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シティ情報ふくおか初のウェブ小説連載 三崎亜記氏作「博多さっぱそうらん記」第十一話

 

もうすぐおばあちゃんの団体のパレードの時間だ。だけど今は、見物する気にもなれない。人波に背を向けて、家に戻ろうとした。
その矢先、かなめの耳に、声が飛び込んできた。
「福岡市を、博多市に!」
散発的にきこえてきたその声は、次第にまとまりをもち、周囲の人々を巻き込んで、ゆっくりと進みだした。
「な、何が起こったとですか?」
見守る群衆の一人に聞いてみる。
「博多市ば推進する過激派が、パレードに乱入したとげなたい」
「ええっ! 過激派? 乱入?」
人混みをかき分けて前に出て、かなめは絶句した。仮装した四十人ほどの集団だった。博多にわかのお面を付け、修験者のような服装に、右側だけの大きくていびつな羽……。
「あれって、もしかして、カタハネたち?」
博多の裏の「羽片世界」でしか活動できないはずのカタハネたちが、どうして表の世界に? 博多市の怨念の力が強まった今、表の世界と裏の世界が通じてしまったのだろうか。
カタハネたちは、隊列を組んでパレードを先導する。その隊伍の中心にいるのは、古めかしい制服と制帽姿の人物と、もう一人……。
「あれは、驛長と……、博君!」
「博多市へ!」のかけ声に釣られたように、観客たちが次々と、集団に吸い込まれてゆく。それどころか、別のどんたく隊まで、「博多市を」とシュプレヒコールを上げるようになってしまったのだ。
パレードの終点は、福岡と博多を隔てる「那珂川」を渡って福岡側だ。だが、カタハネたちの率いる集団は、なぜか橋を渡らず、中洲の繁華街に向けて曲がってしまった。まるで「ハメルンの笛吹き」のように、他のどんたく隊を巻き込んで、南東へと進みだした。
「いったい、どこに行くと?」
パレードは中洲を抜けて国体道路に出て、キャナルシティの前を通って博多駅に向かった。そこで踵を返すように大博通りを進んで港方向へと戻り、呉服町交差点から天神方向へと……。そうして、パレードの最後尾につながった。
「パレードが一つの大きな輪っかになってしもうた……」
いつのまにか、先頭に立っていたカタハネや博たちは、姿を消していた。だが、もはやどこが先頭ともわからない集団は、博多の街をグルグルと回りながら、「博多市を!」と連呼し続けている。パレードの輪に取り囲まれた人たちも、憑かれたような表情で一人、また一人と、パレードに加わっていった。
「こんな騒ぎになっとるとに、どうして誰も止めに来んと?」
パレードは警察の許可を受けてやっているので、ルートを外れたらすぐに止められるはずなのに……。苛立って周囲を見渡して、かなめは、信じられないものを見た。
「あの車……。博多ナンバーだ!」
存在しないはずの「博多」のナンバープレート。博多の裏の「羽片世界」でしか見なかったものだ。
「裏の羽片世界が、現実世界を侵食してしまっとる!」
止める者がいないまま、パレードは際限なく続いた。人々は、「博多市を!」と叫び続けながら、飲まず食わずで何時間も歩き続けている。疲労を顔に表していたが、パレードから逃れられないでいる。そこには、おばあちゃんの姿もあった。
「おばあちゃん、正気に戻って!」
必死におばあちゃんを止めようとするが、人波に阻まれて、近づく事ができない。それに、パレードの中に入ると、かなめも気分があやふやになり、パレードに引き込まれてしまいそうだ。
その時、目の前に「何か」が立ち塞がった。
「傘鉾?」

