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【福岡イベント】画業30年記念作品展「POP OUT」を開催するジミー大西さんにインタビュー!

画業30年をむかえる画家・ジミー大西の全国巡回展が、4月1日㊏から福岡三越で開催決定。初期の頃から海外移住期、未発表の新作シリーズまで100点以上の作品が展示される。福岡での開幕に先立ち、ジミー大西さんにインタビューしてきました。

取材・文/岩井咲里香(編集部)


—まずは、30周年おめでとうございます。全国での個展が決まった時のお気持ちはいかがでしたか?

ジミー:ありがとうございます。やっぱり、4都市(東京・大阪・名古屋・福岡)は絶対に決めてほしかったので、嬉しかったですね。天神で個展すんのはもう3回目なんですかね。またここでできるのは、やっぱ嬉しいですね。

 

—タイトルの「POP OUT」には、どんな意味が込められているんですか。

ジミー:POP OUTは、「飛び出す」という意味です。絵描きになる最初のきっかけが、岡本太郎先生から手紙をいただいて、「四角い枠に囚われるな、キャンバスをはみだせ」と言ってもらったことなんです。絵を描くにあたっては、どうやってはみだしていこうかと常に考えています。今回は30周年ということで、はみだすだけでなく、飛び出していきたいなと。

 

—そもそも、絵を描き初めたきっかは?

ジミー:最初は、IMALUちゃんが年少の時に、さんまさんのところでお絵描き大会していたら、さんまさんが「なんか変わった絵描くな~!知り合いで絵のオークションやってる人がいるから、オチにはなるけど言うてあげるわ」言うてくれて。で、その絵をたまたま岡本太郎先生が見てくれてて、手紙をもらって…。もうシンデラボーイのようなストーリーなんですね。

 

—本当に、ドラマのようなストーリーですね。小さいころから絵を描くのはお好きだったんですか?

ジミー:上手くもなかったし、そんなに好きでもなかったんですけど、小さい頃に写生大会行った時に、周りのみんなは工場とか家、山、町とか描いていたのに、僕だけ象を描いて。そこにおれへんのに描いたんです。みんなが「また大西ちゃうことやってる」って言ってきたんですけど、先生が「いや、大西くんはこれでいいんです。そっとしておいてください」と言ってくれたんですね。あの時、先生に「何描いてんの」って怒られていたらね、嫌いになっていたかもわからへんけどね。

 

—そう言ってくれる先生の存在は大きかったですね。

ジミー:絵にも人それぞれ個性があるので、自分は自分なりの個性を出しているなって思います。今、吉本の東京本社で作業しているんですけど、そこはもともと学校なんですね。フリーデスクなんですけど、僕がいつも作業するのは体育館の決まった席で。まわりにいる社員さんたちもいい人たちで、その人に手袋を編んであげようという気持ちで、絵に糸を編みこもうと思ったんです(笑)。

 

祭「イヤッ ホイッサー」_2022(福岡展新作)

 

—周りの社員さんも応援してくれているんですね。

ジミー:僕は“天使”と呼んでいるんですけど(笑)。天使に手袋を編んであげようと思ったけど、「ジミーさん、絵の方やってください」って言われて、それなら絵に編んでしまおうと思ってね。

 

—作品ができるまでの裏側、面白すぎます。話は戻りますが、1996年にスペインに行かれましたが、きっかけは?

ジミー:やっぱり、芸能界が陽だとしたら、絵を描くのは陰。自分の中で陰と陽のバランスが取れなくなって、絵に専念しようと思って。さんまさんに「海外に行きたいです」言うたら、「行ったらええがな」って言うてくれて。太郎先生もピカソ好きやったし、自分もピカソ面白いなと思ってたんで、ピカソを追いかけよう思ってスペインに渡ったんです。

 

—ピカソの魅力って、どういうところにあると感じていますか?

ジミー:やっぱり、崩せる勇気。幼少期からずっと天才ですごく上手いのに、それをキュビズムで崩せる。その勇気がやっぱりすごいなと思いますね。

 

—スペインにいた期間はどうでした?

