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【Renovation Professional File02】少し先の未来を提示し社会課題を解決するデザイナー「株式会社タムタムデザイン」

株式会社タムタムデザイン
代表・
田村 晟一朗さん

’78年高知県生まれ。建築系専門学校を卒業後、設計事務所やインテリアデザイン会社を経て、34歳で(株)タムタムデザインを設立。”21年、人吉の発船場で『リノベーション・オブ・ザ・イヤー』3回目の総合グランプリを受賞。九州工業大学非常勤講師。

 

 

|2割の既視感を潜ませた新しい世界観が人々を魅了

複数のプロジェクトを同時に進行させている田村さん。現代の時代感から未来をカタチにしていく力に注目が集まっている。「よく言っているのが、既視感を大事にするということ。新しい間取りでも20%くらいの既視感があると、使い勝手も想像できるし、100%新しい世界観だと誰も受け入れてくれない。80%の新しい世界観と、20%の既視感の割合で考えています」。テレビ東京の「ガイアの夜明け」で黒崎・寿通りの商店街再生事業に密着取材され、現在・未来のプロジェクトに注目が集まっている。

 

「ふつうに設計事務所としてやっていこうと思っていたのですが、飯を食っていくためには社会課題を意識しないとダメだなと、ぼんやり思っていたんです。それがちゃんと明文化されたのは、リノベ協議会の出会いが大きいです。九州支部長の松山さんが『僕らが儲かれば、社会が良くなる』と言ったんですよ。それで、面白そうだな、と思って入りました。社会課題に向き合って解決していきながら『自分たちが儲かっていく仕組み』=『社会が良くなっていく仕組み』っていうのが、楽しいなと思って。で。気づいたらこうです(笑)」。

 

 

リノベーション・オブ・ザ・イヤー’21 総合グランプリ受賞

’20年夏の球磨川氾濫により、破壊的な被害に遭った球磨川くだりの発船場をリノベーション。人吉城を踏襲した本瓦の和風建築はそのままに、テラスをつくり、大きな窓からの眺めも素晴らしい。ASTERとの共同作。

 

リノベーション・オブ・ザ・イヤー’21 グリーンtoグリーン賞受賞

築46年、蔦が覆う廃墟寸前の一軒家を改修。依頼主が不動産系Youtuberなので、ワークプレイスも確保。リビングの天井高が最高7.2mと、フルリノベしたビフォーアフターの変貌ぶりには驚きを隠せない。

 

 

|多忙な中での飲食店経営はデータ収集のフィールドワーク

寿通りでラーメン店も始めているそう。「ラーメンは、すべからくみんな入りやすい。しかも商店街に面してカウンターをつくり、完全にオープンにしています。一方で、1棟まるごと借りたビルのバーは、看板も出さず、インスタだけで発信しています。クローズドなバーと、オープンなラーメン屋の両方から、社会の動きを蓄積できるようにしています。それを事業者さんにも還元できるんです。それがうちの強みですね」。松山さん曰く「でざいなーである事業家。ロマンとそろばんの落としどころを計算する。ロマンだけじゃなく、ソリューションも考えている」。

 

「やってみないと分からないこともあります。場所によってはシェアハウスじゃなくてシェアオフィスが良かったり。事業者さんが儲けないと、残すべき建物も残らない。SDGsやサスティナブルと言われていますが、建築の物量ってすごいものがあって、箱自体が生き残らないと中のインテリアも残らない。どんな巨匠が設計しても、使われなくなったら壊されてしまう。その現実を見るのは悲しいですね。デザインで多様性を生み出すことが事業の発展につながると思うので、ご依頼いただける限りは還元していきたいです」。

株式会社タムタムデザイン/tamtamDESIGN Co,Ltd.

[所] 福岡県北九州市小倉北区京町1-4-11 3階

[☏] 093-967-3115

[HP] http://tamtamdesign.net/

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