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シティ情報ふくおか初のウェブ小説連載 三崎亜記氏作「博多さっぱそうらん記」第十話

 

委員たちは会議室から出て行き、かなめと博だけが、その場に残った。かなめが手を離すと、博はようやく戒めが解けたように、動きを取り戻した。
「どういうつもりだよ? 俺をいいように操りやがって」
博が、かなめにくってかかった。
「どういうつもりは、こっちのセリフたい!」
かなめも負けてはいなかった。
「博君もわかっとろうもん。怨念が、現実世界にまで影響ば与えよるとが。あのまま委員さんたちが暴走して操られてしまったら、博多はさっぱそうらんになってしまうよ」
「当然だろう。俺はそれを狙っていたんだからな」
計画を封じられ、博は憮然とした表情だ。
「博君が博多のことば良く知っとるとは、博多のことが好きやけんじゃなかとね? あれだけ博多の知識ば持っとるとに、それば博多ばおかしくすることにしか使わん気ね」
「そ、それは……」
言葉を詰まらせて真顔になる博だが、すぐに気を取り直し、皮肉な表情を取り戻した。
「はっ、何度も言ってるだろう。こんなチンケで田舎くさい街なんか、大っ嫌いだって」
本気なのか、それとも、かなめの前だから意固地になっているのかわからなかった。もうかなめは博の方を向きもせず、黙って会議の後片付けを始めた。何か言いたそうにしばらく立ち尽くしていた博は、背を向けて会議室を後にした。

 

 

「どうしたとね、かなめ。元気のなかね」
幼い頃からお世話になってきたおばあちゃんには、かなめの心はお見通しだった。もっとも、おばあちゃんの手料理に箸の進まない様子をみれば、かなめの気落ちは一目瞭然だっただろうが。
「博君とのことね……?」
珍しく素直に頷くかなめに、おばあちゃんは真面目な表情になる。いつもならからかってくるけれど、かなめが本気で悩んでいる時は、絶対に茶化したりしない。
「もう、どうすればいいか、わからんと……」
おばあちゃんに、博多の裏の「羽片世界」のことなど話すわけにはいかなかった。ただ、博との関係がギクシャクして、お互いに歩み寄れなくなっていることを打ち明けた。
「やおいかんねぇ」
おばあちゃんは、そう言って腕を組んだ。
「やおいかん」は「柔らかく行かん」で、「難しい」という意味の博多弁だ。若い人はあまり使わないけれど、今の気分はまさに「やおいかん」だった。
「仲直りばしたかとね?」
かなめは自分の気持ちを確かめ、あいまいに首を振った。
「今のまま、形ばっかり仲直りばしても、何も変わらんと思うと……」
二人の関係は、そのまま「博多市の怨念」がどうなるかに関わっている。二人が手を携えなければ、あの「声」の主に辿り着くことも、博多市の怨念を消し去ることもできないのだ。
「ねえ、おばあちゃん。どげんすればいいと思う?」
「そうねぇ……。どげんしょうかねぇ……」
おばあちゃんは顎に指を置いて、しばらく考えていたが、心ここにあらずという風に、壁のカレンダーに視線を向けた。
「まあ、なるようにしかならんたい。さ! あたしは今から、どんたくの練習のあるけんね」
そう言って、そそくさと準備をしだす。おばあちゃんは、習い事のお仲間と一緒に、毎年どんたくのパレードに参加している。
「そんなら、かなめ。ちゃんと戸締まりして帰ってね。今年は新しか踊りに挑戦するけん、練習もしっかりしとかんといかんもんね。ああ、忙しか、忙しか!」
そう言って、かなめを置き去りにして、さっさと出かけてしまった。あっけにとられたまま、かなめは一人、取り残された。
「もう! 博多の人は、やれどんたくだ山笠だって、お祭りのたんびにのぼせ上がってしまって、なんもかんも放り出すっちゃけん! 好かぁーん!」
誰もいない玄関に向けて、かなめはそう叫んだ。

 

 

