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【インタビュー】エリック・オー/トンコハウス展「ダム・キーパー」の旅@三菱地所アルティアム

ディズニー/ピクサーの映画『トイ・ストーリー3』(’13)や『モンスターズ・ユニバーシティ』(’13)にアート・ディレクターとして携わった堤大介とロバート・コンドウが設立したアニメーション・スタジオ「トンコハウス」。

三菱地所アルティアムの入口に立つエリックさん

彼らが手掛けた初の短編映画『ダム・キーパー』 (’14) が、いきなりアカデミー賞短編アニメーション部門にノミネートされ、その作品に作画監督として参加、初のシリーズ作品となる『ピッグー丘の上のダム・キーパー』(’17)の監督を務めたエリック・オーが、イムズ8階の三菱地所アルティウムで開催中の『トンコハウス展「ダム・キーパー」の旅』「ようこそ! TONKO TOWN」(イムズ地下2階/入場無料)のオープニング・イベントで来福。制作裏話を聞いちゃいました!

『ダム・キーパー』(’14)

エリックさんは幼少期から漫画やディズニーやスタジオ・ジブリのアニメーションが大好きで、ジーニーの絵など小さい頃から描いていたそう。将来はディズニーで仕事をする!と両親にも宣言していて、大学ではアニメーションや漫画、CGアートのすべての基礎になると思い、美術(=fine arts)を学び、卒業制作で初のアニメーション作品を制作。自分のストーリーを語る方法として、アニメを選んだそう。夢を叶えるためにUCLAの大学院でアニメーション映画を学ぶ。ウォルト・ディズニー・カンパニーの関連会社であるピクサー・アニメーションに入ったのだから、夢を着実に叶えている!

堤大介さんの手による『ダム・キーパー』のアートワーク

エリックさんは2010年にピクサーに入ったことをきっかけに、堤さんとロバートさんに出会う。『モンスターズユニバーシティ』で一緒に仕事をし、堤さんとすっかり仲良くなったエリックさんは、毎週金曜日にお寿司を食べに行っていたそう。そして堤さんに『ダム・キーパー』のプロジェクトにも誘われた。最初は皆、ピクサーで仕事をしながらだったので、昼はピクサーで働き、夜の時間を『ダム・キーパー』のアニメーターとしての時間にあてたとか。寝る時間はあったの?と聞くと、「もちろん!」とニッコリ。

アルティアムの展示では、アニメーション制作チームでイメージを共有するためのマケットも見られる

トンコハウスから初のシリーズである『ピッグー丘の上のダム・キーパー』が、アヌシー国際アニメーション映画祭2018で、クリスタル賞(テレビ部門グランプリ)を受賞。商業作品での初の受賞の喜びを堤さんに一番にLINEで報告!「信じられなかったです!奥さんより堤さんにまず報告したよ!」

作品を作るにあたり大切にしていることを尋ねてみた。
「一番大切なのは物語とアイディアです。絵の美しさや美しい動きも大切ですが、それよりも、物語はハート。パーソナリティも深く反映されます。笑いや涙、考察などを人々に伝えていくので、物語とアイディア、メッセージが一番大切です」とエリックさん。

シリーズを作るにあたっての課題は「堤さんのスタイルで作られた芸術的な『ダム・キーパー』を、今度はエリック・オーのスタイルと合体させつつ、『ダム・キーパー』の核となるものは維持すること」だったそう。
「スタイルもストーリーも絵のタッチが少し違いますから。僕の個性は、シュールレアリズムでユーモアが多く、笑えます。僕の過去の作品を観るとわかるのですが、抽象的で詩的、たくさんのシンボルを取り入れるのが、エリック・オーのスタイルです。あと白黒も好きです。ダイナミックな動きも好きかな。僕はアニメーターだからね。『ダム・キーパー』にセリフがないのが大変じゃないか?とよく聞かれるのですが、僕はミニマリストなので、セリフがない方が好きなんです。父と息子の別れのシーンは、セリフがない方がより感動的だと思うんです。だから作品は“視覚芸術の詩”ですね」。

でも、だからこその利点も。
「セリフがないから、どんな国のどの文化、そして年齢に関係なく、すぐに通じます」。

アルティアムの『ピッグー丘の上のダム・キーパー』の展示エリアに直筆でサイン!

また、トンコハウスの制作、日本、アメリカ、韓国、フランスなど、インターナショナルな人々が関わっているが、グローバル企業であるピクサーの経験から、あまり苦労とは思わないそう。
「ヨーロッパ、ブラジル、中国、韓国、日本と世界各国からやってきていて、基本みんなオープンマインドでお互いを尊敬し合いながら学びながら、いい人たちばかり。絵が上手で情熱的な人たちなんだ! 」とニコニコしながら話してくれた。

三菱地所アルティアムの展覧会では、トンコハウスのオフィスを手作りする過程の映像が流れ、その一角は、トンコハウスを作るのに使ったのと同じ板を持ってきて、オフィスの温かな雰囲気が伝わってくる。

黒い看板の左右に小さくブタとキツネのイラストをその場で描いてくれたエリックさん

かつてバンクーバーのアニメーションスタジオで働いたことがある日本人の来場者に会場で遭遇したエリックさん。共通の知り合いの話で会話が盛り上がってました!

©2017 Tonko House Inc. All Rights Reserved.

トンコハウス展「ダム・キーパー」の旅

開催中〜9月2日(日)10:00〜20:00
※会期中休館日なし
会場 三菱地所アルティアム(イムズ8階)
料金 一般400円 学生300円、高校生以下無料、再入場可

*トンコハウス制作のCGアニメーション『ダム・キーパー』、『ピッグ 丘の上のダム・キーパー』、『ムーム』の他、制作中の長編作品などのアートワークを展示。

 

ようこそ!TONKO TOWN

開催中〜8月31日(金) 10:00〜20:00
会場 イムズ地下2階イムズプラザ
料金 無料

*トンコハウスの街が出現!とってもかわいいTONKO TOWNは撮影可!羊毛フェルトを使ったワークショップ、堤大介監督のトークショーなど、イベントも開催!

詳細はコチラから! http://ims-tenjin.jp

Profile/Erick Oh
韓国ソウル大学の美術学士修了後、UCLAの修士号取得。’10年ピクサー・アニメーション・スタジオに入り『メリダとおそろしの森(BRAVE)』(’12)、『インサイド・ヘッド』(’15)、『ファインディング・ドリー』(’16)にアニメーターとして携わる。アカデミー賞短編アニメーション部門にノミネートされた『ダム・キーパー』の作画監督を務め、『ピッグー丘の上のダム・キーパー』(’17)を監督。

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