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【ふくおかアグリライフ】大地のチカラ「シャインマスカット」

「福岡のうまかもんは旨い農作物から!」

「ふくおかアグリライフ」では福岡の農業にフォーカス

今回は農作物の現場をフカボリする【大地のチカラ】

「シャインマスカット」をピックアップしてお届けします!

 

 

豊かで良質な山水と肥沃な大地、「晴れのまち」と言われるほどの恵まれた日照量。そしてその中で育まれた豊富な種類の野菜や果物やお米。みやま市は旨い農作物の宝庫だ。

今回取材したのは高口 博司さん。13年前にみやま市で初めて苗からシャインマスカットの育成を始めた人物だ。現在71歳。背筋の伸びた若々しい姿勢に実年齢とのギャップを感じる。

 

袋の上から優しく触り、必要であれば中を確認する。たくさんの房をひとつずつ、手と目で状態を確認する高口さん。「シャインマスカットを美味しく美しく育てる秘訣はただ一つ。毎日愛情をもって見ること。小さな変化に気づき、適切な処置を毎日行うことですね」とのこと

 

高口さんのシャインマスカット、毎年接ぎ木をして育てているため、甘さや見た目に大きなブレが出ないのがすごいところ。気候などの環境の変化は、毎日状況を見ながら細かく対応する。「観察力が大事やね」と教えてくれた。

話をしてる最中も、果実に栄養がいきわたるように枯れかけた葉や枝を次々にハサミでカット。葉陰の当たり具合も調整する。少しでも果実が美味しくなるように、こうした細かいことほど手を抜かないのだという。

 

粒の一粒一粒が適度な大きさで連なった房の状態にするためには、余分な粒を取り除いて粒数を調整する「摘粒(てきりゅう)」という作業が必須。大きく育った時の状態をイメージしながら、どの粒をとるべきかを判断しながら行うこの作業は、熟練のカンがものをいう。

 

「もう歳だし、そんなに数は作れないです。その分一つずつ丁寧に手間暇かけて育ててますよ。」と高口さん。機械化やDXが進んでも、やはり大切なのは作り手がどれだけ愛情を注いでいるか。これは老舗農家にも若手農家にとっても共通のテーマだろう。

「今はやり方次第で農業にはいろんなチャンスがあると思います。土地とハウスなど施設ごと貸してくれる農家もいて、新規就農が以前より挑戦しやすくなってる。」とのこと。単価が高くビジネスとしても成立させやすいシャインマスカット農業。まずはその美味しさを味わってみることから始めてはいかがだろうか。

 

 

実にかぶせる袋は白と青の2種を使い分ける。青は遮光率が高いため成熟を遅くし、出荷時期をずらすことができる。旬の時期を調整することで、消費者に長く美味しいシャインマスカットを届けることができるのだ。

 

新たに育ちつつある若い果実。時期的に遅すぎるため、他の果実に養分が行き渡るようこうしたものは早く間引きするそう。高口さんは話ながら常にハサミで不要な実や葉を次々にカットしていく。

 

今月のチカラ人
高口 博司(こうぐち ひろし)さん
1952年生まれ
JA職員、道の駅みやまの駅長、農業大学の講師を経て58歳の時にシャインマスカット専門農家へ。全国での育成解禁時からシャインマスカット一筋。その長年の経験に裏付けされた知見に新規就農者からの相談も絶えない。

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