桜の季節を迎えた。「博多市」騒動の盛り上がりで不測の事態が起こりかねないからと、市長が「緊急事態宣言」を出し、「博多区での花見宴会禁止」のお達しが出されていた。会社近くの桜の名所、山王公園も、満開を迎えたのに花見客はいない。かなめは仕事を終えて一人で、公園をそぞろ歩いた。
「博多市」を願う声が満ちている今、博多の代表的なお祭りであるどんたくを間近に控え、街は異様な盛り上がりを見せていた。見る者もなく静かに咲き誇る桜が、騒動でささくれ立った心を癒やしてくれるようだ。
どんたくに関しては、かなめにも予想外のことがあった。
公園プロジェクトの委員たちは、いずれも博多の街の重鎮たちであり、どんたくの方向性を決める面々でもあったのだ。委員たちの働きかけによって、過激な「博多市」主張の排除や黄色いマスクの禁止などが盛り込まれ、従来通りの形でのどんたく開催となった。
「博多市の怨念」に突き動かされたまま、今年のどんたくが決まっていたとしたら、博多区民以外の参加禁止など、過激な方向に向かっていただろう。
あの時、博と無理やり手をつないで感じた、「声」の主の力……。その「力」が委員たちの「暴走」を抑え、どんたくを無事に開催させることにしたのだという気がしていた。結果的に、かなめと博が、危ぶまれていたどんたくの開催を後押ししたことになる。
桜を愛でながら歩くうち、公園内の日吉神社の境内に行き着いた。境内の隅には、石づくりの「塔」が置かれていた。塔というにはなんだか中途半端な存在が気になって、近寄ってみる。昔の博多驛の石の柱が「記念塔」として奉納されているようだ。
「こんな所にも、昔の博多驛の名残があったとたいねぇ……」
かなめはそうつぶやいて、石塔を見上げた。
博と再会して早々の「羽片世界」騒動、そして博の変貌に、自分の心を確かめる暇もなかった。高校生のあの日、博の告白に「よかよ」と答えた自分の思いは本物だったはずだ。だけど、今はどうなんだろう? 自分の心の内をのぞいてみる。
高校生の頃の博と、今の博は、博多の知識が豊富という共通点をのぞいては、まるっきりの別人だった。でも、その変貌のきっかけを作ったのは、博の誤解とはいえ、かなめ自身なのだ。
時間が止まったように咲き誇る桜から、花びらが一枚、音もなく落ちていった。止まったままの心の時を、動かさなきゃならない。
境内の朱塗りの手水舎は、なぜか傾いた姿で建っていた。歪んだ形で立つ手水舎は、今のかなめの心を代弁するようだった。

 

 

