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【インタビュー】「吉岡里帆さんは大工さんのように男らしい」?…映画『見えない目撃者』吉岡里帆、高杉真宙、森淳一監督を直撃!!

取材・文/福島大祐(編集部)
撮影/山辺学

「見えない」のに「目撃者」。本作『見えない目撃者』の焦点ならびに映画としての妙は、このタイトルがすでに表している。車の接触事故に遭遇した目の見えない元警察官・なつめは、現場で得た情報から誘拐事件への疑いを持ち事件を調査。盲導犬のパル、そして他人に無関心で何事にも低体温な高校生・春馬と共に事件の核心に迫っていく。視力を失っている彼女特有の危機やジレンマを観客は劇中の様々な場面で共有し、また、視力を失っていても決して悪に屈しないタフで勇敢なヒーロー像に胸を打たれる。「見えない」ということが時にはストロングポイントにさえなる展開に思わず膝を打つはずだ。
今回、難役に挑んだ主演の吉岡里帆と高校生・春馬役で福岡出身の高杉真宙、そして森淳一監督に話を聞き、3人から思いっきり攻めた作品を全力で撮り終えた充実感と作品への自信を感じることができた。

 

■主人公の芯の強い部分と吉岡さんの撮影に対する思いが凄く一致した

 

―目が見えない元警察官役を演じるにあたって、吉岡さんはどのようなマインドで撮影に臨みましたか?
吉岡:なつめは目が見えないというハンディを抱えていて、もちろんその葛藤もありつつ、精神的なところでは誰よりも強いんだという、その強さが目の見えない表現の中に織り込んでいけたらいいなと思っていて。心の迷いであったり不安になっていく描写はたくさんあるんですけど、その中でも根っこの部分で強く闘志が燃えている…そういう目の表現ができたらと思っていました。
―実際に目が見えない方々を取材されたそうですね。そのやり取りの中で印象的だったことはありますか?
吉岡:まずは盲導犬と生活されている方の取材で、盲導犬はその方にとって家族でもありますし、友人のような近さもあるんだけど、生活をする上で切っても切れない仲になっていて。劇中のパルとの絆の部分で、ペットのように可愛がったり愛くるしく感じるんじゃなくて、自分の分身のように、自分から絶対離れてほしくないという気持ちとかそういう思いをパルにはできるだけぶつけるようにしました。撮影を重ねていくごとに徐々に絆のようなものが芽生えたんじゃないかと思っています。盲導犬って基本的に人の左側の歩行なんですよ。その気持ちで道を見ていると、左側に自転車やゴミが置いてあったり、花壇が設置してあったり、「これは歩く上で不便にさせているんじゃないのかな」と思うようになりました。あとは、後天性の目の見えない方に取材をさせていただいた際、お話している時にこちらに顔を向けようとしてくださるんですね。監督も演出でおっしゃっていたんですけど、なつめが相手の方に顔を向けて真っすぐ対峙するというのは今回の取材があったからこそのお芝居だったと思います。
―高杉さんが演じた春馬は、いわゆる今どきの若者です。物語の中で人間的に成長していきますが、演じる上ではどんな点を意識しましたか?
高杉:僕も春馬くんには凄くわかる部分があるなと思っていました。偏見かもですけど何事にも諦めがちな若者の象徴として演じていたんですが、そういった子が色んな人に出会って成長していくというのを僕も観たかったので、一気に変わるような感じでなく、徐々に変化していく過程を一緒に観てほしいなと思って演じていました。普通の男の子というのが春馬くんの良いところだと思うし、その感覚だからなつめさんや色んな人に助けてもらって動こうとするというのが僕は素敵だなと感じていましたね。
―相棒役として吉岡さんを近くで見ていて、ハッとした部分はありましたか?
高杉:あの~…吉岡さん、カッコいいんですよ(笑)。別の作品では笑顔が素敵だったり、女性らしかったりするんですけど、今回なつめさんの芯の強い部分と吉岡さんの撮影に対する思いが僕の中で凄く一致していて。一緒に撮影していて凄く楽しかったんですね。吉岡さんの引っ張っていく部分にカッコよさを感じました。撮影に対して「なんでもこい」という、今どきっぽくないですけど、根性みたいなものがある方だなと思っていて。男として僕は「なんでも大丈夫です」というスタンスなんですけど、その雰囲気を吉岡さんにも凄く感じて。
吉岡:ふふふ(笑)。いや、めちゃくちゃ嬉しいです。
高杉:凄く男らしいなと。なんて言うんですかね…大工さんみたいな。
―職人気質のような?
高杉:僕はそういうスタンスが好きなんですよ。女性でもそういったカッコよさを感じました。
―吉岡さんからにじみ出ていたそのカッコよさは、作品に対しての覚悟や強い気持ちが前提にあったからではないでしょうか。
吉岡:今回は主演させていただくということもありましたし、題材も難しかったりで。サスペンス・スリラーをエンターテイメントとして観ていただくことだったり、凄くハードルがたくさんあって、そういった中で一緒にバディを組む高杉さんとのお芝居が一番多かったんですけど、一緒に演じていて「不安だなぁ」「大丈夫かなぁ」と絶対思わせちゃいけないと思っていましたし、今みたいに「楽しかった」と初めて聞いてめっちゃ嬉しかったです。現場に入るまでの不安が人一番大きいタイプで、本当に作品を撮る前は怖いんですよね。クランクイン前もずっと怖いし、「自分にできるのかな」って毎回思いますが、今回そういうところは絶対見せちゃいけないと思っていたので…男らしい部分が前面に出ていたんだと思います(笑)。
―監督にお聞きしたいのは、作品の中では猟奇的でドキッとする描写もストレートに描かれていました。ソフトな表現に抑えなかった理由はなんでしょうか?
森監督:特別な理由はなくて、脚本を映像化する中で、ああいった表現は僕はあった方がより映画が本物になるというか、一つ高いレベルにいけると思ったんです。もちろん、凄惨な表現が不得意な方もいらっしゃると思うし、そのようなシーンがあるから足を運びたくないという方もいるとは思うんですが、表現というものは最近色々と縛られつつあるので、もし許されるならまずは自分がやりたいことに挑戦してみたいと思いました。
―表現に対して嘘がないなと感じました。
森監督:自己満足になっちゃうといけないので、編集時に「こういったシーンが人を不快にさせすぎるなら言ってくださいね」と周囲に伝えていましたね。
―吉岡さん、高杉さんと今回一緒に撮影をして、改めて感じた両者の魅力はありますか?
森監督:まじめで、役と同化することを考えながら2人は演じられているので、それは凄くありがたかったです。スタッフへの気遣いもキチンとされるので、その点でも2カ月間チームとしてスムーズだったので感謝していますね。