どんたくの「祝い松囃子」の行列の中に必ずいる、「傘鉾」だ。飾られた大きな傘の周囲から布垂れが下りていて、傘鉾の下をくぐると無病息災の御利益があると言われているので、かなめも幼い頃に、おばあちゃんに連れられて、くぐったことがある。
傘鉾の布垂れがふわりと巻き上がり、かなめを包み込んだ。中は暗闇だった。傘の周囲に下ろされているのは薄い布なので、こんなに真っ暗になるはずがないのに……。
「ようやっと、話のでけるごとなったな」
闇の中で、あの「声」が明瞭に響いた。
「どうして、こんな傘鉾の闇の中で話さんといかんと? 何か後ろめたいことでもあるとね?」
「今、外に出るわけにはいかん。こん傘鉾の中だけが、私の安全圏たい。驛長に見つかったら、今度こそ私は消されてしまうけんな」
暗闇の中で、声の主は弱々しく言った。
「あなたは、いったい誰と? いったい何で、私たちばこの騒動に巻き込んだとね?」
「私はマイヅル様と呼ばれとる。この福博の街の守り神と思ってもろうたらよかたい」
「守り神やったら、この騒動ばなんとかしてよ!」
「すまんたい。カタハネたちはもともと、私の下で働きよったとばってん、こげな、さっぱそうらんば起こしてから……」
マイヅル様は、申し訳なさそうに語尾を濁す。傘鉾の中で話す間も、「博多市へ!」のシュプレヒコールは続いている。
「どうして、パレードが博多から抜け出せんごとなったとですか?」
「那珂川の橋の向こうば見らんな」
傘鉾の布の隙間から外をうかがい、かなめはあっけに取られた。橋の向こうに巨大な門が出現して、人々の通行をできなくしていたのだ。お城の入口にあるような、立派な門だ。
「あの門ば出現させたとは、博さんの案のごたる。博さんは、あんたと仲違いしたとば驛長につけこまれて、利用されたごたるな」
さっきの博の豹変ぶりは、怨念によって操られていたからだったようだ。去り際に、博が怨念の青い光に包まれたように見えたのは、見間違いではなかったのだ。
「あの門が閉じて、博多部全体ば封印しとるけん、パレードが福岡側に渡れんで、堂々巡りばしよるとたい」
「これじゃあ、どんたくのとおりもんどころか、通れん門やないね。何とか扉は開けられんとですか?」
「ハンの者たちは、どんたくの間はカタハネたちが見張っとって、博多部に入られんで、扉の向こうにおるとたい。声だけは届けることができたけん、なんとか外から開けるごと、伝えたとばってん」
「それに頼るしかないか……」
「博多市を!」の声に取り囲まれて、扉が開くのをじりじりと焦りながら待った。
「あっ、扉が……」
扉が少しずつ、反対側から押し開けられようとしている。ハンの者たちが頑張っているのだろう。カタハネたちの見張りもいないようだし、この調子なら、門が開くのも時間の問題だ。
「な……なんね、この音?」
地響きが、ゆっくりと、断続的に続いた。
「何かの足音のごたるな……」
巨大な何かが歩いて、こちらに近づいてきている音だった。
「あれって、だだんだん?」
アンパンマンミュージアムの前に特別展示されていた、「ジャイアントだだんだん」の像が動き出して、こちらに向かって来ている。その周囲には、守るようにカタハネたちが……。
「いや、顔も体つきも、少しずつ変化していきよるばい。あれは……」
マイヅル様は、信じられないものを見るように、声を震わせた。
「あれは、博多大仏たい!」
「ええっ? 博多大仏って、あの、筥崎さんの近くのお寺に、台座だけが残っとる、あれ?」
玉せせりの時に、博と一緒に筥崎宮に行って、うんちくを聞かされたのを覚えている。
「でも、博多大仏は、戦時中の金属供出で失われたとじゃないと?」
「……ヨリシロば使ったとごたるな」
マイヅル様は、自らの無力さを嘆くようだった。
「博さんが、玉せせり騒動の時に、どんたくの花自動車ば、市電のヨリシロば使って花電車にしたろうが? あれと同じ技ば使ったとたい」
「でも、花自動車やったら、花電車とはゆかりが深いけん、ヨリシロにすることができろうばってん、やなせたかしさんもだだんだんも、博多大仏とは何も関係なかとじゃなかですか?」
だだんだん像が博多に来ているからといって、それを安易に、博多大仏の魂を乗せる「ヨリシロ」にできるとは思えなかった。
「博多大仏の鎮座する称名寺は、明治の頃は博多の中心部にあったとたい。称名寺があったとは、昔の片土居町……。まさに、今のリバレインがある場所たい」
だだんだんが昔の称名寺の跡に立っていたからこそ、ヨリシロにできたのだろう。
「博さんが驛長に入れ知恵して、だだんだんに、博多市の怨念ば注ぎ込ませたごたるな」
博多大仏が、門を守るように仁王立ちした。開きかけていた扉は、その力によって、固く閉ざされてしまった。

