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【ローカル企業とSDGs】福岡の街と人を愛し、未来へ向けた挑戦を『チョコレートショップ』

チョコレートショップ代表取締役社長

佐野 隆 (Takashi Sano)

1956年生まれ。欧州での修行を経て1990年、2代目オーナーシェフに就任。『博多の石畳』や『ZEROチョコレート』などの看板商品を数多く生み、博多ブランドを全国、世界に発信。生産者や行政にも積極的に協力し、広川町フルーツアンバサダーとしても活躍。

 

安心安全な味の追求と”もったいない”の精神

 

「SDGsという言葉がなかった、創業当時から自然とその意識や取り組みは始まっていたように思います」。”博多のチョコのはじまりどころ”として81年目を迎える『チョコレートショップ』2代目の佐野隆代表は、そう幼い頃を振り返った。

「大戦を挟み、食材不足の時代には抹茶などの身近な食材に目を向けてチョコレートを作り、機械で大量生産された安価な商品が出回った時代でも防腐剤を使わない手作りの味を貫いた——。僕はそんな父の背中を見て育ちました。材料と思いを込めて作ったチョコだから、売れ残っても絶対に捨てない。子どもの頃は残り物のチョコが、毎朝毎晩食卓に上がっていましたね。この精神が息づいているから今の『チョコレートショップ』はあるんです」。

佐野代表が2代目に就任し、まず力を入れたのは、地元食材と人に目を向けることだった。第一に掲げるのは、安心安全な美味しさを届けること。そのためには、身近で採れる新鮮な食材を使いたいと考えたのだ。

 

九州で初となる『コーシャ認定』の取得も検討中。常に挑戦を続ける佐野隆代表

 

 

生産者や地域と繋がり全国、世界へ魅力を発信

 

『博多ハニーレモン』(2,160円)。糸島さんのグリーンレモン果汁とピール、博多区で採取した希少な日本ミツバチのハチミツを使用

 

「海外の食材も素敵ですが、福岡、九州にも素晴らしい食材はたくさんある。16年前に糸島へ移住し、生産者の方との距離がぐんと近づいたことで、思いは一層強くなりました。規格外の農作物も丸ごと買い取って活かし、チョコレートを通して地元食材の魅力を広めたいと、できることを一つずつ行っています。近年、農家は高齢化が進み、跡継ぎ不足や耕作放棄地の増加による生活環境と生態系への悪影響も懸念されています。 地元食材の価値が高まれば、これらの問題の歯止めに一役買えるかもしれません。僕たちが生産者の方や地域を応援しなければ」。

佐野代表の言葉通り、同社はこれまで生産者や地域の子どもたち、学生、行政とも協力して数多くのチョコレート菓子を生み出してきた。太宰府市にある福岡県立福岡農高校の生徒が育てた「太宰府産の梅」を使い、学生と共に製作したトリュフチョコレートもその一つ。佐野代表の娘で3代目の佐野恵美子さんが手がけるフランス・パリの店『LES TROIS CHOCOLATS(レ・トロワ・ショコラ)』でも販売するなど、世界へも地元食材の魅力を発信している。

また、ミツバチの保護活動を行う『NPO法人博多ミツバチプロジェクト』にも賛同し、本 店の屋上と糸島に巣箱を設置。自家養蜂ハチミツと、糸島の生産者から規格外品も含めて買い取ったレモンで作る『博多ハニーレモン』もヒット商品となった。加えて、20数年前から本店で販売している商品『もったいない』にも注目したい。

「僕はロールケーキの端が1番好き。美味しいのに捨てたくないし、お客様にも喜んでもらえたらと切れ端をパック詰めし、サービス価格で店に並べたんです。発売当時は”切れ端を売るなんて”という批判もありましたが、めげずに続けたことでお客様の意識も変わった。今では開店直後に売り切れるほどです」と佐野代表は笑顔に。

 

採れたてのハチミツの香りと味わいに感激し、養蜂への挑戦を始めたそう。本店屋上では、約4万匹のミツバチが元気に活躍している

 

 

未来を見据えた挑戦 チョコの可能性は無限大!

 

『博多ロッシェ』の紙パッケージには、通常処分されるカカオ豆の皮を配合し活用。写真左は本店で人気の『もったいない』(507円)

 

さらに佐野代表は、約6年前からベトナムの農場にてカカオ豆の栽培も行っている。味の探究に加えて環境問題への意識も高まり、これをきっかけに一部商品をサスティナブルなパッケージへと刷新した。今年は国産うるち米と白インゲン豆によって作られた「ボタニミルクチョコパウダー」を使った乳フリー・アニマルフリーなチョコも製作。現在はフェムテックの周知・理解浸透を目指し、女性の健康をケアする”フェムチョコ”の開発も。「常に”ゼロイチ”!可能性をどんどん広げ、チョコレートを通して多様な分野に貢献していきたい」と佐野代表。持続可能な未米への挑戦は、留まるところをしらない。

 

チョコレートショップが目指すSDGs
上記で紹介したフードロス削減や地域貢献に加え、生ゴミを堆肥(コンポスト)に変えて糸島の畑へ還元する取り組みも行う同社。地産地消は持続可能な循環を生む資源利用の形であり、長距離輸送を必要としないことから、ひいては脱炭素への貢献にも。また、同社で活躍するスタッフは8割が女性。労務環境の改善やPMSにも配慮して社内環境を整えるなど、働きやすい職場づくりと人材育成にも努めている。

 

 

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掲載の内容は取材時のものです。取材日と記事公開日は異なる場合があり、メニューや価格、営業時間、定休日など取材時と異なる場合がありますので、事前に公式HPやお問い合わせにてご確認をお願いします。

 

チョコレートショップ 本店

【所】福岡市博多区綱場町3-17
【☎】092-281-1826
https://chocolateshop.jp

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