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【福岡麺本2022 – vol.11】ひたすら一心「呼び戻し」豚骨の“頂き”が見えてきた『拉麺 久留米 本田商店』

『拉麺 久留米 本田商店』店主・本田眞一さん

 

 

豚骨ラーメンを極め
“すべて”を理解したい

 

「究極の豚骨ラーメン職人」。その域に達しようとしている男がいる。『拉麺 久留米 本田商店』店主・本田眞一さん。

故郷である久留米愛に満ち、久留米ラーメンの普及、ブランディングに全国、世界を飛び回って来た本田さんは今、「豚骨ラーメンをより極めんとする」新境地へと入った。「催事や出店を通じて、関東の有名ラーメン店の店主と話をする機会も多いのですが、彼らは料理全般に関して圧倒的知識量を持ち、それをフィードバックして渾身の一杯を作っている。その“職人としての厚み”こそ、これからの豚骨ラーメン界にとって重要課題だと思っています」と本田さん。

 

 

ホンダラーメン1号「純味」(写真は半熟味玉子入り)「ブレンドを繰り返し成熟させ、甘い香りが立つ最高の状態でお出しします」(本田さん)

 

 

豚骨スープはただ炊き込めばいいという訳ではない。特に本田さんがとる手法「呼び戻し」は決まったレシピがなく、営業中も刻一刻と変化するスープをブレンドしていくため各作り手の“見極め”が重要となる。本田さんはその感覚的なものを、自身の経験、化学的な視点からも紐解き、後進に伝えようとしている。「極論、豚骨スープは水、脂、酸素の化学反応。あえて熟成、乳化、酸化をさせることで芳醇な香りを旨味が出ます。仕組みをしっかり理解することで豚骨ラーメンの可能性が広がる」と本田さんは力を込めて話す。

 

釜内で、味わい香りとも最高の状態でブレンドした呼び戻しスープを丼に張る。細かい目の網を通すことで、口当たりがよりなめらかになる。

 

 

骨を足し、煮込めばいい
そんな単純なことではない

 

『本田商店』のスープは、前身店から数え半世紀近く釜を空にすることなく煮込まれている「呼び戻し」スープだ。新店舗の立ち上げやイベント出店時にも、“種(タネ)スープ”を持ち込み育ててきた。「昔は、出来上がったスープが薄ければさらに炊き、濃ければ薄めろ、を私自身も習ってきましたが、そんな単純ではありません。例えば、煮込みすぎると程よいとろみを越え、水と脂が分離して逆にサラリとした状態になってしまいます。熟成、乳化、酸化させていく過程で、より旨味が立ち、食欲をそそる甘い香りが漂うポイントがある。しその刹那を見逃さないのが真の呼び戻し職人ですね」。

 

ホンダラーメン2号「元味」(写真は半熟味玉子入り)「純味」に次ぐ人気メニュー。

 

本田さんはラーメン職人を育成する際、まずは豚骨ラーメン発祥の地“久留米プライド”を浸透させるべく、ラーメンヒストリーや乳化の仕組みなど座学から始める。そして実技では、におい、色合い、ひしゃくですくった時の微妙な比重の違いなど、ベストなスープを五感に徹底的に叩き込む。さらには“魅せる職人”としての所作も重要視。「麺場に立つ作り手も含め店の味です。久留米ラーメンの未来を担う、若い職人たちを育てるのも使命。ラーメン業界、故郷への恩返しです」。

 

“跳ね返る”ようなコシの自家製麺

 

 

久留米プライドを継承
麺場で輝く次世代の職人

 

『本田商店』マネージャーの生田至さんは、本田さんの元で修業し「呼び戻し」の技を習得した一人。これまで、中国上海店、東京池袋店などの麺場に立ち、現在はラーメンスタジアム店をまかされている。「私は北九州出身で地元のラーメン店でアルバイトをした経験もあったのですが、入社してまず、同じ豚骨ラーメンでも何から何まで違うということに驚きました。呼び戻しの技術を身につけることは難しいですが、手塩にかけたスープを目の前で味わってもらえるという職人としての喜び、同時に、正解のない生き物のようなスープゆえ、何年やっても緊張感があります」。

 

 

仲間との絆も大切に ラーメン道をまい進!

 

 

また、中国でも1日に何百杯とこなしていた生田さんは、久留米ラーメンが世界で通用すると確信している。「私たちは各地での催事、麺イベントでも一貫して“久留米プライド”を揚げています。状況を見極めながらまた海外へ。そして外国人のお客様が福岡へ戻ってきた時に胸を張れるように、聖地である久留米ラーメン道を精進していきたいと思っています」と生田さんが話してくれた。

次世代の職人も確実に育ち、豚骨ラーメンのより深みへ。「拉麺 久留米 本田商店」の挑戦はこれからも続く。

 

ホンダラーメン3号(写真は半熟味玉子入り)チャーシューの上にかかった黒マー油、レンゲにのった白マー油が織りなす革新の味わい。ネギの上の赤ダレとともに溶かしながら変化を楽しむ

 

すべての麺メニューのチャーシューを今春、熊本県産の良質な豚バラ肉へ変更し、手切り、切りたてで提供

 

 

 拉麺 久留米 本田商店 久留米本店

[所]福岡県久留米市南3-27-29
[☎]0942-55-4065
[営]11:00~15:00、18:00~OS22:00
[休]なし

 

 拉麺 久留米 本田商店 ラーメンスタジアム店

[所]福岡市博多区住吉1-2-22
キャナルシティ博多センターウォーク5階
[☎]092-263-6171
[営]11:00~OS22:30
[休]なし

 

 拉麺 久留米 本田商店 筑後店

[所]福岡県筑後市羽犬塚175-1
[☎]0942-53-2800
[営]11:00~16:00、17:30~21:00
[休]なし

※掲載の内容は取材時のものです。取材日と記事公開日は異なる場合があり、メニューや価格、営業時間、定休日など取材時と異なる場合がありますので、事前に公式HPやお問い合わせにてご確認をお願いします。
※お出かけの際は、新型コロナウィルス感染拡大防止に十分ご留意ください。

 

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