ジミー:夏は21時までずっと明るいので、1日中海で絵描いたりとか、遊んだりとか色々しました。スペインの海は湿気がないんですよ。スペインで印象的やったんは、ラテンなんで、金曜日の晩なったら、わーってみんなでクラブ行って。その日はみんな友達なんやけども、次の日になったら「誰やったっけ?」って言われる。昨日まで仲ようクラブで喋って飲んだりしたのに、いきなり忘れられるとかね(笑)。他にも、額を発注して3日以内に届くよとか言われても、2~3週間かかる。向こうの人は働く意欲があんまりなくて、そういうええ加減なところが自分に合ってたな~。

 

—それから日本に戻って精力的に活動されていましたが、2015年から5年間ほど休筆されました。

ジミー:友達とご飯食べに行った時に、パッて張り紙を見ていたらそこに「深夜アルバイト時給1200円」って書いてあったんですよ。まあまあええな1200円くらいに思ってて。ほんで、食べ終わって家帰って、自分の絵を時給換算したら、時給380円やったんです。それで、もうやってられんって筆を折って。で、5年間後にさんまさんが「ジミー、絵描けへんのか?」って聞いてきて、「時給380円やから辞めました」って言ったんです。そしたら、「我々がいる芸能界もそうやし、お前の絵を待ってる人もおるんやから、そんな時給計算したらあかん。人楽しましてなんぼの世界やと思うで、俺はな」と言われて。それでまた絵描くようになったんですね。やっぱり、さんまさんの哲学がありますね。

 

—やはり、さんまさんが言うことは違いますね。時給換算して380円と仰っていましたが、1作品にどれぐらい時間かかるんですか?

ジミー:この作品だけに3カ月かける。しかも、集中してですよ。まわりに“天使”がおって、3カ月ですよ。1日で軽く12時間は筆持っていますね。これ(祭「イヤッ ホイッサー」)はね、実は一つの色でも何度も塗り重ねているんですよ。例えば、ここは黄色やねんけども、その前にいっぱい違う黄色を重ねていて。大体3~4回上塗りしてんですよ。重ねていく分、色が深くなっていくというか、自分の色になっていくっていうか。

 

—ちなみに、この作品は福岡で初披露だそうですね。

ジミー:僕、実は博多っ子で、じっちゃんばあちゃんが博多の人なんです。お母さんも博多っ子なんで、僕も小っちゃい時よく遊びに来ていました。じっちゃんは祭大好きで、山笠にもよく連れて行ってくれた記憶があったので、今回山笠を描きました。親戚もほぼ福岡なので、お墓参りにとか今でもしょっちゅう来ますよ。

 

—5年の休止期間でご自身の中で何か変化はありましたか?

ジミー:あのまま描いていたら、もう絵が嫌になっていたかもわかんないですけど、気持ち新たに筆を持つと、また新鮮さが出てきて、また絵に没頭するようになってしまって。もし、あのまま描いてたらどうだったかな。

 

—休止中に描きたいなと思うことはあったんですか?

ジミー:全くなかったですね。

 

—作業してる時は辛い時間でもあるということですか?

ジミー:いや、めちゃくちゃ楽しいですよ。ほら、まわりに“天使”がいるから。

 

—“天使”の威力すごい…。これまで絵を描いてきた中で、1番苦労した作品は?

ジミー:やっぱりこの山笠ですね。手、切ってますもん。これね、野球のボールを縫う針で編みこんでいるんで、結構太いんですよ。ほんでここ、手、ビシって切ってしまって…。ほんで、ボンドでやっとくっついてきたんです。

 

—ボンド⁉

ジミー:ボンドですぐくっつくんです。みんな「縫うたら?」って言ってきたけど、僕はボンドで大丈夫やって。

 

—え、本当ですか…⁉そこはお大事にしていただいて…。では、ジミーさんが生きていくうえで大事にしていることは?

ジミー:やっぱり、“恩”。僕って他力本願ですから、さんまさん頼ったりね、人に頼ってばかりなので、恩っていうのをよう返さんけども、それは忘れずに生きていくことですね。

 

—素敵な考え方ですね。それでは、最後に福岡のみなさんへメッセージをお願いします。

ジミー:僕には博多っ子の細胞がありますんで、ぜひとも、手を切って苦労した絵を見に来てほしいですね。

 

PROFILE

ジミー大西/Jimmy Onishi

天然キャラクターから繰り出される衝撃的な笑いを武器に数多くの番組で活躍中。数々の天然エピソードも有名で、一発ギャグも多く持つお笑い芸人。読売テレビの企画「ジミー大西 画壇にデビュー」で絵画を発表し、著名芸術家や専門家からも評価を得る。1993年に初の個展を開き、本格的に画家としての活動を開始。

 

ジミー大西 画業30年記念作品展「POP OUT」

[会期] 4月1日㊏~17日㊊

[時間] 10:00~20:00 ※最終日は18:00まで ※入場は終了の1時間前まで

[会場] 福岡三越 9階「三越ギャラリー」

[料金] 一般 1000 中高生 800 ※小学生以下、未就学児無料

[問合] 福岡三越   ☎ 092-724-3111

 

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