博多が封鎖されたまま、太陽が沈んでいった。
「こりゃいかんばい。日の暮れたら、博多市の怨念が本格的に動き出しっしまう!」
マイヅル様の言葉に呼び寄せられたように、空は不穏な色に光りだした。
「博多市を!」「博多市を!」
パレードに取り込まれた人々は、「博多市の怨念」を増幅させる装置と化している。博多部全体から集められた「怨念」は、不気味な青い光の帯となって、旧博多驛方面へと向かっていた。
すべての人がパレードに巻き込まれる中、一人の男が、はじき出されたように、呆然とした表情でたたずんでいた。
「博君、どうしたと……?」
博は混乱した表情で、かなめとのいさかいも忘れたようだ。
「俺……、いったいどうしたんだ。かなめと別れた後、いつのまにか驛長と一緒にいて、博多部を封鎖して怨念を集めるお先棒を担がされていたんだ……」
自らのやったことを思い返し、博は頭を抱えた。
「枡形門で博多部を封鎖して、だだんだんをヨリシロにして博多大仏を復活させて守りを固めた。そうして、どんたくのパレードを無限ループさせる……。博多市の怨念を増幅させる万全の態勢を整えたところで、俺だけ放り出されちまった」
「マスガタモンって、何? 博君」
「初代福岡藩主、黒田長政が城下町を作った時に、武士の街の福岡と、町人の街の博多の間を流れる那珂川には、二つしか橋をかけさせなかった。その二つの街を隔てていた橋に作られて、人の通行を制限したのが枡形門で、福博の分断の象徴なんだ」
そんな門だったからこそ、時を超えて出現して、福岡と博多を分断する力があったのだろう。
「この傘鉾は……?」
博はかなめの後ろに立つ、傘鉾を見やった。
「あの、声の主たい」
「えっ? この中の人が……?」
詳しい説明は、マイヅル様本人にしてもらった方がよさそうだ。かなめは博と共に、傘鉾の中に入った。そうすれば、「声」を聞くことができる。
「枡形門が分断の象徴になってしまったとたいな……。私は、博多にしっかりと根付いた町民文化ば守るためにやったことばってん、それば驛長に悪用されっしもうたごたるな……」
マイヅル様はなぜか、自嘲するようにつぶやいた。
「それにしても、かなめと博よ……。あんたたちが離ればなれになって九年。ようやく二人して博多に揃ったとに、なして、そげんいがみ合うとか? お前たちば再び結びつけんと、私の力は戻らんとぞ」
長い年月を振り返るように、マイヅル様は深い溜め息をついた。
「何のことだ? 再び結びつけるって。九年前って言うと、俺たちが十八歳くらい、高校三年生の時……?」
「覚えとらんとね。住吉神社の歩射祭たい」
「住吉さんの歩射祭!」
博との最初で最後のデートの日、矢が射られた瞬間、つないだ手が燃えるように熱くなって、思わず手を離した。その時、目の前にいた着物姿の人物が、忽然と姿を消してしまったのだ。
「それじゃあ、あの時、私たちの目の前に立っとったとって……?」
「そうたい、私と驛長たい。あの日、私は驛長に誘われて、現実世界にひととき身を移し、歩射祭ば見学しよったとたい」
その頃のマイヅル様は、「神様」としての実体を持ち、現実世界にも身を置くことができたという。
「驛長は、あろうことか歩射祭の矢に、逆矢ば仕込んでおったとたい」
「逆矢? 逆さまの矢ってこと?」
「矢に潜ませた力ば、矢が射られた反動で、逆向きに作用させる技たい。逆矢の力は、私の実体ば消し去り、私に関する記憶すべてを、フクハクたちの心から奪ってしもうた」
「フクハクって、誰のこと?」
