トップに
戻る

福岡の暮らし。#2『daughters clip』徳永さんの暮らし

愛すべきものたちに囲まれた穏やかな住まい方
福岡の暮らし。

ハッピーを分かち合う
グッドライフ、グッドワーク。
クリエイティブの源はここから。

建築デザイン会社の立ち上げから設計デザイン業務を経て、
アートディレクターとして独立した徳永昌弘さん。
家族5人で暮らす一軒家は、ファンタジーな感覚に満ち、
その暮らしは、クリエイティビティを刺激する遊び心や愛情で溢れていた。

 

アートディレクター
徳永昌弘さん

福岡市出身。ダンサーの道へ進んだ後、20代前半で家業の看板屋を継いで独立。2007年、建築デザインオフィス『CODE STYLE』の立ち上げ及び設計デザイン業を経て、 2019年 11月に『daughters clip』を設立。info@daughtersclip.com

一歩、足を踏み入れると聴こえてくるのはゴキゲンなソウルミュージック。ビビッドなネイビーカラーのエントランスからガラス窓越しにインナーテラスの空間が広がり、日光浴する植物に囲まれて、家主の徳永昌弘さんが静かにグラフィティを描いている。足元には、淡いブラウンのウサギ。まるでおとぎの国に迷い込んだような光景に惹き込まれる。

デザインやディレクション業などを通じて、アートや建築の分野を中心に活動してきた徳永さん。今から4年前、義理のお母さまを迎えたのを機に、自宅を新築。現在は、2人のお嬢さんと家族5人で暮らしている。


「僕の部屋はないんですよ。寂しがりやだから」と笑いながら案内してくれた住まいは、1階が生活の中心。夫婦で調理できるようレイアウトしたダイニングキッチン、大きな本棚とスピーカー、ホームバーを置いて、仲間と集ったり、映画を楽しめるリビングは、一段床を下げてリラックスできるスペースに……家族の気配が感じられるよう緩やかにひと続きにしたラフなフロアはどこも居心地がいい。自身で行なったという設計デザインは、サザビーリーグで店舗開発をしていた奥さまとともに、色もかたちも“自分たちの好きな世界観”をわがままに楽しんだそう。



創造力を豊かにする遊び心と
自分を解放できる安らぎと

−悩んだら、道が教えてくれる−
ルイス・キャロルが描く「不思議の国のアリス」の世界のように、住まいや暮らしの中には、徳永さんが仕掛けるファンタジーやワクワクがいっぱい。

「子どもたちの秘密基地のようなスペースも作りたかったんですよ」。指差した先には、2階へと続く階段のスペースに滑り台が!
「僕、ルイス・キャロルの世界が大好きなんです。だから、ウサギの名前はアリスで、娘たちの遊び場にはレタリングでメッセージを入れたんですよ。“悩んだら、道が教えてくれる”って。成長した子どもたちが、パパが言ってたなって覚えててくれたら嬉しいですね」。
「不思議の国のアリス」に出てくる言葉を胸に、徳永さん自身、20代の頃はダンサーとして活躍しながら挫折を経験した後、アート、ものづくりの世界を駆け抜けてきた。「これしかできない」ことを続けてきた、その原動力は家族の存在、そして家族への愛情にある。
「ここ2年くらいは、本格的にキャンプにはまってるんですよ。薪ストーブやこたつも入る大きなテントを持っていって、娘たちがいるので、温泉のあるキャンプ場を探しては楽しんでいます」
つい昨日まで2泊してきたというバンの中にはキャンプ道具がぎっしり。「葉っぱの形が面白いねーとか話しながら探検したり、11月は妻の誕生月だったので、ケーキミックスとパイン缶でタルトタタンもどきを焼きました。前に、バームクーヘンを作った時は時間かかって泣きましたけど」と苦笑い。
こうした好奇心やこだわりが、徳永さんの中のクリエイティブの樹を育ててきたにちがいない。


▲目地のないグレーの左官壁がシックで存在感を放つコの字型の外観。キャンプ道具がたっぷり詰め込めるバンもマットに加工塗装したそう

徳永さんの愛用品

グラフィティの道具

絵筆やサインペンのポスカはグラフィティに欠かせない必需品。ケースは、着古したミリタリーパンツを利用して作ったそう

黒千代香

鹿児島産の黒千代香(黒ジョカ)。「焼酎をおいしく飲むための燗付器です。業務用のおでん鍋なんかも持っています。最近は外へ飲みに行く回数も減って自分の時間を大事にしています」

