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【インタビュー】Fuku Spo – アビスパ福岡/田中達也

MF 田中達也(背番号39)

地元のクラブは、やっぱり特別です。

コロナ禍で万全ではない状況の中、「ルヴァン杯ベスト4進出」というクラブの歴史を塗り替える瞬間が訪れた。

これから、勢いにのったチームはどんな戦いを見せてくれるのか。

サポーターの期待は高まるばかりだ。

(取材・文/岩井咲里香)


アビスパ福岡のエンブレムに人一倍重みを感じる男

’22年3月2日。ルヴァン杯グループステージ第2節、ベスト電器スタジアムで行なわれたFC東京戦。決勝点となるゴールを決めた田中達也は、これでもかと左胸のエンブレムを叩いた。その値千金の“おかえり弾”は、クラブ史上初のカップ戦ベスト4進出に大いなる貢献を果たすゴラッソとなった。

 

「近所のお兄ちゃんがやっていたから」という理由で、なんとなく始めたサッカー。小学校高学年になると、プロのサッカー選手になりたいという気持ちが強くなり、アビスパ福岡U-15のセレクションを受験。そして見事に合格を勝ち取ったのだった。

 

プロへの道を順調に進んでいるようにみえたが、現実はそう甘くなかった。今でこそアビスパ福岡に欠かせない存在だが、中学3年生の彼にU-18への切符は渡されなかった。悔しさを胸に秘めながら、強豪・東福岡高校へ進学。がむしゃらにサッカーと向き合った。

 

「ユースに昇格できなくて、反骨心というか、絶対に見返してやるっていう気持ちが強かったですね。東福岡でアビスパのユースとの試合に勝った時は、気持ち良かったのを今でも覚えています」。

 

大学進学時には、「プロになってアビスパからオファーをもらっても断る」という目標のもと、ひたすら前へ進み続けた。そして、ロアッソ熊本、FC岐阜、ガンバ大阪、大分トリニータ、浦和レッズと、様々なクラブを渡り歩き、ついに今年、14年ぶりにアビスパ福岡のエンブレムを背負う。

 

「ユースに上がることができず、恨みすら抱いたチームに、30歳になって戻ってくるなんて、今もまだ不思議な気持ちです」。

 

上位争いと降格争いが激化している今季のJ1。(8月17日)現在、アビスパ福岡は13位。

 

「これからJ1に定着をしていかないといけないチームというところを考えると、一つずつ着実に順位を上げていかなければならないと思います。でも、やっぱりサッカー選手である以上は、ACL出場圏とか高い目標を持って試合に臨みたいですね。チームの特徴として、失点が少ないことは強みではありますが、課題である得点力が伸びていけば、もっと上位で戦えると思っています。やっぱり最後のシュートの質やパスの質を個人個人が上げていくことが必要です。残り10試合を切りましたが、目標として掲げている“J1定着”を果たすため、少しでも上位に行けるよう全力で頑張ります」と、彼の気合いは充分だ。

 

堅守速攻のため、想像以上に求められるハードワーク

巧みなドリブルで左サイドを駆け上がっていく印象が強い田中達也だが、実は“戦術マニア”の異名を持っている。彼から見たアビスパ福岡の戦術とは。

 

「守備の面では、個人個人が戻るところの意識がすごく高いと思います。チームに移籍してきた当初は、“しっかり戻って、しっかりまた前に出ていく”というハードワークを想像以上に求められたので大変でした。だけど、ここまでやれば、これだけ堅い守備ができるんだなって実感しました」。

 

アビスパ福岡といえば、スタッツの中でもボール支配率にこだわらないチームだが、これも戦術に関係するのだろうか。

 

「チームのスタイルとして、しっかり守ってカウンターで攻めるというところを考えると、ボールを支配する時間が長いということは、裏を返せば素早い攻撃で攻めきれてないことになります。支配率が低い試合では、一度の攻撃でシュートまで持っていけて、速攻のスタイルが機能しているんだと思います」。

 

日頃から国内外問わず試合を観ている彼が特に面白いと感じたのは、なんと、お隣・サガン鳥栖の戦術だった。

 

「僕が今までいたチームと似ている戦術で、さらに突き詰められているので面白いですね。ポジショナルプレーが徹底されているチームだなと感じます。」

 

そんな頭脳派な一面は、プライベートの時間にも垣間見えた。「サッカー選手って結構時間があるので、ジャンルを問わず色々な本を読んで勉強しています」と、田中選手。何の本を読んでいるのか詳しく聞こうとすると、「サッカーはもちろん、今後の人生にも役立つような本です」と、少し濁されたような気もするが、読み終わったらInstagramで紹介してくれるそう。楽しみに待っていよう。

 

【プライベートの質問】

Q.オフの日の過ごし方は?

A.カフェに行ったり、子どもと遊んだり。あとは、本を読むことが多いです。

Q.お子さんのこと教えてください。

A.上の子が1歳5カ月、下の子はまだ1カ月で、とても可愛いですね。上の子は女の子だけどすごく元気で、いつも走り回っています(笑)。

 

PROFILE

田中達也

ミッドフィルダー 背番号39

生年月日 1992年6月9日

身長172㎝ 体重68㎏

出身地 福岡県

アビスパ福岡U-15、東福岡高校を経て、’11年に九州産業大学へ進学。在学中からロアッソ熊本の特別指定選手として登録され、卒業と同時に加入。その後、FC岐阜、ガンバ大阪、大分トリニータ、浦和レッズなどを渡り歩き、今年、14年ぶりに福岡へ戻ってきた

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