【大分県 安心院応援プロジェクト】「農を通じて故郷を守る」安心院産ブドウ100%のワイナリー『安心院 小さなワイン工房』

「農を通じて故郷を守る」安心院産ブドウ100%のワイナリー
ー『安心院 小さなワイン工房』ー

農家さんへの敬意と、飾らない手仕事が生み出すローカルワイン

大分県宇佐市の安心院(あじむ)は、九州でも有数のブドウ産地として知られる緑豊かな農村地帯です。ここに、地域の農家を支えながら独自のワイン文化を育んできたワイナリーがあります。その名も「安心院 小さなワイン工房」。ドラム缶ほどの小さなタンクと丁寧な手仕事にこだわり、「日本一小さい」を自負するワイナリーです。

今回は、運営母体である企業組合「百笑一喜(ひゃくしょういっき)」代表理事の荷宮英二さんと、醸造責任者の和田拓也さんにお話を伺いました。


「農」を支え、未来へつなぐ拠点として

「小さなワイン工房」運営会社の「百笑一喜」さんは、もともと、安心院の農家の方々から新鮮な野菜や加工品を集め、近隣スーパーの産直コーナーへ届ける事業から始まりました。

(百笑一喜代表理事の荷宮さん)

「農を通じて故郷を守る」を社是に活動を続けるなかで、かつて「西日本一の葡萄産地」と呼ばれた安心院のブドウ生産量が最盛期の半分にまで落ち込み、高齢化で荒れていく農地という現実に直面します。

「地元のブドウ100%でワインを造り、故郷を元気にしたい」――そんな思いから、2010年、宇佐市が認定を受けた「ツーリズムのまち宇佐・ハウスワイン特区」制度を活用してワイン醸造に踏み出しました。

今では農泊で訪れる人々にワインを楽しんでもらう環境づくりや、出荷できないブドウの受け皿としての役割も担い、地域活性化に欠かせない拠点へと育っています。

社名「百笑一喜」に込めた想い

田舎で新しい挑戦を始めようとすると、時に周囲から「そんなことできるわけがない」と笑われてしまうこともあります。

それでも「たとえ100回笑われようと、最後にみんなで一つの喜び(一喜)を分かち合えればいい」――。この名前に込められているのは、周りの声に屈することなく、あきらめずに挑戦そのものを楽しむ作り手たちの温かい哲学と力強い想いです。


災害を経て安心院へ。独学で腕を磨いた職人

ワイン造りの現場を支えているのは、3代目醸造責任者の和田拓也さんです。

北九州市出身の和田さんは、もともと福岡県の有名なスペイン料理店に身を置いてました。

転機となったのは、2012年の九州北部豪雨での被災です。店舗の半分が流されるほどの大きな被害を受けたことで移住を決意。安心院に住む友人に電話をした際、「家があるよ」と声をかけられたことがきっかけで、この地へ移り住むこととなりました。

そうして足を踏み入れた安心院で、知人から紹介された仕事の中から選んだのが、ワイン造りの道でした。

当時のことを伺うと、前任者からの引き継ぎはほとんどなかったそうで、本やインターネットを頼りに独学でワイン造りを一から学んでいったといいます。

そんな和田さんのワイン造りを支えてきたのが、飽くなき探求心と行動力です。ワイン祭りなどで尊敬する醸造家を見かければ、積極的に声をかけ、話を聞きながら知識や技術を吸収してきました。自ら学び、試し、そしてまた学ぶ。そうした積み重ねの先に、今の和田さんのワイン造りがあります。

お話を聞くなかで特に印象的だったのが、「ワイン界の誰もが同じ方向を向いているような風潮は面白くない」という言葉でした。流行や万人受けを追うのではなく、ご自身が信じる味を突き詰めていきたい――そんな真っ直ぐなこだわりが伝わってきます。

華やかなワイン会などの表舞台に出るよりも「自分はつくることだけに専念したい」と語る和田さんの仕事に向き合う真摯な姿勢に、代表の荷宮さんも絶大な信頼を寄せています。


「日本一小さなワイナリー」ならではのこだわり

大手には真似のできない、「小規模だからこその贅沢さ」は専門家からも評価され、全国の優れたワイナリーを表彰する「日本ワイナリーアワード」で「コニサーズワイナリー」に選ばれています。