いよいよどんたくが近づいてきた。社長はいつにも増して仕事そっちのけで駆け回っているし、大橋先輩は婚活にいそしんでいる。かなめは、鬱屈した思いを抱えたまま、どんたくを控えて賑わう川端通商店街を歩いた。仲西会長の号令一下の落書き&シール除去作戦で、過激な「博多市」の主張は一掃され、「博多市」運動は、表向きは鳴りを潜めている。
「あれって、博君……」
川端ぜんざい広場で、博の姿を見かけた。高校時代に文化祭の実行委員でぜんざいを一緒に食べた、思い出の場所だった。一緒にいるのは……。
「えっ、おばあちゃん?」
今日もどんたくの踊りの練習に行くと言っていたから、その帰りなのだろう。だけど、どうして二人が一緒に?
広場は商店街側と、博多川側の二つの入口がある。かなめは急いで、人目につきにくい博多川からの入口に回り込んで、飾ってある飾り山の陰に隠れる。そっと近づいて、聞き耳を立てた。
「すみません、話を聞いてもらって」
博は、おばあちゃんの前では殊勝な態度だ。
「いいとよぉ。私も若か男性と話ばするやら久しぶりやけん、ドキドキしてしまうばい」
「あの……、横溝さんは、うちの会長とは、長いお付き合いなんですか?」
どうやら博は、目の前の人物が、かなめのおばあちゃんだとは知らないようだ。
「おたくの会長さんは、夫の大学の同級生やったけんね。あなたくらい若か頃には、出張で博多に来られるたんびに、夫に会いに来られて、私も親しゅうしていただいたとよ」
おばあちゃん、そんなこと、一言も教えてくれなかったのに……。
「夫が早く亡くなってからも、いろいろと支えてもらったとよ。会長さんからも、博さんのことば気にかけてくれって言われとったと」
道理でおばあちゃんは、博のことを妙に話題にすると思っていたんだ。いかにもおばあちゃんらしいけれど、そんなことなら、事前に教えておいてくれていたらいいのに……。
「仲西会長さんからも話ば聞いたばい。博多市騒動のせいで、会議も、さっぱそうらんになってしまったげなやんね」
博は神妙な表情で頷いた。自分がその騒動の発端だなんて、言えやしないだろう。
「実は、会議がむちゃくちゃになった時に、手伝いで入ってくれている人物に助けてもらって……」
「あらあら、良かったやんね。ちゃんとお礼ば言ったとね?」
「それが……、実は、その子が幼なじみで、過去にいろいろとあって……」
「いろいろあったって、昔、恋人やったとかね?」
おばあちゃんは、博の顔をのぞきこむようにした。
「そ……そんなことじゃなくって……」
博は頬を赤らめて首を振った。
「きちんと話さないといけないのに、その子の前に立つと、ついつい、反発しあってしまって……。話したいことも話せなくなって、けんかばかりになるんです」
「まあ、素直になるとは、難しかもんたいね」
おばあちゃんは、そう言って、博にぜんざいをすすめた。
「もうすぐどんたくやねぇ。博さん。あんた、どんたくの由来は知っとるね?」
博は少し視線を宙に向けて、考えているようだ。
「どんたくの前身は、博多松囃子……。福神・恵比須・大黒の三福神と稚児たちが、とおりもんを引き連れて、博多のほうぼうを訪問して祝賀する祭りですよね」
とおりもん……? 博多土産の定番のお菓子が、どんたくと何の関係があるんだろう。
「若かとに、よう知っとらすね。私の孫やら、とおりもんはお菓子の名前としか思っとらんけんね」
おばあちゃんに図星を指されて、かなめは隠れて赤面してしまった。それじゃあ、「とおりもん」って、何なんだろう。どこかに、そんな「門」があったんだろうか。
「なんね、博さん。思い出し笑いのごたる顔ばしてから」
おばあちゃんに言われて、博は苦笑しながら首を振っていた。
「いや……、幼なじみのその子だったら、とおりもんってどんな門があったとやか……、って言いそうだから」
まさに、自分が思っていた通りのことを博に言われて、かなめは一人で俯いてしまった。
「松囃子の一行について歩いて、仮装して出し物ばする人たちが、とおりもんたいね。松囃子は、昔は正月にお城ば表敬して訪れて、お殿様に向けて披露されよったごたるね。博多の町人が、この日ばっかりは無礼講で、お殿様の前で、日頃の不満ば伝える場やったとかもしれんねえ」
おばあちゃんは、どんたくの話で、博に何かを伝えようとしているようだ。
「どんたくのステージで披露される博多にわかも、その始まりは、お殿様の前で披露したごたるねえ。真剣に口にしたらお手討ちになるごたる不平不満ば、ユーモアで包んで表現したとが、その起源やったとじゃなかとかねえ」
おばあちゃんは優しい瞳で、博を見つめた。
「そいけん、どんたくの日だけは、素直になって、心の思いば表に出しても良かっちゃなかね?」
しばらく黙ったまま考え込んでいた博は、ぜんざいを一気にかき込んだ。あまりの甘さに顔をしかめて頭を押さえる博を、おばあちゃんはニコニコと笑って見守っていた。

 

 

