【大分県 安心院応援プロジェクト】「来た時より元気になれる場所」安心院の農家民宿『昔ばなしの家』

「来た時より元気になれる」田舎暮らし体験
ー『昔ばなしの家』ー

大分県宇佐市安心院(あじむ)は、日本の「農泊発祥の地」として知られる、豊かな自然と人の温もりにあふれた町です。

「1回泊まれば遠い親戚、10回泊まれば本当の親戚 」

そんな言葉が語り継がれるこの地域では、農村の暮らしや人との温かな交流に触れることができます。

今回訪れたのは、農泊の草分け的存在として知られる農家民宿「昔ばなしの家」

この民宿を切り盛りする中山ミヤ子さんは、長年にわたり国内外から多くの宿泊客を迎えてきました。

今回は、プロジェクトメンバー全員で、築約200年の歴史あるお宅を訪問。宿泊は叶いませんでしたが、特別に昼食と施設見学をさせていただきました。

安心院ならではの豊かな食と、人と人が心を通わせる温かな交流。そんな、この土地だからこそ味わえる特別で贅沢な一日をご紹介します。

農泊を始めたきっかけ──「1回だけ」のつもりだった

「実はね、最初は農泊をやるつもりなんて全然なかったんよ」

そう笑顔で話してくれた中山さん。農泊を始めたのは平成8年(1996年)のこと。地域の「町を良くする会」に参加したことがきっかけでした。

当初、受け入れ先になる予定だったのは行政の担当窓口をしていたお兄さんの家。しかし、お父さんの介護の事情で難しくなり、急遽、空き部屋の多かった中山さん宅が受け入れることになったそうです。

「1回だけ泊めて終わるつもりだった」

当時を思い出しながら中山さんはそう語ります。しかし、その時受け入れた宿泊客が翌週には友人を連れて再び訪れます。さらにその友人がまた別の人を連れて来る――。そんなふうに訪れた人が次の人を紹介する形で、少しずつ交流の輪が広がっていきました。

「楽しくなかったら続かんよ」

毎回訪れる人の職業も年齢も住む場所も違う。日本全国はもちろん、海外からもさまざまな人がやって来ます。その出会いの面白さが原動力となり、気づけば 30年近い歳月が流れていたそうです。


昔から変わらない安心院のおもてなし

それでは、さっそく体験スタートです。家に到着すると、すでに中山さんは食事の準備で大忙し!

中山さんのテキパキとした指示のもと、私たちも食事の準備をお手伝いします。

「そこのお皿出してー!」

元気な声が飛び交い、自然とみんなが動き始めます。まるで親戚の集まりで食事の支度をしているかのような賑やかさ。どこか懐かしく、温かな気持ちになる時間でした。

「昨日はオーストラリアからのお客様が来て、今度はフランスからの予約も入っとるんよ」

そう話しながらも手は止まりません。海外からの宿泊客も多く、言葉が通じなくてもジェスチャーや翻訳アプリを使いながら交流しているそうです。

「心が通じれば、言葉はなんとかなる」

そんな中山さんの言葉に、「昔ばなしの家」が長く愛されている理由を感じました。

この日は、「昔ばなしの家」人気No.1料理の「鶏めしおにぎり」も一緒に作りました。

炊き上がった鶏めしを手に取りながら、おにぎりを握っていく作業は、どこか昔懐かしい「温かい時間」。みんなで和気あいあいと握ったおにぎりは、それだけで一層おいしく感じられます。

みんなで囲む賑やかな昼食!安心院の郷土料理を楽しむ

いよいよ昼食の時間です。いただきます!

テーブルいっぱいに並んだのは、安心院の自然の恵みと、手間ひまかけて作られた郷土料理の数々。

「揚げ物は温かいうちに食べてね。汁物も冷めないうちに。」

そんな何気ない一言からも、お客様においしく味わってもらいたいという中山さんの温かな気遣いが伝わってきます。

安心院名物「すっぽんの血の焼酎割」で乾杯!

まずは、安心院名物でもある「すっぽんの血の”焼酎割”」で乾杯です。

すっぽんの血と聞くと、「飲みにくそう」と身構えてしまう人もいるかもしれませんが、実際に飲んでみると、それほどクセはなく、意外と飲みやすい味わい。安心院ならではの食文化に触れられる貴重な一杯でした。

また、「お酒好きが多い」という安心院らしく、食器棚には地元のお酒がずらり。次回は宿泊してじっくり飲みたいと思います。

宿泊客に愛され続ける名物「鶏めしおにぎり」!

