【THE福岡の味】原点にして最進化形 世界でここだけの限定麺を

2022年04月11日 公開

『一風堂』の中の『一風堂』

福岡を訪れる知人に「絶対に食べておくべき豚骨ラーメンの店」を尋ねられたら、あなたの五指はどの名店を数えるだろうか。思うに全国展開する『一風堂』を挙げる人は、まずいないだろう。いや、だからこそ、あえて提案したい。ここ大名本店でしか味わえない、本物の一杯を。豚骨ラーメンを語るならば必ず食べておかなければならない、一風堂の原点の味を。

博多とんこつらぁめん 790円

大名本店限定の『博多とんこつらぁめん』（７９０円）のスープは毎日、店舗内で実に14時間をかけて炊きあげられる。創業当時の方法を踏襲し、煮込む骨は豚頭だけ。上質の骨髄が余すところなく抽出された、クリーミーでシルキーな複層的で立体的なスープである。
合わせるのは、このスープのためだけに開発された福岡県産小麦１００％の極細麺。サクッと心地よい歯切れと、それに矛盾するような歯応え、鼻腔を抜ける小麦の香りが特徴だ。

バラとモモの２種類の自家製チャーシューが楽しめるのも大名本店のみである。
もう一杯の限定ラーメン『博多しょうゆらぁめん』（８３０円）も必食。豚清湯に地元大名のジョーキュウ醤油の元ダレを合わせたキレの良いスープ。やはりオリジナルの細麺が活きる。１９８５年の開店当初から人気のあった『江戸式醤油らぁめん』の進化版で、力強さと上品さが見事にバランスした一杯である。

はっきりと言っておこう。一風堂大名本店は日本の、いや世界のどこにも存在しない、まさに「福岡の名店」なのである。えっ？ ここに住んでいるのに、しばらく行ってない？ いやはや、それはあまりにも、あまりにももったいない…。