トップに
戻る

【あのカレー職人に歴史あり】“美味しい”の一言のために。会社員からカレー職人へ | クボカリー

日々スパイスと向き合い、試行錯誤を続けるカレー“職人”たち。
究極のひと皿を追い求める彼らの、歴史に迫る!

 

『クボカリー』オーナーの久保正三さん。前職は土木構造物の設計。’15年に『クボカリー』の大楠店を、次いで’18年には大名店をオープン。大名店の夜限定で『スパイス酒場 夜のクボ』も営業中

 

 

会社員からカレー職人へ。すべては“美味しい”の一言のために。

クボカリー 久保 正三 さん

 

 

 

ある一皿との出合いで、カレーの虜に

 

『クボカリー』オーナー・久保さんがスパイスカレーと出合ったのは、彼がまだサラリーマン時代に訪れた高砂の『スパイスロード』(14年閉店)だった。「『スパイスロード』のカレーを食べたとき、全身に衝撃が走りました。感激するほど旨かったので、お店の壁に貼ってあったレシピを写真で撮って、家で作ってみたわけです」。料理好きで、何を作っても旨く作れる自負があった久保さん。しかし、初めてのスパイスカレー作りは散々な結果だった。「レシピ通りに作っているのに、なぜか不味くて。それでムキになって、“旨く作れるまで続けてやる!”って」。

あらゆるカレーを食べ歩き、試作を重ねる日々。やがてカレー職人とのつながりができると、ある人からイベント出店の声がかかった。その人とは、当時高宮にあったスパイスカレーの店『かもめ食堂』の女性店主・法子さんだ。「それから約1年は、仕事と両立しながらイベント出店を続けていました。そのときのお客さんの反応がもう、めちゃくちゃうれしくて。心を込めて一生懸命作ったものを“美味しい”と食べてもらえる…飲食業ならではの喜びを知ってしまったんです。その後、“間借り営業始めてみたら”と声をかけてくれたのも法子さん。サラリーマンとしての安定した仕事と給料があったので、数カ月間は悩みました。でも、ここでカレー屋をやらなかったら一生後悔すると思って、周囲の反対を押し切る形で仕事を辞めることにしたんです」。

 

 

 

開店直後の入院、そして予期せぬインド修行

 

’15年11月、大楠店にて週4日の間借り営業をスタート。しかしその約2カ月後、営業中の久保さんを激しい腹痛が襲った。「店内で倒れて、即入院でした。診断は過労が原因の腹膜炎。ワンオペで店をやりながら夜遅くまで仕込みをして、営業日以外は東区筥松の『マルハバ』でバイト、空いた時間に家事をして…という生活でしたから、無理がたたったんでしょう」。2カ月間の入院中、久保さんはワンオペ営業に適したメニューを考案する。それが店名物の『クボカリープレート』だ。「メニューをひとつに絞ったことで、調理がだいぶ楽になりました。数種類のカレーを一度に味わえる分、お客さんの満足度も上がって、店が注目してもらえるきっかけになったと思います」。

見た目も華やかなプレートはすぐに話題を呼んで、各メディアからの取材依頼も殺到。店に追い風が吹いてきた…と思ったのもつかの間。またもや予期せぬ事態が降りかかる。「『スパイスロード』の髙田さんが、“インドで一カ月間修業をしなさい”と言うんですよ。“今はプレートが流行っているかもしれないけど、その先も続けていくにはカレー屋としての説得力が必要だから”と。その頃には間借りでもなくなっていましたし、“忙しいから”と断っているのに毎日電話がかかってくるんです(笑)。“パスポートだけ取ってくれたら諦める”というからしぶしぶ取ったら、その2日後には“現地の知り合いと話を付けたから、2週間後にインドに行って来て”と言うじゃないですか! もう慌てふためいて…正直、本当に嫌だったんですけど、行ってきましたよ」。

高田さんの強行突破には驚くが、それは久保さんが今後のカレー界を率いる人物であると見込んだからこそ。「今となれば、貴重な経験でした。オープン前から腹膜炎で倒れるまでの約1年バイトしていた『マルハバ』も高田さんの紹介で入りましたし、人生の要所要所で貴重なアドバイスを下さる方です。その言葉がなかったら、まったく別の方向に進んでいたかもしれないと思いますね」と久保さん。

 

「僕はあまり尖ったカレーは作らないんです。食べやすさ重視」と久保さん。看板の『クボカリープレート』(1500円)は3種のカレーを一度に味わえて、満足感もバツグン

 

弟子の成長と活躍が目下の目標。新たなステージを探る

 

’18年には大名店をオープンし、キッチンを任せられる弟子たちとの出会いにも恵まれた。現在は現場を離れ、客観的に店を見ながらその方向性を探る。「法子さんがここを僕に与えたように、スタッフが経験を積める場所を作りたいと思っています。ウチから育ったスタッフが福岡のカレー文化をさらに盛り上げて、スパイスカレーをさらにメジャーな食べ物になったらいいですね」。

『クボカリー』創業の地である大楠店は、’25年12月末をもってその歴史に幕を下ろす。寂しいけれど、建物の老朽化が理由なので仕方がない、と久保さん。「ここの常連さんのためにも、できるだけ近くでテナントを探しているのですが、なかなか…気長にやります」。数々の出会いに導かれて歩んできた久保さんだから、素敵なテナントと巡り会う日も遠くないはず。新店オープンのニュースが舞い込む日を楽しみに待ちたい。

 

 

今年の12月末をもって閉店する大楠店。元々は『かもめ食堂』の法子さんが飲食業を志す人のためにレンタルしていた空間で、古民家風の設えは法子さんの手作りだそう

 

クボカリー

[所]福岡市南区大楠3-17-10 カシマス6号室

[電]092-983-5314

[営]11:00~OS15:00

[休]水曜

[席]12席

[駐]なし

カード / 不可、PayPay可

[Instagram] @kubocurry_ogusu

 

 

 

 

 


 

🔹🔹続きはデジタルBOOKにて🔹🔹

 

 
   

※Amazonプライム会員なら最新号が無料で読めます!
Kindle Unlimitedにて公開中!
▼▼「今すぐチェックしてみてください!」▼▼
シティ情報ふくおか 2025.8月号

 

バナー広告募集中
SNS運用代行サービス