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太宰府天満宮アートプログラム vol.11  ≪ 田島美加 「Appear」≫ 5/15~10/10

開催日時
開催場所
福岡県太宰府市宰府4- 7-1 太宰府天満宮宝物殿および境内

 

太宰府天満宮アートプログラム vol.11

田島美加 「Appear」

令和4年(2022)5 月15 日(日)~ 10 月10 日(月・祝)

 

 

太宰府天満宮では、平成18 年(2006)から展開する太宰府天満宮アートプログラムの第11回目として、ニューヨーク在住のアーティスト、田島美加(ミカ・タジマ)の個展を開催します。

 

“Appear”とは、目に見えるようになること、知覚されること、または、ある証拠によって明らかにされること。日本人の両親の元、アメリカで生まれ育った田島は、グローバルな視座から、これまで西洋と東洋の交錯、物質・エネルギー・人間の精神の遷移、変換などをテーマにしてきました。

令和元年(2019)に太宰府を訪れた彼女は、初めて知る神社と神道、そして、1100 余年の間、循環しながら歴史を繋いできた当宮への考察を通して、10点の新作を制作しました。今回、境内に常設される立体作品《Echo》には蓄光性の顔料が使われ、太陽光とブラックライトによってチャージされたエネルギーが循環するしくみにより、光に包まれた瞑想の彫刻が出現します。また宝物殿には、御本殿での祝詞を収録した音源をプログラミングによってパターン化し、ジャガード織機で織る「Negative Entropy」を始めとする作品が並びます。

 

境内を歩き、話し、長い時間の思索を経て田島が辿り着いた、自然と人の精神のエネルギーの可視化を試みる作品の数々との対峙をお楽しみください。

 


 

展覧会情報

会期:令和4 年(2022)5月15日(日)~10 月10 日(月・祝)
※7/18・7/25・9/19・10/10 を除く月曜休館

開館時間:9 時~ 16時30分(入館は16 時まで)

会場:太宰府天満宮宝物殿および境内
〒818-0117 福岡県太宰府市宰府4- 7-1

観覧料:一般500(400)円・高大生200(100)円・小中生100(50)円
※( )内は30名以上の団体料金、障害者手帳提示により付添者1名まで半額料金

主催:太宰府天満宮

協力:TARO NASU

展示監修:スーパーファクトリー

 


 

展覧会の見どころ

1. 海外で高い評価を受ける田島の作品を、日本で初めての規模で紹介

日本人の両親のもとロサンゼルスに生まれ、現在はニューヨークを拠点に活躍する田島美加。彼女の代表作とも言える、熱成形された透明なPETG 樹脂を使った 「Art d’Ameublement(=Furniture Art)」シリーズは、フランス人作曲家エリック・サティが提唱した、生活空間に溶け込む音楽という意の “Furniture Music”にちなんでいます。支持体の片面に絵の具を付着する従来の絵画とは異なり、霧状の絵の具の粒子を内側に封じ込めた色のグラデーションで描かれているのです。また、各作品には、遠隔地の名称の副題がつけられ、鑑賞者と作品との距離感を暗示しています。今回太宰府で彼女が発表する「Art d’Ameublement」は、境内に常設される《Echo》の類似作品で、初めて蓄光性の材料を用いています。展示室の日々の光とブラックライトに晒された作品はエネルギーを蓄え、暗闇で時折、儚い光を放ちます(写真右)。

 

Art d’Ameublement (Karena Maihiva)
2021
182.9 x 137.2 cm

 

2. 太宰府に滞在し、リサーチをすることで生み出される作品

「太宰府天満宮アートプログラム」では、太宰府での滞在や取材を経て制作された作品を地域の財産として収蔵・公開することで、文化活動を牽引していく役割を担っています。「Negative Entropy」シリーズは、音源データを抽象的に解釈・構成したテキスタイル・ペインティングで、田島が滞在中に触れた太宰府天満宮の御本殿に参拝する人々と日々の祝詞を記録した作品です。音を媒介にして神社の日常的な情景を抽象的なイメージとして可視化したこの作品は、ある意味太宰府天満宮の肖像画と言えるかもしれません。同時にアルゴリズムコンピューティングの原型とも言えるジャガード織機で織られたこの作品は、テキスタイルとデジタル生産の歴史、つまりは物質と非物質の世界が絡み合っていることを示しているのです。

 

Negative Entropy (Dazaifu Tenmangu, Morning Prayer and Offerings, Gray, Quad)
2020
186.4×142.6×5.7 cm

 

 