“玄人”や“目利き”を意味する「コニサー(connoisseur)」の名を冠したこの賞は、評価に値する個性的なワインを生み出しているワイナリーへ贈られるもの。確かな技術はもちろん、他にはない個性やものづくりへのこだわりが認められた証でもあります。

果汁密度の高い濃厚な味わい

大きな機械を持たず、仕込みタンクも最大で胸の高さほど(350L)。すべて手作業で運べるほどの小さな設備で仕込んでいます。大型機械のように一気に絞り切ることができないため、一般的なワインが1kgのブドウから1本(720ml)を造るところ、ここでは1.5kg〜2kgものブドウを使用。「日本一小さなワイナリー」だからこそ生まれる、果実味の凝縮された贅沢な味わいです。

ブドウにストレスをかけない手仕事

ハンドルを手でぐるぐる回してブドウを優しく潰す「破砕機」をはじめ、上から圧力をかける「バスケットプレス」や、ホースでゆっくりワインを移す「サイフォンの原理」を採用。

さらに瓶詰め作業も自動ラインではなく、一度に3本ずつ手動に近いかたちで詰めています。機械任せにせず、全工程で一つひとつ心を込めた手仕事にこだわることで、ブドウ本来の旨みと繊細な味わいを守り抜いています。

収穫タイミングとブレンドの技

かつての仕入れでは一律の「完熟ブドウ」しか手に入りませんでしたが、現在は和田さん自身が畑で収穫を実施。あえて酸味のある早い時期に摘むなど、思い通りのタイミングでブドウを確保できるようになりました。

そうして収穫時期や糖度が異なるブドウを、工房の「小さなタンク」3〜4つへ個別に仕込みます。タンクごとに使う酵母もすべて変えて醸造し、最後にそれらをブレンドすることで、小規模だからこそできる奥深い味わいを生み出しています。


農家との絆がつなぐ、ブドウを無駄にしない取り組み

栽培の面では和田さんも地元の農家の方々を「先生」として頼り、自社畑で困ったことがあればすぐにアドバイスをもらえる信頼関係が築かれています。また、和田さんが移住してきた14年前と比べると、現在は地元へ戻ってきた人や移住してきた30代〜40代の若手農家が目に見えて増えているそうです。

規格外ブドウに新たな価値を

ブドウ栽培においては、味は良くても色や形などの理由で生食用として出荷できない「規格外」がどうしても発生してしまいます。

そこで工房では、そうしたブドウを積極的に買い取っています。デラウェアやピオーネなどの定番品種はもちろん、シャインマスカットのような高級品種も含めて幅広く引き受け、ワイン造りへ余すことなく活かしています。

こうした姿勢から、若い世代の農家からも「生食用に出せず困ったら、あの工房に持っていけばいい」と厚い信頼が寄せられており、農家さんとの強い絆を一層深めています。

本来なら高額になる高級品種のワインを2,000円台という手頃な価格で提供できるのも、この取り組みがあってこそ。ワイン工房さんと農家さん双方にメリットを生み出す、嬉しい循環となっています。


こだわりのワインの一部をご紹介

デラウェア/オレンジワイン

地元のデラウェアを活かして生まれた、工房で一番の売れ筋・看板商品です。

  • 「白ブドウを赤ワインの製法で」仕込む: 白ブドウであるデラウェアを使いながら、赤ワインのように「皮や種」も一緒に仕込んで発酵。デラウェア特有のピンク色の皮から美しい果皮の色合いが引き出され、鮮やかなオレンジ色に仕上がります。
  • デラウェアのイメージを覆す「辛口」へのこだわり: かつての「デラウェアのワイン=甘口」というイメージを覆す、甘さを抑えたすっきりとした辛口の仕上がりを追求。食事にも合わせやすい、ブドウ本来の旨みを引き出した味わいです。

微発泡ワインシリーズ


(写真左から:マスカットベーリー A(タイヨウ)/ ピオーネ(宇宙)/ デラウェア&シャインマスカット(ツキ)/ シャインマスカット(満月))