巻きタバコ


「朝起きてコーヒーを淹れるように、スペイン産の葉タバコをオーガニックのフィルターで巻いて1日分準備します。価格は1/3で済むようになりましたが、本数はちょっと増えました(笑)」

ポラロイド

実家で実際に使っていたポラロイド。「中学の頃、実家の看板屋のアルバイトで、某セレクトショップのペンキTシャツの型をうちの工場で作って商品化されたことなど、思い出も一緒に甦ります」


家族との時間とともに、夫婦で季節や月齢なども意識し、日々を大事にしようと心がけている。
「休みの日は、娘たちと買い物に行って、昼過ぎからキッチンで夕飯を仕込んだりしていますが、妻の実家が果物屋ということもあって、娘たちには旬の食材を知って味わってほしいんです。月見の時にはお団子を作ったりもするし、今の季節なら柚子湯に浸かったり、日本の文化や節気なんかも伝えたいなと親心に思いますね」
住まいにも季節の変化を楽しめるような工夫を取り入れた。
「正月は、玄関先にのれんを作って提げられるように設計しました。僕のデザインしたカセットテープ柄の帯とデニムの着物を着て撮影したりして。節目節目にいちいちこういうことをしてる自分が大好きなんですよね」とやんちゃに笑う。こうした「好きを楽しむ」日常が、アートワークや仕事の創作の幅を自ずと広げていくのだろう。
「今はこの暮らしがベストですが、この先、僕ら夫婦だけになったら、ここじゃないなって思うかもしれません。でも、せっかく住むんだったら、こだわりを持って住みたいし、財産として家を持てば売却もできるだろうし。物事や人生を考えた時、“完成したら終わり”にしたくないんですよね。次があるんじゃないのって常に思ってます」
変化を恐れず、前向きに。道ある限り、徳永さん一家のグッドライフは続いていく。

娘たちに誇れるものづくりを
『daughters clip』への想い

11月から、自身の活動体として『daughters clip』を
立ち上げ、新たなスタートを切った徳永さん。
コンセプトや仕事に対する想いなどを語ってくれた。

建築デザインの世界で、クライアントの好奇心を掻き立てるようなアイディアから多様なカタチを生み出してきた徳永さん。
「今後は、大まかに言えば、ディレクション業が中心になるのかなと思いますが、屋号は、妻や娘たちに恥じないものづくりをクリップしていけるようにとの思いから『daughters clip』と名付けました。
同時に、僕は僕でいいなと思うアーティストや面白いことを考えている仲間をマイクリップしていくこともしていきたいんですよ」
紙もの、建築、アート、ホームページやムービー制作に加え、子どもキャンプの手伝いをしていたことから、子どもに関わることや地域活動といった身近なものにも関わっていけたらと話す。

「幼稚園からの仕事を受けた時も、僕には建築的な視点でない、当たり前でない部分を求められたんです。例えば、子どもに絵を教えるならどういう方法がいいと思う?というような本質的な部分から入ってカタチにしていくので、デザインとして嘘をつかないものが出来上がっていくんです」
新しい領域に挑戦していきたいという気持ちも大きい。
「以前、日向市の『STAIRS OF THE SEA』という元ドライブインだった所をリノベーションしたんです。ネーミング、コンセプトなどすべて担当しました。建築デザインの仕事ではあるんですけど、僕のアート作品を取り入れたり、プロサーファーを入れてムービーを作ったり、いろんなことをやった経験から、考える世界観があれば何屋さんにもなれるんだなと思ったんですよ」。
だから、名刺の肩書きの部分はブランクに。その都度依頼されたクライアントが求める職業を書き込む仕様にしたそう。
「僕の脳みそでできることに挑戦したいし、共有できる仲間と創り上げる喜びや場づくりも大事にしていきたいですね」と、想いは熱く姿勢はしなやか。
その人が想像もしなかったことや想いを膨らませ、それを実現してハッピーを分かち合うことがミッション。また一歩、前進する徳永さんのライフワークが楽しみだ。

daughters clip

アトリエ:福岡市早良区野芥2-2-24 1階
メール:info@daughtersclip.com
HP:daughtersclip.com
インスタ:https://www.instagram.com/yoshihirotokunaga/

法人様・自治体様向け情報サイトはこちら