3. 太宰府天満宮ならではの素材と技術を取り入れる

「Anima」は、吹きガラスによる彫刻の新シリーズ。ラテン語で「Anima」は、「呼吸」「命」または「生命力」と訳されます。この作品では、ガラスを吹くときの呼気が目に見える形として捉えられています。体の器官または深海や進化の過程にある生物のようにも見え、ブロンズ製のジャグジーのジェットノズルによってガラスの表面に空けられた穴は、息の放出を意味し、エネルギーの解放や循環を感じさせます。この作品の台座には、太宰府の千年樟が用いられています。

 

Anima 9
2021
38.1 x 48.3 x 35.6 cm

 

4. 境内に新たに設置されるコミッションワーク

境内の文書館の裏山には、田島の作品《Echo》が恒久設置されます。《Echo》は座って瞑想をするための場所であり、また彫刻でもあるのです。瞑想の台は、古代のピラミッドの構造のようでも、SF の多角形宇宙船のようでもあります。彫刻の表面には蓄光性の材料が使用されていて、その層は、太陽光と6 本のブラックライトの組み合わせによる光エネルギーをふんだんに取り込み、作品を「帯電」した物体へと変化させます。「禁制遷移」を経てより高い量子エネルギー状態に達した彫刻は、日中は強力なLED ブラックライトに照らされ、電気を帯びてスクリーンのように光り、夜に太陽が沈んでからも輝く光として可視化されます。

 

作家プロフィール

田島美加 Mika Tajima
1975 年ロサンゼルス生まれ
現在はニューヨークにて制作活動中
彫刻、建築、音楽、パフォーマンスなど多様な要素を組み合わせた作品で知られる。
日本では2013 年に森美術館(東京)の「六本木クロッシング2013:アウト・オブ・ダウト」展に参加、モダニズム建築の巨匠コルビュジエの作品を自身の作品と組み合わせたインスタレーション等で高い評価を得る。2022 年5 月21 日から6 月18 日までTARO N ASU(東京)での個展「Spectral 」開催が決定している。その他の主要な参加展覧会に、2022 年「Hawai’i Triennial2022」(ホノルル美術館、ハワイ)、2019 年「岡山芸術交流2019:もし蛇が」(岡山)、2018 年「Programmed: Rules, Codes, and Choreographies in Art, 1965 ‒ 2018」(ホイットニー美術館、ニューヨーク)、2017 年「Touchless」(TARO NASU、東京)、2015年「Human Synth」(TARO NASU、東京)、2014 年「Negative Entropy」(Eleven Rivington、ニューヨーク)、2012 年「Pyramids and Pineapples」(アスペン美術館、アスペン)、「After the Martini Shot」(シアトル美術館、シアトル) 、2010年「The Double」(バス美術館、マイアミ)、2009年「Today is Not a Dress Rehearsal 」 with Charles Atlas and New Humans(サンフランシスコ近代美術館、サンフランシスコ)など。

 

 

 


 

太宰府天満宮アートプログラムとは?

「文化の神様」である菅原道真公をご祭神としてお祀りしている太宰府天満宮は、人々が行き交い集う場としての「開放性」と、1,100年以上昔から変わらない天神信仰の場としての「固有性」という2つの性質を併せ持っています。この2つのキーワードをテーマに掲げ、平成18 年(2006) より行っているのが「太宰府天満宮アートプログラム」です。さまざまな分野において第一線で活躍中のアーティストを招き、太宰府での取材や滞在を経て制作された作品の公開を全面的にサポートすると同時に、これらの作品を地域の財産として収蔵することで、文化活動を牽引していく役割を担っています。
太宰府天満宮ならではの「開放性」「固有性」と、それぞれのアーティストが持つそれらが重なり合うことで、アーティストの視点を通した新しい太宰府や太宰府天満宮の一面が映し出されます。これらは新たな文化や歴史として、ここ太宰府の地から世界へ、そして未来へ向けて発信されていきます。

 


 

【本展覧会へのお問い合わせ】
太宰府天満宮文化研究所 担当:アンダーソン依里
電話:092-922-8551(9 時~17 時) ファックス: 092-920-5556
メール: anderson@dazaifutenmangu.or.jp

 

詳細情報

開催日時:
開催場所:
福岡県太宰府市宰府4- 7-1 太宰府天満宮宝物殿および境内
料金:
観覧料:一般500(400)円・高大生200(100)円・小中生100(50)円  ※( )内は30名以上の団体料金、障害者手帳提示により付添者1名まで半額料金
電話番号:
092-922-8551(9 時~17 時)
メールアドレス:
anderson@dazaifutenmangu.or.jp
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