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【福岡麺本2022 – vol.11】創業50年の老舗 今なお成長を続ける 進化と深化『天龍ラーメン』

糟屋郡志免町『天龍ラーメン』

 

伝統を受け継ぎ、守り、
独自に進み、深める

 

 

ラーメンフリークの間で、いつからか「ドラゴンロード」と呼ばれるようになった県道68号。その愛称は一帯に「龍」と付く名のラーメン店が多かったことに由来する。こちらもその一つで、今年50周年を迎える1972年創業の老舗。当時からパンチの効いた豚骨ラーメンで人気を博していたが、現代では濃厚さに磨きがかかり、旨味が凝縮された唯一無二の味わいとなっている。それは2014年に創業者の祖父から森崎龍之介さんへと代替わりしたのが、同店の歴史を語る上で欠かせないターニングポイントだ。

 

半熟煮玉子入りラーメン 780円 トロッとした黄身の半熟具合も完璧。4月からトッピングに海苔とキクラゲが加わったので、ビジュアルがより華やかになった。スープの表面がきめ細かく泡立っているのは、提供前にひと手間かけて再乳化させているから。食べ終えた後の丼の底には、豚骨の旨味を余すことなく抽出した証でもある骨粉が残る

 

 

まずはスープの仕込みに羽釜を導入し、ゲンコツや頭骨など5種類の骨を配合してバランスを見直した。丁寧な下処理とアク取りで臭みを除いた濃密なスープは、骨を継ぎ足しながら完成させていく“呼び戻し”製法。さらには乳化を進めるために豚足を加えたことで、ゼラチンによる絶妙なとろみも生まれた。ラードや背脂は使用せず、クリーミーなスープの口あたりは滑らかで、純粋な豚骨の旨味だけが余韻として残る。そしてスープだけでなく、麺もどんどん進化していった。2015年に製麺室を設けて自家製麺に切り替えたのを機に、スープとの一体感が増している。麺づくりも試行錯誤を重ね、現在は森崎さん自身も開発に関わった「吟麦」などを使用。小麦本来の甘味や香りを感じさせる極細麺は、従来よりも圧延回数も増やし、一晩寝かせてコシを強化させた。

 

 

熱効率が良く、スープが対流しやすい羽釜を使用。

 

食物繊維・鉄分・ビタミンが豊富な小麦粉「吟麦」、全粒粉、石臼挽きの小麦粉など5種類をブレンドした自家製麺。切刃28番(1.07mm)の極細麺でもプリッと弾むモチモチ食感

 

 

長引くコロナ禍において飲食業界を取り巻く状況は依然厳しく、小麦粉をはじめとする食材費や水道光熱費の高騰が追い打ちをかける。多くの飲食店が値上げを余儀なくされるのも、やむを得ないのかもしれない。「料理のクオリティと雇用を守るため、4月から麺類を50円値上げさせていただきました」と森崎さん。しかし、「単なる値上げでは心苦しいので……」と新たに海苔とキクラゲをトッピングにプラス。力強い豚骨スープと共に、豊かな風味と食感を楽しめるようになった。未曾有のピンチを革新のチャンスと捉えながら、ラーメンの完成度はますます深まっていく。

 

ラーメンとの相性を考慮して、ラーメンの元ダレで味と調えた『チャーハン』(550円)

 

小ぶりで食べやすく、パリッと焼き上げた『一口ギョーザ』(10個500円)

 

 

 天龍ラーメン

[所]糟屋郡志免町南里1-3-31
[☎]092-935-1588
[営]11:30~21:00 ※なくなり次第終了
[休]木曜
[HP]https://www.tenryu-ramen.com/
[Instagram]@tenryu_ramen

※掲載の内容は取材時のものです。取材日と記事公開日は異なる場合があり、メニューや価格、営業時間、定休日など取材時と異なる場合がありますので、事前に公式HPやお問い合わせにてご確認をお願いします。
※お出かけの際は、新型コロナウィルス感染拡大防止に十分ご留意ください。
※この記事は「福岡麺本2022Vol.11」より抜粋して記載しております。

 


 

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