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【福岡ラーメン物語 のぼせもん|88杯目
博多豚骨 一歩】

「また食べたいと思って貰えるようなそんなラーメンを作っていきたいです」

どんな人気店も最初は一軒の店から始まった。
豚骨をこよなく愛している男が大きな夢を掲げて店を開いた。
まずは人気店に、そして都会に、いずれは海外へ。
千里の道も一歩から。


「ラーメン屋としてのはじめの一歩、そしてお客様の明日への活力となる一歩になるような想いで屋号を決めました。 いずれは博多、 そして海外にも行きたいので、その一歩としてこの店をもっと愛されるお店にしていきます」


博多豚骨 一歩

店主 森山裕公 /Moriyama Hiroyuki

1986年福岡県朝倉郡生まれ。高校卒業後にラーメンの世界へ。 関西の人気チェーン店を経て、福岡の人気チェーン店では店舗運営や海外運営も担当。その後久留米の老舗ラーメン店での修業を経て、2023年春日市に『博多豚骨 一歩』を創業する


ここ数年、福岡では豚骨ラーメンの新店の数が減っている。 新しく出来た店であっても大半は 既存店の支店などで、福岡で新たに豚骨ラーメン店を創業しようという人は極めて少ないという現状。これは豚骨ラーメンの歴史上、最大の危機であると言っても過言ではない。 福岡市中心部から車で30分。春日市春日公園に程近い県道沿いに、新 しくオープンした店。看板には誇らしげに「博多豚骨」の文字が掲げられている。久々となる豚骨ラーメンの新店が誕生した。


店主の森山裕公さんは高校を卒業後、漠然と起業することを考えていた。何も持っていない自分が起業出来るとしたら何か。大好きなラーメンならば自分でも勝負出来るのではないか。森山さんは厳しい環境 で学びたいと、テレビで観た関西の人気ラーメン店に直訴して修業に 入った。しかし、半年で挫折して福 岡へ帰ってくることとなる。
「ラーメンなんて俺でも出来る、とナメた考えで始めてしまって。自分の出来なさ加減が情けなくて悔しくて、耐えられず戻って来ました」。


「ラーメンと焼き飯の二枚看板というのは、創業前から考えていたことでした。 ラーメンも焼き飯も自信があるんですよ。ラーメンも焼き飯も両方美味しい、両方食べたいと思って頂けるようなお店でありたいと思っています」

しかしラーメンへの夢は諦めきれなかった森山さん。そんな時に福岡で人気の豚骨ラーメンを食べて衝撃を受けた。どうしてもその味を学びたいと志願して再びラーメン修業の道へ。厳しい修業の日々だったが、もう諦めたくはないという思いで、十年以上の経験を積んだ。店舗の立ち上げや関東エリアのマネージメント、海外出店も任された。
「ラーメン作りはもちろんですが、 お客様への向き合い方だったり、お店の運営の仕方だったり。 そして何より自分自身が人間としてどうあるべきかを教わりました。駄目な自分を見捨てずに向き合ってくださって、チャンスもたくさん与えて頂けたことで今の自分があります」。


 『ねぎらーめん』(850円)/たっぷりのネギが乗った人気メニュー『焼きめし』(500円) /しっとりバラりと仕上げた自信作。 『らーめん』 と 『焼きめし』 の 『焼きめしセット』(1200 円)はリピーター続出の一番人気メニューになっている

その後、久留米の老舗ラーメン店 でも一年半学び、満を持して独立を決意。様々な経験をしてきた森山さんが目指す、オンリーワンの一杯。 それは「また食べたい」と思って貰えるような、福岡の人の日常に寄り添った豚骨ラーメンだった。

麺は修業先同様、 福岡の人気製麺所『製麺屋慶史』 の低加水細ストレート麺を使う。 餃子は毎日店内で手作りしたもの。 様々な経験から生まれた豚骨スープは、ラードなどの油に頼ることなく豚骨の旨味や甘みを生かし、万人に愛される味わいに

厳選した豚のゲンコツ、背骨、頭骨などを丁寧に炊き上げたスープ は、しつこさが一切なく骨の旨味があふれている。しなやかで軽やかな食感の細麺との相性も抜群。古き良 き博多ラーメンをアップデートした一杯が完成した。
「最初のインパクトは弱いと思うのですが、食べていくうちに美味しさが増して、最後にはまた食べたくなるような一杯を目指しました」。 オープンしてまだ一年足らずだが、早くも家族連れからドライバー、老若男女幅広い人たちが集う人気店になった。常連客も増えつつあり、その大半は地元のお客さんたちだ。明るく元気な接客も人気を呼んでいる。 「いつかは支店や海外進出などの夢はありますが、まずはこのお店を大切にして、地元の皆さんに愛されるお店にしたいです。ラーメンを食べたお客様が、玄関から一歩出ると、今日も一日頑張ろうと思って頂けるような。そんなお店にしていきたいと思っています」。


博多豚骨 一歩【所】春日市原町1-87【営】11:30-14:30/17:30-20:30

【☎】092-558-7683【休】水曜 【席】24席【P】あり カード/不可

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■取材を終えて

福岡の豚骨ラーメン文化の継承者

店主の森山さんとは取材で初めてゆっくりとお話しさせて頂きましたが、私の
記憶が間違っていなければ、今からちょうど10年前に彼が修業していたラーメ
ン店が関東初出店した時に、東京のお店へ取材にお邪魔した時にお会いしていたのではないかと思います。 いずれにせよ、10年の時を経て自らのお店を立ち上げたことは喜ばしい限りですし、何より豚骨ラーメンで勝負しようという気持ちが嬉しいです。労力やコスト、 場所の問題を含めて、豚骨ラーメン店をゼロから 新たに立ち上げるというのはなかなか厳しい時代です。 だからこそどうか頑張って多くの人に愛されるお店になりますように。


ラーメン評論家

山路力也 / Rikiya Yamaji

テレビ・雑誌・ウェブなど様々な 媒体で情報発信するかたわら、 ラーメン店のプロデュースなど、 その活動は多岐にわたる。「福岡ラーメン通信」でも情報発信中


掲載の内容は取材時のものです。取材日と記事公開日は異なる場合があり、メニューや価格、営業時間、定休日など取材時と異なる場合がありますので、事前に公式HPやお問い合わせにてご確認をお願いします。

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