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【ローカル企業とSDGs】<華味鳥>養鶏の副産物 肥料が必要なのは畑だけではなかった

1949(昭和24)年、吉塚市場に小売店として創業したトリゼンオーシャンズ株式会社。鶏肉を販売していたが、安定供給を目指して1970年代に養鶏業に着手。さらに1988(昭和63)年には、銘柄鶏<華味鳥>を開発。水炊きの『博多華味鳥』は国内外に進出しているトリゼングループ。

【トリゼンオーシャンズ株式会社 代表取締役社長 トリゼンフーズ株式会社 トリゼンダイニング株式会社 代表取締役会長 河津 義博氏】1954年福岡生まれ。<華味鳥>で知られるトリゼンフーズ、飲食店を展開するトリゼンダイニングの会長を務める。2019年にトリゼンオーシャンズを設立。バイオエキスで完全発酵させた鶏糞由来肥料を使った「MOFU-DX」の普及に邁進する

「現在1日2万5千羽を処理しています。週休2日で1ヵ月55万羽、1ヵ月それだけ処理しようと思ったら、常時、百数十万羽を育てないといけません。毎日百トンのエサを鶏が食べます。ということは、毎日同じ量の鶏糞が出るんです。今まで農家さんに肥料としてお譲りしていたのですが、化学肥料に転換される所もあり、行き場がない鶏糞をなんとかしたい。そこで開発したのがバイオエキスの『華燦々(はなさんさん)』でした。鶏糞にバイオエキスを散布し発酵分解させることで、臭いもなく、大腸菌などの病原菌も基準以下にしながら、窒素・リン酸・カリの『肥料の三要素』は豊富な肥料ができました。これが『華煌ら(はなきらら)』です。この『華煌ら』が非常に優秀で、農林水産省の規格適合肥料に認められました。そんな時に、広島大学名誉教授で、流域圏環境再生センター長・山本先生と出合ったのが転機です」と河津社長。

山本先生との共同研究開発で、海に沈めても栄養が必要以上に流れ出さない海専用固形肥料「MOFU-DX」ができあがった。

SDGsの概念の浸透が
この活動を後押しする

「海に栄養がないと藻が生えないし、植物性プランクトンも減少する。すると動物性プランクトンも減り、小魚、大型魚と、食物連鎖の延長線上にいる海の生き物が減っていくわけです。広島のカキの養殖場から目覚ましい結果が届きました。カキの養殖イカダは1つ10m×20mあるのですが、「MOFU-DX」を投入するのとしないとでは、カキ1つで14gも違うんです。さらに、真珠養殖のアコヤ貝。愛媛の宇和島が盛んで、三重県を抜き全国1位。対馬でも盛んで、長崎県が2位なんです。調べると、九州各地でアコヤ貝の養殖は行なわれています。あと、タイラギも減ってきているので、これもなんとかしたいですね。今度はペレットタイプのMOFU-DXを作ります」と、前進あるのみ。

海の肥料「MOFU-DX(モフデラックス)」。鉄分など海の底質改善に必要な成分を加えて1つ5kgほどに固形化
海に入れるとゆっくりと溶け出していくので、栄養分が急激に増加し、赤潮になるのを防ぐ働きがある

SDGsの食糧安全保障及び栄養改善、持続可能な生産消費形態確保、海洋資源の保全など、4つの目標に貢献。すでに全国各地から問合せや注文が入り、この取り組みが全国に波及する日は近そうだ。

トリゼンオーシャンズ株式会社

住所:福岡市博多区千代1-8-13
TEL:092-235-5941
HP:https://www.torizen-oceans.com/

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