乾杯の後、最初にいただいたのは、先ほど一緒に作った「鶏めしおにぎり」です。

鶏肉の旨味がぎゅっと詰まっており、香り豊かなゴボウとの相性も抜群。どこか懐かしく、ほっとする優しい味わいで、ついもう一つ手が伸びてしまいます。長年愛され続けているのも納得のおいしさです。

実はこの「鶏めしおにぎり」には、農泊の始まりとともに歩んできた歴史があるのだとか。

「昔は近くにお店なんてなかったから、お客様が来たら家で飼っている鶏をしめて振る舞うのが当たり前やったんよ」

農泊を始める際、何を提供すればいいのか悩んだ中山さんが選んだのは、特別な料理ではなく、この地域で昔から客人をもてなす際に作られてきた「鶏めしおにぎり」でした。

過去には夏場の衛生面を考えて別の料理に変更したこともあったそうですが、

「鶏めしが食べたかった」

という常連客の声に後押しされ、再び提供するようになったそうです。

テーブルを埋め尽くす、愛情たっぷりのおもてなし料理

鶏めし以外にも、テーブルにはさまざまな郷土料理が並んでいます。

まるで田舎の実家に帰省し、「腹いっぱい食べなさいよ」と温かくもてなされているような気持ちになります。

今回は、たくさん頂いたごちそうの中から、いくつかピックアップしてご紹介したいと思います。

すっぽんスープ

臭みは一切なく、旨味だけが凝縮された深い味わい。ひと口飲むと、じんわり身体に染み渡る優しいおいしさです。すっぽんを食べ慣れたメンバーからも「こんなにクセがないのは珍しい」と驚きの声が上がるほど。スープだけでなく、柔らかな身やぷるぷるのゼラチン質までおいしくいただきました。

すっぽんスープ


鶏の唐揚げ

外はカリッと香ばしく、中はジューシー。しっかりとした濃い目の味付けで、おにぎりにもお酒にも相性抜群です。ひと口で醤油の旨味が広がる、「唐揚げの聖地」宇佐らしい一品でした。

鶏の唐揚げ


シイタケの旨煮

昔ながらの原木栽培で育てられた肉厚のシイタケを、じっくりと煮込んだ一品です。
ひと口かじると、中に染み込んだ旨味と煮汁が口いっぱいに広がります。肉厚で食べ応えがありながらも柔らかく、噛むほどに溢れるお出汁の旨味がたまりません。

シイタケの旨煮

その他にも、季節の野菜の天ぷらやシジミ汁など、普段なかなか味わうことのできない田舎の味を堪能させていただきました。

次々に出てくるおいしい料理に大満足!

私たちが食事を楽しんでいる間も、中山さんは次々と料理を作り続けています。

「これも食べてみて」「まだあるよ」と声をかけながら料理を運んでくれる様子は、本当に田舎の実家に帰省しているかのよう。

訪れる人にお腹いっぱいになって帰ってほしい。そんな中山さんのおもてなしの心が、料理の一品一品から伝わってくるようでした。長年にわたって多くのリピーターが訪れるというのも、思わずうなずいてしまいます。

名物「どじょう料理」を体験!

続いて登場したのは、とり飯に並ぶ人気料理の主役であるどじょうです。「どじょう料理」目当てのお客様も多いのだとか・・・。

さっそく見せていただくと、元気いっぱいに動き回るどじょうたち。

このどじょうは隣町の養殖場から仕入れているそうですが、トキやコウノトリの保護活動における餌としても活用されており、地域の環境保全型農業を支える存在でもあるそうです。

ワインを注いで下処理を始めると、鍋の中で勢いよく跳ね回り、一同大盛り上がり。その後、唐揚げにしていただきました。

驚くほど臭みがなく、サクサクとした軽い食感。どじょうのイメージが大きく変わる一品でした。


レトロな製麺機でうどん作りも体験!

食事だけでなく、うどん作り体験にも挑戦しました。

まずは生地をしっかり踏み込みます。

「踏めば踏むほどコシが出る」

みんなで交代しながら力いっぱい踏んでいきますが、簡単そうに見えて意外と大変!

そして、生地がしっかりと仕上がったら、いよいよ麺を伸ばして切る工程に移ります。
そこで登場したのが、こちらの何やらレトロで不思議な機械!

これは、なんと大正や昭和の時代から使われてきたという、鋳物(いもの)の製麺機です。

「昔はどこの家にも1台はあったんよ」

そう教えてもらいましたが、メンバー全員、見たことも使ったこともない機械に興味津々。

中山さんに教えてもらいながら、ハンドルを回すと、綺麗な麺がするすると切り出されていきます!

麺が完成したら、今回は「釜玉うどん」にしていただきました。

自分たちで作った打ち立て・茹でたてのうどんは、抜群の「コシ」と「のどごし」で美味しさも格別です!


