【パンとワイン】『シェ・サガラ』(久留米市)

『シェ・サガラ』

耳納連山の裾野にのどかな田園風景が広がる、久留米市田主丸町。

そんな穏やかな風景に溶け込むように佇む三角屋根の建物に続々と車が停まり、

買い物袋を片手に人々が中へと入っていく。

そう、こここそが今回ご紹介する『シェ・サガラ』だ。

店内には80種を超えるバラエティ豊富なパンが所狭しと並び、

棚が空いたと思えば次々と焼き上がったパンが並べられ、活気に満ち溢れている。

会計に並ぶ人々はトレイに山盛りにしたパンを携え、

「あのパンが買えてよかったね」とホクホクの笑顔になって帰っていく。

『シェ・サガラ』は、2003年にオーナーシェフの相良一公さんが

地元の田主丸にオープンしたパンと焼き菓子の店。

相良さんは岐阜県・飛騨高山にあるパンと焼き菓子の名店

『トラン・ブルー』などで修行を積み、29歳の時に独立した。

シンプルなバケットや、地元田主丸のフルーツを使ったデニッシュ、

福岡県産小麦を使った食パンなどが話題を集め、今では平日も週末も

関係なくパン好きが全国から訪れる行列のできる人気店となった。

今なお工房でパンを焼き上げる相良シェフに

美味しいパンづくりの秘訣を伺うと

「自分が美味しいと思えるパンを作ることですね」とにっこり。

「特別な材料を使ったり製法を取り入れたりしている訳ではありません。

パンは同じ材料や分量で作っても、

作り手によって全く違うものが出来上がるんですよ。

作り手が抱くイメージを焼き上げて答え合わせすると言いますか、

間違い探しをしながらブラッシュアップして

次の日はもっと美味しいパンを作る。それの繰り返しです」と教えてくれた。

実際に看板商品のクロワッサンとバケットをいただいた。

クロワッサンは「サクサク」と「フワフワ」の“良いとこどり“といった

軽やかな食感で、芳醇なバターの香りが口いっぱいに広がり、

食後にもその余韻に包まれ幸せな気分になれる。

「軽さと旨味のどちらも追求した」というバケットは

もっちりとした食べ応えがありつつも歯切れが良く、

すーっと口の中で溶けていくようだ。

相良シェフは今年3月に、クロワッサンを中心としたパンづくりの研究や

ノウハウをまとめた著書「クロワッサンの発想と組み立て」を出版し、

日々バケットとクロワッサンの出来具合を公開するインスタグラムも更新中。
バゲットとクロワッサンの記録はこちら

「美味しいパンを食べてほしい」ー

その思いでさまざまなチャレンジをする『シェ・サガラ』から目が離せない！

パンとワイン

『巨峰ワイナリー』

豊かな自然に恵まれた田主丸町は、フルーツの産地として全国に名を馳せる。

そしてもう一つ知られているのが、“巨峰発祥の地”であること。

寒暖の差が激しい気象条件はブドウ栽培に最適で、

1957年に日本で初めて巨峰の路地栽培に成功した。

その巨峰を使い、元禄時代から続く田主丸の

若竹屋酒造場・13代目蔵元の林田伝兵衛氏が醸造したのが巨峰ワインだ。

1972年に穏やかな森の中に『巨峰ワイナリー』を創業し、

『巨峰葡萄酒（巨峰ワイン）』をはじめ、

近隣の地域で収穫された果物のフルーツワインを作り出している。

敷地には約1万㎡もの広大なブドウ畑が広がり、

巨峰やワイン用のブドウ、キウイなどのフルーツも栽培されている。

畑に隣接するワインの地下貯蔵庫は自由に見学でき、
ショップやレストラン、バーベキュー広場など設備が
充実しているので観光やレジャー目的で訪れるのも楽しい。

『巨峰ワイナリー』を代表する巨峰ワイン（辛口赤ワイン）をいただいてみた。
広報担当の相良さんによると「日本で生まれた巨峰で作るワインは和食に合いますし、
酸味が少ないのでエスニック系の個性が強い料理との相性もいいんですよ」とのこと。

その言葉通り、酸味や苦味はなくすっきりとした味わいながら、
巨峰のフルーティさを堪能できる。ショップでは試飲もできるので、
ぜひいろいろと飲み比べて自分好みの1本を見つけよう。