「カタハネとハンの者たちのことたい。フクハクとして私の下で活動しとったとが、片方の羽だけで離れていったけんカタハネ。そして残されたのは半分だけのハンの者たい」
「フクハクか……。それで、ようやくわかった!」
博が、難問が解けたような声を出す。
「フクハクは、福岡の福と、博多の博で福博。初代藩主、黒田長政が博多の隣に福岡の街をつくって以来の、城下町の総称だ。カタハネたちの羽の形がその当時の博多の街で、ハンの者たちの羽は福岡の街の形なんだな」
江戸時代の福博の街の地図は見た記憶がある。道理で、どこかで見たような羽の形だと思っていた。カタハネたちが博多寄りで、ハンの者たちが福岡寄りなのも、それで説明がつく。
「だけど、歩射祭にそんな仕掛けをしたら、住吉神社の神様がすぐに気付くんじゃないのかな?」
博の疑問は当然だ。住吉神社の神事を穢すも同然の行為だった。
「いや……住吉さんも関わっとる。そうじゃなかったら、逆矢に怨念の力ば満たすことはでけん」
「どうして住吉さんは、驛長の言いなりになっとるとですか?」
「駅ビルの屋上の、旧博多驛のホームの柱が原因たい」
周囲に染まることなく、孤高の姿で立っていた三本の柱だった。
「あのホームの柱が、住吉さんとどげな関係が?」
「あの柱は、元々、旧博多驛が取り壊されてからずっと、住吉さんに保管されとったとたい。それば、今の博多駅が新しくなる時に奪われたもんやけん、そこから、驛長の復讐がはじまったとたい」
驛長からしたら、住吉神社の「裏切り」とも思える行動だったのだろう。
「旧博多驛の頃は、住吉神社のすぐ裏ば線路が通っとったけん、驛長と住吉さんは、結びつきが強かったとたい。人間に柱ば奪われた負い目ば、うまく利用されたごたるな」
マイヅル様は、深い溜め息と共に、憂い声を漏らした。
「フクハクたちが集めた博多市の怨念ば、私が正のパワーに変えて、それば驛長が列車に乗せて全国に送り出す……。その形で、福岡市になった明治の頃からずっと、円滑に動きよった。ばってん、新しか駅ビルに昔のホームの柱ば飾るとが決まってから、驛長は私に黙って密かに、博多市の怨念ば溜め込んどったとたい」
「怨念を、何のために……?」
「驛長は、私に直接力ば下すことはできんけんな。そいけん、歩射祭の矢に怨念ば乗せて、矢が放たれる瞬間に、逆矢の力で私に怨念ば向けたとたい。不意打ちやったけん、私は矢の力ばまともに食らってしもうた」
マイヅル様の声が、消え入るように小さくなる。
「万事休すやった。そいけん、私が姿ば消してしまう最後の瞬間に、あんたたちのつないだ手に、力ば預けることにしたとたい」
「どうして、そんな面倒なことを?」
博が憤りの声を出す。せめて、かなめか博の一人だけに力を託してくれれば、九年も時を無駄に費やすこともなかっただろうに……。
「あんたたちのどちらか一人に力ば託すことは簡単たい。ばってん、そればしたら、驛長はすぐに気付いて、あんたたちから力ば奪ったはずたい。そいけん、あんたたちが手ばつないだ時だけ力ば発揮できるごつして、あの場ではすぐに手ば離させたとたい」
「それじゃあ、あの時、かなめが俺から手を引き剥がしたのは……」
博が絶句する。博のかなめへの「誤解」の発端が、マイヅル様のせいだったのだから。
「おうじょうしたたい。せっかく力ば預けたとに、あんたたちは博多と東京に離ればなれになってしもうたしな」
それからマイヅル様は、自分に残ったわずかな力を使って、ハンの者たちに声だけで指示を出し、何とか博多市の怨念を減らそうとしてきたのだ。
「それやったら、あの博多駅前の陥没事故の時に、私に声ばかけて助けたとも?」
