオペレーションができるように、各参加店へアドバイスをさせてもらっています。あくまで”イベント後にもまたお店へ行ってもらえること“が目的ですから、決まったルールはないんですけどね」と落水さん。店側も客側もボルテージがぐっと高まるタチノミストは、イベントの枠を超えて祭りのようなムードさえ感じるが…「まだまだ、これからです。夢は10〜20年後までに、立ち飲みを福岡の文化として根付かせること。福岡の立ち飲みを目掛けて世界中から人が来て、さらに福岡式の立ち飲み店が世界中に広がることを目標にしています」。

すでに韓国・ソウルには、福岡の店にインスピレーションを受けたスタンド酒場が3つも展開されているという。「まだすり合わせ中ですが、次のタチノミストにはソウルの3店舗も参加予定なんですよ!」。9回目の開催にして、初の海外展開! ワクワクするね。
ちなみに落水さんが考える文化の定義とは、「女子高生の共通認識」であること。「福岡って立ち飲みがアツいらしいよね〜大人になったら行ってみたいよね〜っていう話を全国の女子高生がするようになったら、文化を作れたと考えていいと思うんです。”俺たち文化を作ったよね“って言いながら仲間と飲む日が、今から楽しみ!」そう目を輝かせて話す落水さん。彼の夢を応援するべく、近くの立ち飲み店でまずは一杯、ビールでも飲んで楽しむとしましょう。

『酒と旅と語らいの店 ポン介』
[所]福岡市博多区博多駅中央街1-1
博多デイトス1階 博多駅ほろよい通り
☎092-402-3672
[営]10:00~24:00
[休]施設に準ずる [P]なし
カード/可、QRコード決済可
