【大分県 安心院応援プロジェクト】地域で学び、地域を未来へつなぐ。安心院高校が育てる“生きる力” ~安心院高校 佐藤 茂 校長先生 インタビュー~
\\ 安心院高校 佐藤 茂 校長先生 インタビュー //
『 地域で学び、地域を未来へつなぐ。
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ワインづくり、すっぽん調理、高校生が小学生に授業をする「スチューデントティーチャー」、地域企業と連携した商品開発――。
安心院高校では、教室の中だけでは終わらない学びが日常の風景になっている。
一見するとユニークな取り組みの数々だが、その根底には一つの共通した思いがある。
「地域を未来へつなぐこと。」
その思いを胸に、佐藤校長は17年以上にわたり、小学校から高校までをつなぐ教育に取り組んできた。

「高校がなくなれば、この地域はなくなる。」
人口減少が進む地方では、学校の統廃合が珍しい話ではない。しかし校長が守ろうとしているのは、高校という”建物”ではない。その学校を中心に成り立っている地域の未来そのものだ。
だからこそ安心院高校では、「地域に残る人」を育てるだけではなく、「一度地域を離れても、いつか戻ってきたくなる人」を育てる教育を続けてきた。
その原点は17年前に始まった、小中高をつなぐ教育改革にある。
佐藤校長が安心院高校で教員として勤務していた当時、安心院中学校の卒業生のほとんどは、そのまま安心院高校へ進学していた。
その様子を見て、佐藤校長はこう考えた。
「それなら、中学校だけではなく、小学校から高校までの12年間を一つのつながりとして、子どもたちを育てられないだろうか。」
この発想をきっかけに、小中高一貫教育の研究が始まった。
しかし、小学校と中学校は市教育委員会、高校は県教育委員会。管轄が違う学校同士が同じ教育を行うことは簡単ではない。
そこで文部科学省の研究開発学校指定を受け、全国でも珍しい教育課程づくりに挑戦した。
一般的な6・3制ではなく、子どもの発達段階に合わせた小1~2、小3~4、小5~中2、中3~高3の「2・2・4・4」の独自カリキュラムを導入し、小学校・中学校・高校の教員が同じテーブルで教育を考える仕組みをつくり上げた。

ただ、佐藤校長は「小中高がつながること」だけでは十分ではないと考えていた。
「英語を柱にすると英語の先生だけ、数学なら数学の先生だけになります。全員が関われるものは何だろうと考えたとき、答えは探究でした。」
そうして生まれたのが、安心院高校独自の教科「地球未来科」。
教室だけで学ぶのではなく、地域へ出て、人と出会い、課題を見つけ、考え、行動する。
12年間を通して「捉える力」「解決する力」「英語によるコミュニケーション力」を育てることを目標にしている。
その中の一つが、発酵・醸造をテーマにした学びだ。
ぶどう畑で収穫を体験し、安心院葡萄酒工房でワインづくりを学び、焼酎づくりにも挑戦する。
「教科書だけでは、なぜ勉強するのかが分かりません。実際に現場へ行くから、理科や化学が社会でどう生きているのか理解できるんです。」
地域そのものが教室になる。
そんな学びは、商品開発へもつながっていく。
酒粕や干しブドウ、ブドウジャムを使ったチーズケーキタルト、ベリーツのシフォンケーキ。その他たくさんのアップサイクルの普及に向けたアイテム。
高校生のアイデアから生まれた商品は、ふるさと納税返礼品にも採用されている。
探究は地域だけでは終わらない。
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外国人観光客向けの「Grape Tour」では、生徒自身がツアーを企画し、留学生や外国人教員を英語で案内する。
古民家を活用した「高校生カフェ」では、メニュー開発から接客まで自分たちで運営する。
小学生へ授業を行う「スチューデントティーチャー」では、高校生自身が先生役になる。
どの活動にも共通しているのは、「誰かのために動く」という経験だ。
佐藤校長は、「他者から『ありがとう』と言われる経験が、自己肯定感につながる」と話す。
安心院高校は決して大きな学校ではない。
現在の生徒数は生徒数は約170人。
その一人ひとりと向き合っている。

安心院高校が育てたいのは、進学実績だけでは測れない力だ。
地域を知り、地域を好きになり、いつかまたこの場所へ戻ってきたいと思える人。
17年間積み重ねてきた挑戦は、今日も”地域の未来”を育て続けている。




