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【福岡の名店に歴史あり】百年先を見据えた人々の拠り所

西鉄太宰府駅近く、自家焙煎コーヒーの名店『蘭館』。オーナーの田原順子さんの生家は太宰府の小鳥居小路にあったそう。大阪で学生結婚をした亡きご主人の昴さんがコーヒー専門店で修行をして、2人で開いた店だ。
「この建物は、父が蘭の展示に使っていたものを『コロ』で少しずつ移動させる『家曵き』したものなんです。焙煎室と奥のテーブル席の部分は増築です。最初は別の場所を考えていたのですが、父がこれからは駐車場があった方がいいだろうと。商売人だったから先見の明があったんでしょうね」と順子さん。

マスターの田原照淳さんは、ご両親がはじめた店を継ぐつもりはなかったのだそう。「百貨店で社会人経験を4年半した後に店を手伝わざるをえなくなりまして。父から母へと焙煎は引き継がれていたのですが、常連さんには飲み慣れた味があるから、自分が継ぐとしても簡単なことではありませんでした。だから勉強の為に、ジャパンカップテイスターズチャンピオンシップに挑戦したり、アメリカスペシャルティコーヒー協会の認定鑑定士の資格をとったりしたんです」と照淳さん。

その甲斐あって、第2回ジャパンカップテイスターズチャンピオンシップで優勝、世界大会で3位に輝いた。十数種類の豆を焙煎し、ネルドリップで1杯ずつ丁寧にコーヒーを淹れる。カップ1杯のコーヒーがテーブルに出されるまでの工程を考えると、その勉強が途方もなく大変なことは推して知るべしだ。

料理を売りにするなら調理の勉強をしたでしょうし、ケーキを売るならパティシエの勉強をしたでしょう。でもコーヒーの味で皆さんに愛される店にしたいと思ったからコーヒーを勉強したんです」。

その言葉通り、食事メニューはトーストと手作りのサンドウィッチ、ケーキは函館の人気洋菓子店『ペイストリースナッフルス』のケーキを空輸する。
「先代の社長がうちのコーヒーの味を気に入ってくださっていて、縁あってこちらで販売することになりました」と順子さん。

親子が探究し続ける味が新たな縁を結び、九州と北海道との美味しいマリアージュが生まれる。天神さまのお膝元ならではの名前がついたブレンドとともに楽しみたい。

自家焙煎珈琲 蘭館

太宰府市五条1-15-10
[☎]092-925-7503
[営]10:00〜OS17:30(土曜、日祝日〜OS17:00)

[休]水・木曜
[席]40席

[P]あり
カード/可

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