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サケノバ北九州vol.4 老舗を”継ぐ”ということ

変わりゆくまちで、変わらぬ味と佇まいを守るのは、想像するより難しいに違いない。繁盛していても後継者に恵まれず、やむなく閉じていく老舗も多い中、30年、40年と続いている飲食店は、それだけで奇跡で、まちの宝物だ。今回の「サケノバ」は、前号に続き、黒崎のまちを訪れた。創業65年の老舗洋食店「三代目 トラットリア・さぼてん」と、国道3号線沿いの、誰もが気になる「トラ柄暖簾」の店「満平」。変わりゆくまちで、変わらぬまちの居場所を守る、二代目、三代目の物語。

地元の人々に愛される老舗
喫茶店「トラットリア さぼてん」


食べることが好きで、中学生の頃から、料理屋で働いていた濱村さん。18歳の頃に門を叩いたのが、幼い頃、母親と通った憧れの喫茶店「トラットリア さぼてん」だった。そんな濱村さんを受け入れてくれた先代は黒崎のドンの異名を持つ豪快な人。

中学生の頃に父親を亡くした濱村さんにとっては、育ての親とも言える存在だそうだ。黒崎メイトの2Fにある同店は、1954年に、先代の母親が始めたお店。もともと黒崎の駅前にあったが、1979年、黒崎メイトのオープンと共に現在の場所に移転して、今年で創業65年になる。「一時は自分の二人の弟もこの店でお世話になっていました」と濱村さん。務め始めて24年、ここには先代との思い出、兄弟との思い出が詰まっているのだと語る。先代が黒崎にもう一店舗、飲食店を出してからは、店を任せて貰うようになり、昨年の5月に正式に、譲り受けたのだそうだ。

そんな「さぼてん」の人気メニューは、注文が入ってから湯で上げるパスタ。和風、クリーム、トマトをベースにした自家製のソースがおいしいと評判だ。ナポリタンやミートソース、ハンバーグやドリアなど、洋食の定番も昔と変わらない人気メニュー。先代から受け継いだ味を守りつつ、ステーキやパンケーキなど、時代のニーズに合わせたメニューも取り入れている。親子3代で通う人や、週5で通う常連さん、パートさんも10年選手と、まちの人に愛される名店のバトンは重たい。

「先代から学んだことで大切にしていることは、料理や接客よりも、人としての生き方です」。仕事中は厳しい一面もあったが、終われば飲みに連れて行ってくれたり、自宅でごちそうしてくれたり、気っ風のいい人だった。「一緒に働いていた時代は、笑いあり涙ありのドラマみたいな毎日でしたね」と当時を振り返る。

今年の春には2店舗目のバーをオープンする予定の濱村さん。「長く店を続けるのは本当に大変なこと。実のお子さんが居ながら、自分に店を譲ってくれた先代には頭が上がりません」としみじみ語る。今なお同じまちでそれぞれの店を切り盛りする先代の存在が、濱村さんの原動力。少しでも追いつき、いつか超えることができるように、今日も厨房に立ち、フライパンを振る。

三代目trattoria さぼてん

住所:北九州市八幡西区黒崎1-1-201黒崎メイト2F
TEL:093-641-6993
営業時間:11:00~OS17:00
定休日:不定
席数:50席
駐車場:あり

アットホームな雰囲気にほっとする
居酒屋「満平」

黒崎駅から車で1分。3号線沿いに揺れる「トラ柄」の暖簾が目印。上記で紹介した「さぼてん」の濱村さんも通う、居酒屋「満平」は、2代目大将・種田良寛さんと、そのお母さんが営むお店。父である先代が開業し、今年で41年目。大将が継いで十数年になる老舗だ。

「ここは何を食べてもおいしいから、安心して人に紹介できます」と言う濱村さん。お好み焼きや鉄板焼きの他に、串焼きや提げ物、ご飯物まで充実している。何を頼もうか迷っていると、カウンターの常連さんが「刺し身もおいしいよ」と教えてくれた。鉄板を囲みL字に伸びるカウンターは、大将を中心に自然と会話が弾む雰囲気。楽しい様子に思わず笑みがこぼれる。「ザ・下町な感じがいいでしょう」と濱村さんも嬉しそう。

お好み焼きは粉の配合から、串焼きのタレは30年以上継ぎ足しでと、手間暇かけた手作り料理が自慢だそうで、程なくおすすめ3品がカウンターに並んだ。牛乳と生クリームを長時間まぜてつくる濃厚な「嶺岡豆腐」、絶妙な塩梅の「しめサバ」、すり身から手作りの「和風しゅうまい」。どの品も一口食べれば、丁寧な仕込みがわかる繊細な味わい。思わず「おいしい!やさしい味~」と声をあげると「俺の体の成分は90%がやさしさで出来てるからね」とすかさず冗談が返ってくる。

そんな大将を陰でサポートするお母さんの存在も「満平」の居心地の良さの所以だろう。店を継ぐ前は、県外の割烹で板前をしていた大将。幼い頃から店に立つ両親をみて育ち「いつか自分が継ぐんだろう」と漠然と料理の道に進んだと言う。それでも「おいしいもの」のために手間を惜しまない様子を見て「と言いつつ料理がお好きなんですよね」と言うと「どんなにきつくてもこれだけはちゃんとせんと、ダメ人間がもっとダメになるけね」と照れくさそうに笑う。

一品を肴に呑んだ後はシメのお好み焼き。生地の真ん中に卵を割り入れるスタイルが斬新で見ていると「値上げした時に、ただ上げるのは忍びなくてね~」と卵をおまけすることにしたという。なんてほっこりするエピソード!いかに時代が変わろうと、変わらないあったかい人が居る。だからずっと愛され続けるのだろう。妙に納得して、ふわふわのお好み焼を口に運んだ。

鉄板焼 満平

住所:北九州市八幡西区藤田1-1-4
TEL:093-641-6223
営業時間:17:00~23:00
定休日:日曜
席数:30席
駐車場:あり

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