【ローカル企業とSDGs】多種多様な事業を通して 地域に貢献することが SDGsへの貢献にも繋がる『ユーコーラッキーグループ』

2023年06月05日 公開

創業60周年以降事業の多角化に取り組む

1948年、福岡県久留米市に創業し、九州を中心にパチンコ事業等を展開するユーコーラッキーグループは、今年で75周年を迎える。創業60周年を迎えた2008年、「笑顔と元気の創造」という企業理念を新たに策定。その理念のもと、飲食事業やゴルフ事業、旅館事業、パーソナルトレーニングジムなど、事業の多角化にも積極的に取り組んでいる。

そんな同グループは、SDGsという言葉が生まれる以前の1992年、全国の使用済み遊技機の適正処理と再資源化を行なう『ユーコーリプロ』を設立。業界でも率先し、環境問題や社会問題に取り組んできた歴史があり、このことが同グループの環境意識、社会意識の考え方のベースとなっているという。一方、2018年には、『ユーコースマイルパートナー』を設立。就労支援事業に参画し、福岡県内に2つ、愛知県内に1つの事業所を運営している。

このように、同グループでは、SDGsが注目を集める以前から、SDGsに繋がる多種多様な活動を展開してきたのだ。

コロナ禍をきっかけに社員の意識が変わった！

「SDGsという言葉を盛んに耳にするようになったのは、2018年以降だったかと記憶しています。これまでも、被災地に使節団を派遣するなど、さまざまなCSR活動に取り組んで きましたが、当社は社内外へのアウトプットが弱かったんですよね。そこで、これまでやってきたことをSDGsの17の目標に照合し、明確化を進めました」と、金海社長。2020年から社内での勉強会をスタートさせる予定で準備を進めていたが、新型コロナウイルスの拡大により一時中断を余儀なくされた。

一方、新型コロナウイルスの拡大は、主力事業のパチンコ業界にも大きな影を落とす。営業自粛と業界へのバッシングだ。「パチンコ店でクラスターが発生したという話は聞いたことがありませんが、当時は科学的な根拠が証明されておらず、一部のパチンコ店が営業していたことが、バッシングの対象になってしまったようです。そこで、社長から社員たちに、こんなときだからこそ地域と社会のためにできることをしようというメッセージが発信されました」と、押川さんは当時を振り返る。このことがきっかけで現場から「休業中の店舗の駐車場で献血会や飲食店によるドライブスルーイベントをしたらどうか」という声が挙がり、イベント告知のためにTwitterなどのSNSを使った発信を始めたことが、社員たちの意識を大きく変えたという。「以前は現場の社員たちにとってSDGsやCSRの活動は本部や上層部がやっていることという意識でした。けれど、これらの取り組みがきっかけで、自分たちも地域や社会の役に立てるという意識が生まれ、自分が働いている会社に誇りを持てるようになったんです」。

地域との良好な関係を築きさらなる発展をめざす！

2020年9月、過去最大級の大型台風が九州を襲ったときには、各店舗の立体駐車場を車の避難場所として無料で開放し、テレビや新聞などの取材を受けるなど注目を集めた。以降、この取り組みは業界内へ拡がり、行政との協定を結ぶケースも生まれている。

パチンコ事業をはじめ、多種多様なサービス事業を展開する同グループ。「これらの事業はすべて、地域あっての事業です。地域との良好な関係性を築き、深めていくことが、企業としての発展の礎になると考えています。これからも、このような活動を通して「自分の街にパチンコ店があってよかった」「ユーコーがあってよかった」と感じてもらうとともに、社員にとっても「ユーコーで働いてよかった」と実感してもらえる企業をめざしていきます」。今後のさまざまな取り組みにも注目していきたい。

ユーコーグループが目指すSDGs

SDGsは、社会や地域に貢献するだけでなく、新規ビジネスを考える上での多くのヒントが隠れているとの観点から、同グループにとってSDGsは「企業の持続可能」に繋がるキーワードと捉えているという。就任以降、金海社長は「会社も人も “変わり続けること” が大切」と発信し続けており、SDGsに繋がる活動の提案も増加中。今後は事業を通じてSDGs17の目標をすべて達成することを目指している。