【すてきなリノベのお宅訪問～戸建編】築70年の純和風住宅を和モダンな“森の家”へ『ハウスランド社』

2022年04月11日 公開

すてきなリノベのお宅訪問
ハウスランド社
福岡市早良区［N邸］

３代にわたって歴史をつなぐ
思い出の詰まった住まい

いぶし瓦と漆喰の白い壁が趣深い、和モダンな外観。

一見しただけでは全貌が分からないほどの邸宅には、Ｎさんご一家が親子３世代６人で暮らす。蔵や納屋も構えるこちらの家は、ご主人の祖父の代から約70年間住みつないでいる。「祖父が建てた昭和25（１９５０）年当時は茅葺き屋根の家だったんですよ。それから父、私へと主が代わり、増築や改装を重ねてきました。わが家ながら〝よく住んでいるな〜〞と感心します」とご主人が微笑む。

外観も全面的に改装。屋根は“いぶし瓦”に葺き替え外壁にも白いスペイン漆喰を塗装し、伝統的な雰囲気にモダンな要素を加えた

時間が経つほどに風合いが出る、スペイン漆喰。割れやひび割れも起こりにくい

Ｎさんがリノベーションを考えたキッカケは、瓦の葺き替えだった。屋根は昭和45（１９７０）年に増築をした当時のままで、雨漏りするように。昔の土葺き屋根だったため大規模な修繕を要することも分かった。

そこで「部屋の使い勝手も悪くなってきたし、いっそのこと家全体をやり変えよう」と全面改装を検討。ただし先代から受け継いできた家を取り壊して新築にするのは避けたかったと言うご主人。現状の家を残しつつ改装できないかと調べていた際、目に留まったのが古民家再生を得意とする［ハウスランド社］だった。

リビングは1階部分の天井を取り外し、開放的な吹抜けに。瓦と屋根の下にある野地板の間に断熱材を入れることで、屋根からの熱や寒さを防いで1年中快適に過ごせる

古い梁や柱に新たな杉材が
融合した、温もりの〝森〞

Ｎさん邸は一部を除き居室や玄関、縁側などを全面的にリノベーション。以前は畳敷きの純和風の雰囲気だったが、全面フローリングの和モダンな空間へと一新。１階には吹抜けのＬＤＫが完成し、ロフトや本格的な薪ストーブも備えた。

天井を取り払って吹き抜けにした開放的なリビングダイニング。足元から天井まで木に囲まれた空間はまるで森のように心地よい。ライティングレールで間接照明を取り入れ、温かな雰囲気を演出

歴史を紡いだ梁や大黒柱を生かししつつ、新たな杉の柱や腰板、浮造りの無垢フローリングが加わり、家中が木の温もりに包まれた森のような空間に。「以前に比べると冬は温かく、夏は涼しく過ごせます。特に冬は日中、窓から注ぐ陽の光だけで暖房が要らないほど。壁はスペイン漆喰を塗ってもらったので空気がカラっとして心地よい。気持ち良すぎて、よく暖炉の前で寝落ちしています（笑）」。

キッチンには天井を設ける必要があり、その上のデッドスペースを活用すべくロフトを設置。現在は末っ子である小学1年生の息子さんの遊び場として活用しているが、ゆくゆくは物置として使用するそう

ご主人が熱望したという、アメリカ製の大きな薪ストーブ。周囲の壁にはレンガを取り付けて防火仕様に。薪ストーブ前のソファはご主人の特等席だという