「かなめちゃん、ごめんねぇ。パレード、一緒に見に行くって約束しとったとに……」
電話の向こうで謝る大橋先輩の声は、ちっとも申し訳なさそうじゃなかった。
「全然よかですよぉ! 先輩、今度こそ、うまく行くと良かですね」
婚活パーティで意気投合した男性からのお誘いに、かなめとの約束はあっけなく反故にされてしまった。バツイチで絶賛婚活中の先輩には頑張ってほしいが、今日の予定も気持ちも、宙ぶらりんになってしまった。
「どげんしょうかな……」
浮かない気分のまま部屋にいたが、どんたくの音は、部屋の中まで聞こえて来る。しばらく迷って、かなめは腰を上げた。おばあちゃんがパレードに参加するので、それくらいは見ておかないと。
部屋を出て、川端通商店街に向かう。家族連れや旅行者が、どんたくのパレード目指して楽しげに歩いていた。かなめは、参拝客で賑わう櫛田神社に足を向けてみた。お参りを終えて拝殿を見上げ、不思議な気分になった。何かが、足りない……。
「雷神様が、おらんごとなっとる……」
拝殿上の破風には、木彫りの風神雷神が置かれていた。雷神が博多の街に騒動を起こそうと風神を誘っているが、風神はそれに逆らってアッカンべーをしているのだと、博がうんちくを語っていた。
それなのに今日は、雷神が姿を消していた。修理でもしているのだろうか? 風神はアッカンべーをする相手を失って、なんだか悲しげに見える。

「おばあちゃん、どこにおるとぉ?」
スマホを片手に、かなめは冷泉公園の中を歩き回っていた。川端通商店街に隣接する公園は、パレードの出発点に近いので、各団体の集合場所になっていた。色とりどりの仮装や着物姿の人たちでごった返し、おばあちゃんを捜すどころじゃなかった。
「ああ、かなめ、ここよ、ここよ!」
スマホを片手に手を振るおばあちゃんを、ようやく発見した。
「今年は工事が入って公園が狭もうなっとるけん、往生したたい」
公園の北側でNTTのケーブル工事が始まっていて、周囲は高い壁で覆われている。
「あすこは藤巴の紋の目印があったけん、待ち合わせの目印にはぴったりやったとにねえ」
「おばあちゃん、なんね、藤巴って?」
「ちゃ! あんたは福岡に住んどって、なぁんも知らんね。黒田のお殿様の紋たい」
「つまり、黒田家の家紋ってこと?」
工事現場の覆いには、工事の案内と共に、かつてここにあった花壇の写真が掲げられていた。小さな噴水を中心に、らせんを描くように花壇が配置された様は、確かに「藤巴」の紋に見えなくもない。
「かなめ。博君は、博多リバレインの前で見物しよるげなよ」
おばあちゃんが、内緒の儲け話でもするみたいに耳打ちした。
「な、なんね、いきなり。こないだ相談した時は、何もしてくれんやったくせに」
「相変わらず、素直じゃなかねぇ……。ぜんざい広場でも、最後まで隠れとってから」
「なっ! おばあちゃん、わかっとったと?」
おばあちゃんは有無を言わさず、かなめの体をリバレイン方向に向けた。
「ほら、リバレインの向こうには、鏡天満宮もあるとやけん、鏡見てお化粧直して、通りゃんせ、通りゃんせで、行ってこんね」
そう言って、おばあちゃんは、かなめの背中を押した。

