トップに
戻る

【福岡パン】NEWOPEN『ブーランジェリー・ドゥー・フルール』(福岡市城南区)

凄腕パン職人の手から魔法のように生まれる焼き立てパン!

城南区神松寺。目印は、福大大池通り沿いの佐賀銀行と城南消防署。その間の路地を一本裏通りに入ったところに、かわいらしい三角屋根のパン屋ができた。

名前は『ブーランジェリー・ドゥー・フルール』。

9月15日のオープン当日に伺ったときは、長蛇の列であえなく退散。その後も何度か試みるも、相変わらずの盛況ぶりに尻尾を巻いていたところ、開店から約2カ月、ようやく「夕方であれば落ち着いてきた」ということで高鳴る胸とお腹(笑)をおさえながら、おじゃましてきました。

出迎えてくれたのはオーナーシェフの佐伯賢さん。

大学生のとき、偶然始めたスーパー併設のパン屋でのアルバイトから数えてこの道20年余り。

卒業後も、縁あって人気ベーカリー『麹屋』の新店立ち上げメンバーとして店舗と製造の責任者を経験。そこからパンづくりの知識と技術をさらに高めるべく、地元の大手製パンメーカーに入社。

そこでも商品開発部門の責任者などを歴任しながら、数々の人気メニューを開発。その間も腕に磨きをかけるべく、全国各地から志高き職人が集うパンの技術研究所に通い、全国区の職人の知識と技術を学んできた、経験豊富な特級製パン技能士だ。

今のところ製造はほぼ一人でこなしているという佐伯さん。しかしながら、朝9時の開店から閉店間際まで、まるで魔法使いのごとく1日40〜50種類の焼きたてパンが店のカウンターに次々と出てくる。

しかも、そのどれもがキッチリとした姿の、丁寧な仕事がうかがえるものばかり。

なのに値段は100円、200円台のもがほとんどという良心価格には正直驚いた。

「これまで自家製も、加工品も、本当にたくさん試す機会に恵まれてきたので、できるだけ最良の選択肢や技術を見つけることが自分にできることかなって思うんです。色々な種類の生地や材料の味を通して、無限のパンのおいしさを楽しんでもらいたい。だから、儲けも大事だけど、価格、味、品数、焼き立て、どの観点からも毎日味わえるおいしさを優先してお届けしたい。ただそれだけなんです」と佐伯さん。

佐伯さんはそうサラッと言ってのけるが、これは並外れた努力と想いがなければ実現し得ないのが今のご時世の現実。

「当たり前にやっていることなので、お話するようなことではないですが」と当の本人は謙遜しているが、その命題にチャレンジしていること、その姿勢に拍手を送りながら、ぜひ一品一品を味わいたいと強く感じた。

「佐伯ルール」とも呼ぶべき無数の掟がおいしさの鍵

店で扱う粉の種類はライ麦を含め、なんと常時10種。それだけの種類を、単体だったり、配合したりしながら、風味、食感、味わい、粉の特徴ごとに使い分ける。

それだけの知識と経験があるからこそ成せる技だ。

そのこだわりは生地だけに留まらないのがこれまた凄い。

あんぱんのあんこの糖度は(数々の研究の結果)絶対に52度がベスト。

黄金色のカスタードクリームは、長年かけて編み出した秘伝のレシピで手作りすれば、どこにもない最良の味と価格が実現できる。

カレーパンにはフランスパン生地を使い、一度焼き上げた後、提供前にカラッと油を通すことで、外はカリカリ! 中はムッチリ! 焼きと揚げのいいところ取りをした最高の味わいをアツアツの状態でのみ提供する。

プロでも知らない人が多い食材を取り寄せては隅々まで研究する……など、これまで商品開発現場で試行錯誤しながら培ってきた「佐伯ルール」とも呼ぶべき無数の掟が、どのメニューにも満載なのだ。

顔が見える接客をモットーに、客の声に耳を傾け、たくさんのメニューを焼き立てのまま、素早く出していくためだけに、オーブンは陳列棚の真後ろに設置した。

マストバイのおすすめ商品を佐伯さんにピックアップしてもらった!


