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【ローカル企業とSDGs】人と環境にやさしい無添加石けんづくりにこだわり、健康な体ときれいな水を守る。『シャボン玉石けん株式会社』

洗浄剤を変えると海が変わる?
実証実験で驚きの結果が判明

石炭の積出港として栄えていた若松では石けん需要が高く、石けんの卸売業も営んでいた雑貨商『森田範次郎商店』が起源である『シャボン玉石けん株式会社』。当時の得意先の1つが旧国鉄で、機関車用の洗剤を納品していたが、合成洗剤で洗うとサビがでるという指摘を受け、「添加剤を入れない石けん」の開発にのりだすことになる。

【シャボン玉石けん株式会社 代表取締役社長・森田 隼人】
’76年、福岡県生まれ。専修大学経営学部卒業後、’00年『シャボン玉石けん株式会社』に入社。問屋や百貨店などへの営業および商品開発を担当。’02年、取締役副社長を経て、’07年より現職。座右の銘は「好信楽(こうしんら/好きになって信念を貫き、楽しみながらでなければ物事を成し遂げられない)」。趣味は読書

「無添加石けんだから洗濯や入浴に使っていいだろう、と先代がその洗浄剤を自宅で使ってみたところ、十数年悩まされていた湿疹がきれいになくなったそうです。そこから勉強を始めて合成洗剤の危険性を知った先代は、’74年に合成洗剤の販売停止を決断、無添加石けんの製造・販売に切り替えたのです」と話すのは、代表取締役社長・森田 隼人さん。「健康と体ときれいな水を守る」の理念を掲げ、事業をシフトさせた。

九州産業大学と長崎県・小値賀島らとコラボで、海洋ゴミリサイクル品の『石けんケースmu(ムー)』の開発・販売にも協力

一般的なシャンプーや洗浄剤には合成界面活性剤が含まれており、環境中に排出されると自然界から完全になくなるまでにかなりの時間を要するものがある一方、酸化防止剤・着色料・香料・合成界面活性剤を一切使わない無添加石けんは、その排出が海や川に流れ出ても、短期間で大部分が水と二酸化炭素に生分解され、石けんカスは微生物や魚のエサとなるのが大きな違い。

「当初は生活排水の環境や生物への影響に関する実証実験を産学官連携で実施。宗像市地島(じのしま)の住民の方に3カ月間、無添加石けんを使用していただきました。石けんは微生物の多様性を高め、下水処理場の環境を改善、また、ワカメの生長に影響を与えないという結果を得ることができたのです。改めて人にも自然にもやさしい製品を広めることこそがSDGsの達成に寄与すると感じています」。

本業で磨いた技術や強みを
啓発活動や国際貢献に活かす

ようやくサステナビリティへの関心が高まってきたとはいえ、同じ商品なら、環境配慮型の150円のものより、安い100円のものを選ぶ消費者の方が多いのが現実。そこで、同社では人々の意識とアクションを変えるための啓発活動や、本業の強みを社会課題の解決に活かすことにも積極的に取り組む。

「1% for Nature プロジェクト」では人気商品の売上の1%を社会貢献に還元

「北九州市と共催する、写真と川柳で日常の中でのSDGsな行動を作品に表現し、大賞を決める『私のSDGsコンテスト』や、シャボン玉石けんの人気商品の売上の1%を人と環境にやさしい活動に寄付する『1% for Nature プロジェクト』、海洋プラスチック問題の啓発のためのコラボ商品企画もその一環です。また、阪神淡路大震災での教訓を活かして開発した『石けん系消火剤』は、少量の水量で早く消火でき、環境への負荷も非常に少ないことから、北九州市をはじめz念国の自治体で採用されています。これは一般建物火災だけでなく林野火災に対しても有効であると認められており、焼畑による泥炭火災や煙害が深刻なインドネシアへも出荷されました。その他にも、工場で使うエネルギーを100%再生可能エネルギーに替え、商品の包材も環境負荷を与えないものに切り替えるなど努力を重ねています」と、マーケティング部部長・富村 達也さんは話す。

「無添加石けんの利用が水環境、生態系に悪影響を与えないという情報発信が、人々の意識を変えることにつながれば嬉しい」と富村さん

日常生活に密着した商品の選び方を変えるだけで、誰もが未来にコミットできる無添加石けんのパイオニアが示すのは、サスティナブルな企業活動のあり方だ。

シャボン玉石けん株式会社

住所:北九州市若松区南二島2-23-1
TEL:093-701-3181
https://www.shabon.com/

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