博多リバレインの前は、見物客と出店で大変な賑わいだった。
「だだんだんが、人ば踏み潰すごたるねえ」
リバレインには、「福岡アンパンマンこどもミュージアム」が入居している。このどんたくまでの期間限定で、高知の「やなせたかし記念館」から運ばれてきている「ジャイアントだだんだん」が飾られていた。大群衆が追いかけられているような姿が面白いのか、みんながカメラを向けている。
次々と、パレードが目の前を通過してゆく。正統派のしゃもじを手にして踊る集団もいれば、サンバカーニバル風の団体、よさこいをイメージしたチームや、企業や自治体のPR隊など様々だ。本当に博多っ子は、鷹揚というか、「おおまん」だ。
パレードを挟んで道の反対側に、博がいた。博も、かなめの姿を見つけたようだ。パレードの列が途切れ、警備員が道を横断する歩行者を通す。かなめと博は、同時に足を踏み出した。道路の真ん中で、二人は向き合った。
「あの、博君、うちね……」
「あの、かなめ、俺さ……」、
「な、なんね、博君?」
「か、かなめこそ、何だ?」
お互いに口ごもって、下を向いてしまう。警備員の笛に追い立てられるように、二人はリバレイン側に渡った。人ごみを避けて、博多川沿いを歩き続ける。リバレイン裏手の鏡天満宮の前で、ようやく二人きりになって向き合った。
止まった時計を動かそう。そう思って、かなめから口を開いた。
「九年前……、あの時のことから、話さんといかんと思うと」
博は黙ってかなめを見つめている。そのまなざしに微かに残る少年の頃の面影に勇気づけられ、思いを告げる。
「あの時、うちは本当に博君の告白にオーケーしたとよ。でも、あの矢が、自分に向けて逆さまに飛んできたごたる気がして、思わず手ば離してしまったと……」
博多弁の「よかよ」は、そのニュアンスで肯定にも否定にも使える、便利で、少しややこしい言葉だ。博は高校生の頃、かなめに交際を申し込んだ。その際、かなめは「よかよ」と応じてすぐに、手ひどく振った……と博は思い込んでいる。それが博の心に博多へのトラウマを植え付けてしまった。その誤解を解く機会も与えず、博はかなめの前から消えたのだ。
かなめは目をつぶって、博の返事を待っていた。
「俺の方こそ、意固地になっちゃって……」
博の言葉が、不自然に途切れた。
「……素直に謝るかと思ったら、まだそんな言い訳をするつもりなのか」
目を開けると、博は表情を一変させ、氷のように冷たいまなざしを、かなめに向けていた。
「信じてくれんと?」
「当たり前だろう? 博多の人間が、『あの言葉』を肯定にも否定にも使って、他の地域の人間を貶めるってのは、よぉくわかってるからな」
憎々しげな表情でうそぶく。おばあちゃんに「素直にならんね」と諭された博の、本当の気持ちがこれなのだろうか……だとしたら、もう、かなめにはどうしようもなかった。
「高校の頃、ちょっとでも博君に憧れとったとが、馬鹿のごたるね」
かなめは、溜め息と共に、そうつぶやいた。九年前で止まった時計。二人の時が、再び重なり合うことはなかった。
「もう……よかよ」
「お前! その言葉で俺にトラウマを植え付けたくせに。わざと使って、のんきに笑いやがっ……」
博の言葉が途切れた。かなめの微笑みが、理解し合えない相手への、諦めと寂しさの表れであることに気付いたのだろう。
「もう、博君の、よかごとせんね」
「よかごとせんね」は、「好きなようにしなさい」という意味だ。相手に全面的に賛同して言う場合もあれば、相手を翻意させられない時に、諦め混じりに口にすることもある。かなめがどちらの意味で使ったのかは、博にはわかっているはずだ。
「あ、ああ、わかったよ。す……、好きなようにやってやるさ」
虚勢を張ったような上ずった声で言って、博は何度も人にぶつかりながら走り去った。気のせいだろうか。その姿が、青い光に包まれたように見えたのは……。

続きはこちらから→第十一話

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「博多さっぱそうらん記」とは

福岡県出身で現在も福岡に在住する作家、三崎亜記氏による新作SF小説。

1890 年の「福岡市の名前を巡る騒動」と2016 年に起きた「博多駅前道路陥没事故」から着想を得て、「博多を名付ける勢力が勝っていた世界」=「羽片世界」がもし福岡市にあったとしたら、その勢力が現実の福岡をも転覆しようとしているために陥没事故が起こったとしたら、という物語を紡ぎだしました。仮想の「羽片世界」の面白さはもちろんですが、「せいもん払い」「どんたく」「玉せせり」など福岡独自の風習も物語の骨子に組み込まれて入るため、ご当地小説としても楽しんでいただける作品です。

 

著者について

三崎亜記(みさき・あき)
福岡県生まれ。熊本大学文学部史学科卒業。

2004 年に『となり町戦争』で第17 回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。デビュー作と『失われた町』『鼓笛隊の襲来』で直木賞の候補となる。そのほかの作品に「コロヨシ!!」シリーズ、『バスジャック』『廃墟建築士』などがある。

 

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