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育てる、手間ひまをかける 四季を感じる古民家ライフを提案

明治初期に建てられた旧家の建物をハウスランド社が再生。間取りや構造を活かして現代的にアレンジした「風のくら」では自然と四季を感じる暮らしを体感できる。

古き良きものを残す技術で明治初期の民家を再生

 明治初期の民家を間取りと構造はそのままに、現代のライフスタイルに合うようにリノベーションされた『風のくら』。内外装には無垢の木や西洋漆喰といった自然素材をふんだんに用い、昔ながらの雰囲気を守るために建具や家具、水回り設備なども職人が造作。ステンドグラスやアイアン、タイルなど、アンティークなニュアンスを持つ素材も取り入れて、心和ませる空間をつくりあげている。そもそも木や土といった調湿効果のある素材を使う家づくりは、高温多湿な日本の気候に最適。築100年以上の建築物でも、最先端の断熱材と樹脂サッシを追加することで断熱性能が高まり、一年中快適に暮らせるようになるのだ。

 

エクステリア改造計画が進行四季の移ろいを楽しむ庭づくり

 すべての窓から緑が見えるように設計されているのも『風のくら』の特徴。[ハウスランド社]代表・三上信比古さんは「住まいというものは、建物と庭と自然の調和でなりたっているもの。家の中と外をつなぐ工夫を凝らしたこの場所で、建築家の視点から四季と自然を楽しむライフスタイルを提案したい」と語る。

掘りごたつのある浮造りの杉の板の間。縁台風のテレビボードや飾り棚の造作がしっくり馴染む和の空間

 

アンティークガラスをはめ込んだ引き戸や和室の障子など、建具もすべてオリジナルで造作。丁寧な仕事ぶりに職人技が光る

理想の暮らし方を実践すべく、2022年よりエクステリアの全面リノベーションが進行中。家を囲んでいた和風な生け垣を西洋漆喰の塗り壁に変え、庭の植栽はレンガや古い枕木を並べてイングリッシュガーデンに生まれ変わった。季節ごとに違う風景を楽しめるよう、花壇には四季咲きのバラを中心にクリスマスローズや西洋アジサイを植え、シンボルツリーとして人気のヤマボウシやオリーブ、ジューンベリーといった落葉樹も仲間入り。裏庭には寄植えのハンギングバスケットを飾った天然石のタイルデッキも設えられており、建物をぐるりと巡ると庭のある暮らしのイメージが広がる。

「風のくら」では「花のある生活」を実践するため、四季咲きのバラを中心に宿根草を植え、育てて眺めて楽しめる庭づくりが進行中。季節ごとに彩りを変える景色が暮らしを豊かにしてくれるのを実感。家づくりだけでなく、初心者でも育てやすい草花や建物に合わせた庭づくりまでトータルで提案してもらえる

 

庭で育てて部屋に飾る手間ひまをかける楽しみ

 

『風のくら』では、家の中と外をつなぐあいまいなエリア「土間」のある暮らしを体感できる。通り土間にテラコッタタイルを敷き詰め、玄関ホール兼ラウンジに再生。ゲストとのおしゃべりなどコミュニケーションに使ったり、趣味や創作などのクリエイティブワークに活用したり、ペットがのびのびと過ごせるスペースにしたりと、新たなライフスタイルへの想像もふくらむに違いない。レンガで囲んだ一角にノルウェーのヨツール社製の薪ストーブも設置。冬は暖を取りながら煮炊きに使えるほか、熾き火状態になれば五徳を使ってピザを焼くこともできる。薪割りや手入れの必要もある道具だから、便利さにおいては、スイッチ一つで暖かくなる電化製品と比べようはない。しかし、炎を囲んで癒やされたり楽しんだりする時間こそ豊かといえるのではないだろうか。

三上さんが『風のくら』をつくるにあたって参考にしたのは『武相荘(ぶあいそう)』。国内外の文化に造詣が深く、鋭い審美眼を持つことで知られる白洲次郎・正子夫妻が古い農家を買い取り、手入れして住んだ邸宅だ。シンプルで整ったしつらいや、空間のアクセントとなる季節ごとの小物や草花のあしらいに、その影響が見てとれる。「風のくらに飾ってある草花はすべて庭で摘んできたものです。自然を感じながら手間ひまをかけて楽しむ暮らしを提案したいのです。そして、自然素材で建てた家は時間が経つほど味わいが増し、丁寧につくられたものは陳腐化することがなく、次の世代に受け継ぐ価値があるものになることも知ってほしいのです」。

かつての民家にあった「土間」を現代の暮らしに取り入れLDKに。ラコッタ色のタイルを敷き詰めて煮炊きもできる薪ストーブも設置。オリジナルのモダンな建具も空間に彩りを添える

 

料理をしながら家族と会話が弾むオープンキッチン。広いカウンター付きのキッチンも背面の収納も使い勝手にもこだわって設計したオリジナル造作

建具や欄間の再利用で古い家の思い出と価値を残す

 近年は「両親から受け継いだ家をリノベーションしたい」という相談も増えているとのこと。「LDKだけとか、和室を掘りごたつするといった予算に応じた部分リノベーションもできますし、古い建具や欄間を再利用するアレンジも喜ばれています。女性建築士がキッチンや洗面台、カップボードやテレビ台といった設備や家具の造作にも対応しており、空間のトータルコーディネートも可能です」。古い建物の安全面を適性に診断し、適切に改修できる技術は同社の強み。家の中から外までワンストップで相談できる心強い存在だ。

内壁だけでなく外壁にも西洋漆喰を使用。アルカリ性で調湿や防カビの効果もあるため湿度の高い日本の気候に適しており、経年変化も楽しめる

 

ヨーロッパのホテルの客室のような洋室。天井やモールディング、窓枠、腰壁の色をブルーに塗装し直したことでエレガントさが増した
ブルーのモザイクタイルと鏡がアクセントになった洗面室

古民家再生 住宅展示場 風のくら

[所] 福岡県筑紫野市大字山口2122
[☏]092-922-8771(完全予約制)
[HP]https://h-land.jp

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