ブドウの自然な甘さを残したフルーティーな微発泡ワイン。「小さなワイン工房」独自の手法で造られる人気シリーズです。

  • 「瓶内一次発酵」と「おり」を残す旨み: 発酵途中のワインを瓶詰めし、瓶内で発酵を完了させる製法を採用。あえてろ過(おり引き)をせず「おり」を残すことで、アルコール度数は約5%と飲みやすく、ブドウ本来の旨みが詰まった深みのある味わいを生み出しています。
  • 1本に大玉1房分以上を使う贅沢さ: シャインマスカットの場合、搾汁が難しい品種でありながら1本に約800g(大玉1房分以上)ものブドウを惜しみなく贅沢に使用しています。
  • 地域のブドウと手仕事を生かした工夫: 生食用として出荷できない「訳ありブドウ」も美味しく活かすほか、短期間で完成する製法により、小さなタンクを丁寧に回しながら造られています。

マスカット・ベーリーA 樽熟成

醸造責任者である和田さんのこだわりや自身のルーツが色濃く反映された、工房の中でも特別な位置づけの一本です。

  • 自社畑のブドウを100%使用: 和田さん自身が自社畑で育てたマスカット・ベーリーAを100%使用。栽培から醸造まで、すべて一貫して手がけています。
  • 通常版(イノシシ)とは異なる「個性的」な味わい: 農家さんのブドウで造る通常版(イノシシのラベル)が王道のマスカット・ベーリーAなら、こちらは製法も味わいも全く別物。このワインでしか出会えない、唯一無二の個性を追求しています。
  • 「女性の絵」があしらわれたラベル: このボトルには、独特の色彩と世界観で描く画家、尾花新生氏が描いた「女性の絵」が採用されています。

ご紹介したワインのほかにも、たくさんの魅力的な商品が並んでいます。公式オンラインショップよりご注文が可能ですので、ぜひチェックしてみてください。

安心院 小さなワイン工房 公式WebShop

自然と共に生きる想いを託したラベルデザイン

先述の通り、「マスカット・ベーリーA 樽熟成」には尾花新生氏の作品が用いられていますが、その他のラベルデザインはすべて、和田さんのご友人でもある岐阜県在住の画家・伴幹雄氏が手掛けています。

「いのしし」「しか」「あなぐま」「ひよどり」「からす」――描かれているのは、ブドウ園にやってくる「害獣」と呼ばれる動物や鳥たちです。

ブドウを育てる側からすれば、彼らは時に厄介な存在ですが、小さなワイン工房さんでは、そんな動物たちも「自然の一部」として受け入れています。

「悪者たちとも共存しよう。いっそ、美味しく飲み込んでしまおう」

そんなユニークな発想から、農業では敬遠されがちな動物たちをラベルに描いているのだそうです。

一見するとユニークなラベルですが、そこには、自然を一方的にコントロールするのではなく、そこに生きるものすべてと共に歩んでいこうという温かい想いが込められています。

ワインを手に取ったとき、まず目に入るラベル。その一枚一枚にも、小さなワイン工房さんが大切にする「自然と共に生きる」という哲学が、静かに息づいているのです。

生産量が限られているからこそ大切に届ける

生産量が限られているからこそ、地元の道の駅や信頼で結ばれた酒屋さん、そして安心院・大分・福岡といった近隣地域で、ワイン造りのストーリーや想いに共感してくれるファンを一人ひとり大切に育んでいます。

地元の農家さんとの深い絆と、飾らない職人の手仕事から生まれる一本のワイン。そこには、安心院の美しい風土と作り手たちの情熱がぎゅっと凝縮されています。安心院へお越しの際には、ぜひ手に取って、ここでしか味わえない特別なワインを楽しんでみてください。

公式ホームページでは、全商品のラインナップ確認やご注文のほか、取扱店舗の一覧もご覧いただけます。

安心院 小さなワイン工房 公式ホームページ

【施設情報】
施設名:
企業組合 百笑一喜 / 安心院 小さなワイン工房
所在地:大分県宇佐市安心院町矢畑487-1
TEL:0978-44-4244
営業時間:月、水~金曜日 12:30~16:30 土、日曜日 9:00~16:30
(注)配達のため留守にしている場合がございますので、事前にお問い合わせください。
定休日:毎週火曜日、年末年始、安心院葡萄酒まつりなどのイベント時


安心院応援プロジェクト

このたびアプライドグループで、大分県宇佐市安心院町の魅力を発信する「安心院応援プロジェクト」がスタートしました。

安心院は、豊かな自然や歴史文化など、多くの魅力があふれる地域です。地域の方々の声や安心院のさまざまな魅力を取材し、コンテンツとして発信していきます。

安心院応援プロジェクトの取り組みに、ぜひご注目ください!!

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