・ほんのりとしたきび糖の甘みとザクザク食感のクッキー生地がクセになる『きび糖のメロンパン』(160円)
・糸島卵を使ったバニラビーンズ入り自家製カスタードクリーム入り『糸島卵のクリームパン』(160円)
・国産フレッシュバターと3種類の小麦粉をブレンドした『クロワッサン』(160円)
・鹿児島黒豚カレーを包んだカレードーナツ『鹿児島黒豚カレー』(180円)
・自家製レアチーズクリームにフランボワーズソースをのせた『ルージュ』(280円)
・生のオレンジのシロップ漬けと自家製カスタードクリームを合わせた『オランジェ』(280円)
・レッドチェダーチーズとブロックチーズがたっぷり『もちもちチーズ』(280円)
・イチジク、レーズン、クランベリー、オレンジ入り『4種の果実フランス』(330円)
・沖縄ポーク100%のウインナーを1本まるごと挟んだ『島唄ウインナードッグ』(350円)
・鳴海屋の明太子を使った『明太フランス』(350円)

・雪のような口溶けが魅力の週末限定ブリオッシュ『ドゥー・フルール』(280円)

・3種の小麦粉をオリジナルブレンドして、長時間熟成発酵製法で旨みを引き出した『S-バゲット』(250円)

・北海道産小麦粉と福岡県産米粉を使いごはんとパンのおいしさを融合させたコンテスト受賞作『お米と小麦』(280円)

※本文中の価格はすべて税別

「生まれ育ったこのまちでパン屋を開くのがずっと夢だったんです」。


なかでも、最初に絶対に食べてみてもらいたいメニューを聞いたところ、「クロワッサンと、デニッシュのリッチパンです!」と即答だった。

佐伯さんがパン職人としての道を極めることを目指すキッカケになったという伝説の職人の味を目指し、ひと際、力を入れて進化させ続けているメニューだ。

そんな全国のパン職人が憧れる名手との出会いによって生まれたもう一つの目標が「いつかふるさとでパン屋を開く」ことだった。

生まれも育ちも福岡市城南区。大学は福岡大学に進学し、今も住まいは七隈。生粋の城南区育ちの佐伯さんはこの日をずっと夢見てこれまでパンづくりに励んできた。

「1日に朝・昼・夕と3度通ってくれる常連さんもいるんです。本当に励みになります」。佐伯さんの熱き想いは、日々のパンを通して、今たくさんの人に伝わりはじめている。

取材当日も常連の働くママさんから、家でお腹をすかして帰りを待つ子どものために「夕方17時、焼きたてのピザパン(180円)を3個お願いしたい」という申し出に、快く二つ返事で答え、うれしそうに、そして心を込めて、佐伯さんはパンを焼き上げていた。

「このまちで一生愛され続けるパン屋になりたい」

その願いを叶えるために考えたフランス語の店名には、佐伯さんの愛娘と息子の名前の意味がしっかりと込められている。

「これは夢のまた夢なんですが、いつの日か、もしも親子で店に立てたら最高ですよね」。クシャクシャとなった笑みを浮かべながら、照れ臭そうにしながらそう語ってくれた。

長年かけてようやく叶えた夢から、いま新たな夢の種が生まれようとしている。

時代と世代を超えて、愛され続ける「ふるさとの愛されパン屋」を目指して。おいしいパンのごとく、パンドリームが描く未来は、これからさらに大きく膨らんでいく。

Boulangerie Doux Fleurs(ブーランジェリー・ドゥー・フルール)

住所:福岡市城南区神松寺3-21-10
電話:092-400-1198
営業時間:9:00〜17:30
定休日:日曜、月曜 ※不定休あり
Instagram:@doux_fleurs

掲載の内容は取材時のものです。取材日と記事公開日は異なる場合があり、メニューや価格、営業時間、定休日など取材時と異なる場合がありますので、事前に公式HPやお問い合わせにてご確認をお願いします。

法人様・自治体様向け情報サイトはこちら