―最後に、この作品を通して観客に伝えたいメッセージをお願いします。
高杉:この作品の台本を読ませていただいた時に、凄い作品になりそうだなと思ったんですよ。かなり攻めた作品になっていると僕は思っていて。それは現場にいる時から真剣さだったり一人ひとりの熱量というものから、この作品の出来上がりまでがわかるなと感じて。その熱量が凄く伝わる素敵なエンターテイメントになっていると思うので、本当にたくさんの方に観ていただけたら嬉しいなと思います。
吉岡:私も高杉さんと同じで、お客さんに楽しんでいただくために生まれたサスペンス・スリラーなのかなと感じています。ただグロテスクな映像を見せるのではなく、なにか一つ光になるものを持って帰ってもらえるような、そういうストーリーになっています。改めて「人ってこんなにエネルギーがあるんだ」「人が人を思う力ってこんなに強いんだ」と、愛情の深い部分も描かれていると思いますので、「怖そうだな」ではなくて、「どんな風にサスペンス・スリラーを通して映画を観させてくれるんだろう」という気持ちで観に来ていただいても、ドンとこい!って感じがするぐらい、私は凄く素敵な作品が生まれたと思っています。ぜひ劇場へ来ていただきたいです。

ⓒ 2019「見えない目撃者」フィルムパートナーズ ⓒ MoonWatcher and N.E.W.

■映画『見えない目撃者』 上映中
http://www.mienaimokugekisha.jp/