「そうたい。私たい。あんたたちの一人でん欠けたら、私は永遠に力ば取り戻せんけんな」
だとしたら、マイヅル様は、かなめの命の恩人だった。
「そもそも、あの陥没事故も、驛長が今の博多駅に怨念ばぶつけようとして、起こったことやけんな」
「驛長は、あの陥没事故は、博多市の怨念が溜まり過ぎて、暴走したからって言っていたけど?」
「驛長がわざとやったことたい。あの前日は、私が姿ば消されてから五年後の歩射祭やった。私がおらんけん、驛長は思うさま怨念ば乗せて、逆矢ば放ったとたい。矢は南西の裏鬼門に向けて放たれる。逆矢の向かった鬼門の方角に、ちょうど博多駅があるとたい」
「陥没事故は、本当は博多駅ば狙っとったってこと?」
「そげんたい。私は力ば失っとるけん、駅ビル屋上の鉄道神社の力ば借りて、怨念ば駅に近寄らせんごと一晩中、頑張りよったとたい。その結果、なんとか駅は守り抜いたばってん、駅前に怨念が落下して、あの陥没事故になったとたい」
陥没事故の謎。その真相がこの羽片世界にあっただなんて、解明されるはずもなかった。
「力を預けたってことは、俺たちが力を戻せば、マイヅル様は元の力を取り戻せるってことだろう?」
「そのつもりやったたい。ばってん……」
マイヅル様は、もどかしげに傘鉾を揺らした。
「あんたたちは、まぁだ心がすれちがったままやけんな。心から信頼しあって手ばつながん限り、私に力ば戻すことはできんとたい」
かなめは言葉に詰まった。誤解が解けたとはいえ、今の博と信頼して手をつなぐなんて、できるはずもなかった。
「悠長に話しよる場合じゃなかばい。あの陥没事故で博多駅への攻撃が失敗してから、驛長は今までにも増して精力的に、怨念ば集めるごとなったとたい。このどんたくが、驛長の怨念集めの総仕上げになるはずたい。早よ阻止せんと、博多市の怨念が、どんどん膨れ上がってしまうばい」
マイヅル様の声が、焦りでうわずっている。
「それだけじゃなかよ。このままパレードば続けたら、みんなどげんかなってしまうよ!」
怨念に突き動かされ、人々は食事も休憩もとらずに歩き続けているのだ。パレードには、疲れ切った表情で踊るおばあちゃんが!

続きはこちらから→第十二話

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「博多さっぱそうらん記」とは

福岡県出身で現在も福岡に在住する作家、三崎亜記氏による新作SF小説。

1890 年の「福岡市の名前を巡る騒動」と2016 年に起きた「博多駅前道路陥没事故」から着想を得て、「博多を名付ける勢力が勝っていた世界」=「羽片世界」がもし福岡市にあったとしたら、その勢力が現実の福岡をも転覆しようとしているために陥没事故が起こったとしたら、という物語を紡ぎだしました。仮想の「羽片世界」の面白さはもちろんですが、「せいもん払い」「どんたく」「玉せせり」など福岡独自の風習も物語の骨子に組み込まれて入るため、ご当地小説としても楽しんでいただける作品です。

 

著者について

三崎亜記(みさき・あき)
福岡県生まれ。熊本大学文学部史学科卒業。

2004 年に『となり町戦争』で第17 回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。デビュー作と『失われた町』『鼓笛隊の襲来』で直木賞の候補となる。そのほかの作品に「コロヨシ!!」シリーズ、『バスジャック』『廃墟建築士』などがある。

 

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