話題が尽きない、食後のひととき

お腹がいっぱいになった後も、中山さんのお話は尽きません。食後はゆっくりと腰を落ち着けながら、これまで歩んできた農泊の歴史や地域づくりの話に耳を傾けました。

農泊先進国として知られるドイツを視察した際のエピソードや、全国各地での講演活動の話など、その経験談はどれも興味深いものばかり。長年農泊に携わってきた中山さんならではのお話に、自然と引き込まれていきます。

そんな話の中で、中山さんは、長年多くの宿泊客を受け入れてきたからこそ感じる変化についても話してくれました。

「昔は女性が台所で料理をして、男性は座ってお酒を飲みよった。でも今は男性の方がお皿を運んだり、料理を手伝ったりしてくれる。逆に女性のほうがよく飲むこともあるんよ」

そう冗談交じりに話す中山さん。

宿泊客との何気ないやり取りや、長年の受け入れの中で感じた出来事を交えながら語られるお話はどれも面白く、気が付けばあっという間に時間が過ぎていました。

人との出会いを楽しみながら歩んできた約30年。その積み重ねが、「昔ばなしの家」の温かな空気をつくっているのだと感じます。

「昔ばなしの家」を訪れた際は、ぜひ中山さんとの会話を楽しんでみてください。


築200年の古民家「昔ばなしの家」を見学

中山さんとの会話を楽しんだ後、最後に中山家が7代にわたって守り続けてきたという、築約200年の古民家を見学させていただきました。

建物の中に入ってまず目を引くのが、天井を支える立派な赤松(アカマツ)の梁(はり)です。

「今でもこの赤松から松脂(まつやに)が落ちてくるんよ」と実際に落ちてシミになった場所を指さしながら、笑って話してくれた中山さん。この家が長い年月を経てもなお、変わらない姿を保っているのは、この力強い梁が支え続けているからなのだそうです。

長い歴史を感じる室内には、昔ながらの貴重な機織り機や糸車も残されていました。

ほかの部屋にも、ブラウン管テレビなどが残されており、かつての暮らしぶりを感じることができます。

今ではめったに見られない貴重な設備!

さらに、中山さんのお家には、今ではなかなか見ることのできない貴重な設備も当時のまま残されています。例えば──

  • 囲炉裏:宿泊客同士が自然と集まり、食事やお酒を囲みながら語り合う場所です。

  • つるべ井戸:この井戸水で冷やしたスイカは格別においしいそうです。

    つるべ井戸

  • かまど:薪や炭を使って火を起こし、ご飯を炊いたり料理を作ったりしていた昔ながらの調理設備です。

  • 五右衛門風呂:事前に相談すれば、薪で沸かした五右衛門風呂に入ることもできるそうです。

「田舎のおばあちゃんの家に来たみたい」──そんな声が自然と上がるほど、どこか懐かしく心が落ち着く時間が流れていました。

中山さんは冗談交じりに、

「私も古いし、家も古いしね。本当に『昔ばなしの家』なんです。」

と笑います。

しかし実際に過ごしてみると、「昔ばなしの家」とは、単に「古い家」というだけではなく、「昔ながらの暮らしや人とのつながり」が今も息づく場所なのだと感じました。


おわりに

「来た時より元気になって帰ってほしい」

これは、「農泊体験を通じて伝えたいことはありますか?」とお聞きしたときの中山さんの言葉です。

ここには特別な観光施設があるわけではありません。あるのはどこか懐かしい、ごく普通の田舎の暮らしです。ただ、その中で一緒に食事の準備をしたり、地域の食を味わったり、何気ない会話を交わしたりしていると、不思議と心がほぐれ、気持ちが軽くなっていくように感じます。

そんな「昔ばなしの家」に皆さんもぜひ一度、足を運んでみてください。

便利さや効率が求められる時代だからこそ、こうした「人との温かなつながり」や「おもてなし」は、忙しい日常で忘れかけていた大切なものを思い出させてくれます。

きっと帰る頃には、中山さんの言葉通り、「来た時より元気になった自分」に出会えるはずですよ。

最後にみんなで記念撮影をして帰りました。

中山さんが営む「昔ばなしの家」で農泊を体験してみたい方は、下記の施設情報よりお問い合わせください。


【施設情報】
施設名:
農家民宿昔ばなしの家」
所在地:大分県宇佐市安心院町舟板99
TEL:0978-44-4663
農村体験:炭焼き、草木染、コンニャク、豆腐、うどん打ち、どじょう料理等
*季節や時期によって体験内容が変わる場合がありますので、事前にお問い合わせの上、ご確認ください。

 


安心院応援プロジェクト

このたびアプライドグループで、大分県宇佐市安心院町の魅力を発信する「安心院応援プロジェクト」がスタートしました。

安心院は、豊かな自然や歴史文化など、多くの魅力があふれる地域です。地域の方々の声や安心院のさまざまな魅力を取材し、コンテンツとして発信していきます。

安心院応援プロジェクトの取り組みに、ぜひご注目ください!!

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