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【インタビュー】Fuku Spo – アビスパ福岡/前嶋洋太

DF 前嶋洋太(背番号29)

人としてもプレイヤーとしても

尊敬される選手になりたい。

 

新体制も発表され、’23シーズンがついに始動。

「リーグ戦8位以上、カップ戦ベスト4以上」という

昨季、一歩及ばなかった目標を達成するためには、

前嶋洋太の右サイドからの攻撃参加が必要不可欠だ。

 

取材・文/岩井咲里香


来季は数字にこだわりたい

 

「GOOOOOAL!!」

 

’22シーズン、ベスト電器スタジアムでのホーム開幕戦(vsジュビロ磐田)。5年周期のジンクスを打ち破りJ1定着を誓ったアビスパ福岡は、果敢にシュートを放ち続けるも、なかなかゴールを割れないでいた。後半16分。ついに沈黙が破られた。待望のシーズン初得点を決めたのは、新戦力として横浜FCから加入した前嶋洋太だった。

 

「もちろん嬉しかったけど、それよりもこの試合に勝たなきゃという気持ちの方が強かった」と、彼は冷静に振り返る。

 

持ち味の攻撃参加を武器に、昨シーズンは23試合に出場。豊富な運動量と手堅い守備が特徴の信用できる男・湯澤選手とのポジション争いがありながらも、17試合でスタメン出場を果たした。

 

「昨シーズンはもう少し試合に出たかったというのが素直な気持ちです。そのために改善すべき課題は多くありますが、特にゴールやアシストなどの数字の部分はもっとこだわらなければならないと考えています」。

 

「チームの雰囲気がいい」。アビスパの選手にチームの様子を尋ねると、みんな口を揃えてこう答える。彼も例外ではなかった。

 

「チームとしては、特に後半戦はなかなか難しいシーズンではありましたが、キャプテン・副キャプテンだけじゃなくて、チーム全体で一緒に這い上がろうと前を向いていて、とてもいい雰囲気でした。本当に仲が良くて、よく喋るし和気あいあいとしています。でも、練習や試合になったらお互いに求めあうこともできますし、いいチームだなと思います。この1年で特にお世話になったのは、志知くんですかね…。被ってはいないけど横浜FCからアビスパというルートが一緒で、美味しいご飯やさんも教えてもらいましたし、同じサイドバックなので、プレーで気になるところは結構聞きに行っていました。あと、渡くんにもよく話を聞いてもらっていました。2人ともいなくなっちゃって寂しいですね…」。

 

 

“負けず嫌い”だから苦しい時期も踏ん張れた

 

ひたすらボールを蹴ることが好きな幼稚園児だった。家でもずっとサッカーボールに触れていた前嶋少年は、幼稚園のクラブに入りサッカーを始める。小学4年で、友人が通っていた横浜FCのスクールへ。小学6年になると、スクールのコーチから「ジュニアユースの試験を受けに行け」と言われるが、中学の部活に入ろうと考えていた彼は断った。すると、「そんな覚悟ならサッカー辞めろ」と怒られたという。これが、彼にとってのターニングポイントとなった。

 

こうしてジュニアユースからユースまで、6年間下部組織で過ごした。

 

「サッカー漬けの毎日で楽しかったですね。トップチームの練習に参加させてもらうことも多かったんですけど、全然ダメで…。“プロ”と隣り合わせの環境でしたが、正直難しいなと感じていました」。

 

高校3年時には、キャプテンも務めたが、プレッシャーは全くなかったという。「キャプテンに任命された時、『お前がキャプテンをやることによって、全員がキャプテンシーを持てる』って言われたんですよね」と苦笑い。自分が引っ張っていくというより、周りを巻き込んでいくタイプのキャプテンだったようだ。

 

’16年、トップチームに昇格。夢は叶ったが、プロの厳しさを目の当たりにすることとなる。昇格後1・2年目はリーグ戦での出場機会を得られなかった。当然焦りもあったが、負けず嫌いな性格もあり、試合に出ている先輩との差を埋めていくことしか頭になかったという。

 

そして、’18年から2年間はJ3のカターレ富山、’20年はJ2の水戸ホーリーホックへレンタル移籍。それぞれのクラブで着々と実戦経験を積んでいった。

 

「それまでは横浜FCしか知らなかったので、移籍で関わる人の数も増え、人間関係について学ぶことは多かったですね。人見知りには辛いこともありましたが、新しい場所では自分から話しかけたりして、徐々に改善されてきたと思います」。

 

3年にわたる武者修行を経て、徐々に手応えを感じていた彼は、’21年に所属元の横浜FC(J1)へ復帰。リーグ戦は26試合に出場し、J1でも戦えるところを見せつけた。

 

横浜FCでは、サッカーをしている人なら誰もが憧れる三浦知良、中村俊輔といったレジェンド選手ともプレー。この2人から学ぶことは多かったという。

 

「2人とも本当に優しいし、存在が大きかったですね。サッカーのことが大好きで、ずっとサッカーのことを考えていましたし、練習に対する準備も抜かりなかったです。あれだけの選手がこんなにやっているんだから、自分はもっとやらなくてはいけないなと感じました」。

 

’22年、約10年在籍していた横浜FCを離れ、アビスパ福岡へ完全移籍。期待の右サイドバックとして、今ではクラブに不可欠な存在となった。

 

そんな彼のサッカー選手としての目標は2つ。1つ目は、日本代表に入ること。「W杯を観ていて、改めてすごい大会だなと。その舞台に立ちたいという気持ちが強くなりました。決勝戦はやっぱり興奮しましたし、激しい試合が好きなのでアルゼンチン対オランダも最高でした」と語る。

 

そして、2つ目は人間としてもプレイヤーとしても尊敬される選手になること。

 

決して口数の多いタイプではないが、偉大なあのレジェンドたちのように、きっと背中で魅せてくれるはずだ。

 

 

プライベートに迫るQ&A

Q.シーズンオフはどこか行きましたか?

A.韓国のソウルに行きました! 横浜FC時代にチームメイトだった先輩が韓国にいるので会いに行ったんです。江南(ルビ:カンナム)とか有名なところを巡りました。

 

Q.福岡で美味しかったご飯は?

A.海鮮系ですかね。アビスパの選手もよく行っている寿司屋がすごく美味しいです。名前はちょっと忘れちゃったんですけど、3号線の…、何もないとこにある…。固有名詞苦手なんですよね…(笑)。あ、あそこもたまに行きます…、長浜市場!

〈PROFILE〉

前嶋洋太

ディフェンダー 背番号29

生年月日 1997年8月12日

身長178㎝ 体重67㎏

出身地 神奈川県

中学時代から6年間、横浜FCの下部組織でプレーし、’16年にトップチームへ昇格。’18年にカターレ富山、’20年に水戸ホーリーホックへ期限付き移籍した後、’21年に所属元へ復帰。’22年、アビスパ福岡へ完全移籍。守備はもちろん、果敢に攻撃参加もできる右サイドバック

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