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『東京ウィンドオーケストラ』主演・中西美帆さん&坂下雄一郎監督に聞く!!

 「作家主義×俳優発掘」を掲げて立ち上がり、松竹ブロードキャスティングのオリジナル映画プロジェクト第3弾として製作された映画『東京ウィンドオーケストラ』。勘違いをきっかけに有名オーケストラとして屋久島に招待されたアマチュア楽団と、彼らを“本物”として押し通そうとする女性職員のやり取りに思わず笑ってしまう本作について、初主演を務めた中西美帆さんと商業映画で初メガホンをとった坂下雄一郎監督を直撃しました!

-楽団員を演じる10名のキャストはオーディションで選出されたそうですね。皆さん演技経験はバラバラで、ほぼ初心者の方もいらっしゃったと聞いています。

坂下:映画に出たい人を募集して、なるべく人数は多い方がいいということだったので10名で楽器を演奏しようかとなりました。その時からある程度シナリオはできていて、ワークショップで決まった人に当ててキャラクターを描き直すということをしていましたね。

―演技経験がない人たちの配役を決めるのは難しくなかったですか?

坂下:今回は別に演技力は重視していなくて。というのも、最初から10人ひと固まりで移動させるというのは決めていたので、10人いたらどうにかできるだろうという思いはありました(笑)。

-中西さんは仕事に熱心でなく終始笑わない役場職員・樋口を演じましたが、彼女のようなスタンスで働いている人は実は多そうですよね。

中西:もどかしくて、淡々とした日々に対する苛立ちとかはあるんだけど、自分からどうすることもしないというか、できないというか。そういう日々を送っている女性の役で。でも、私もこのオファーをいただいた時は役者として悩んでいた時期だったので、突き抜けられないもどかしさはすごく共感できて、ある意味等身大で演じられたんだと思います。

-今作が初主演ということで、特別な思いはあったのでしょうか?

中西:自分が主演だということは撮影中にそんなに意識していなかったんですね。みんなで一つの作品を作っている、自分はそのメンバーの一人という感じだったんですよ。でも、この作品に出合う前は自分の素に近い役だったり、良い子の役が多かったんですけど、ある意味自分とは真逆なイメージの役を演じることができて、自分にとってはターニングポイントになったなと思っています。元々この作品の樋口は朝ドラのヒロインのようなイメージがあったみたいなんですよ。だけど、本読みを何度かして、監督から普段の私がどちらかというとそういうタイプの人間なので、あまりそれをそのままやっても面白味がないんじゃないかといろいろ考えてくださって。それからああいう淡々とした女性に仕上がっていったんですよね。それは今振り返ってみて良かったなぁと思いました。

-楽団員役の皆さんとの共演はいかがでしたか?

中西:映画の中では樋口と10人の楽団が常に対立する構図じゃないですか。監督からは「楽団員とは仲良くならないでください」と言われていたんですけど、オール屋久島ロケで2週間ずっと一緒に過ごしていたので、どうしても仲良くなってしまって(笑)。でも、合宿のようなすごく和やかな雰囲気だったんですよ。楽団員たちと樋口のかけ合いは見どころの一つかなと思います。

-屋久島ロケの印象は?

坂下:話の半分は室内の話なので「いいのかな?」と思いながら撮りました(笑)。特に屋久島の風景を映してくれと言われているわけでもないので、シナリオに忠実に撮れた点は良かったと思います。スタッフは半分くらいが大学時代に撮っていた友人などで、役者さんもオーディション重視でバリバリの役者さんがきたというわけでもないので、プロばかりのところに放り込まれるよりかはわりとやりやすかったです。

-作品の雰囲気にマッチしたキャスティングですよね。

坂下:そうですね。話を作る段階で“何者でもない人たちがなにかになろうとする話”という方向性にしたら、この企画や我々自体にも重なる部分を感じました。

-撮影の段階でどんな点が本作のハードルだと思っていましたか?

坂下:まず、面白くなるのかなぁと(笑)。お金をもらって公開するわけですから、それに見合ったものにしなければいけない。それと、今回は個人的に王道ではないですけど、パッと聞いただけでなんとなく想像ができるような話を丁寧に撮れたらなと思っていたので、そこは意識していましたね。

中西:映画自体も劇的な変化があるわけではないし、どちらかと言うと日常のおかしみを描いていて、観終わった後にほっこり温かい気持ちになる作品に仕上がっていると思うんです。最初と最後でほぼ同じ屋上のシーンで、「今日もデータの集計。屋久杉になってしまうわ」と言っているんですけど、最後の台本をもらった時に、最初と最後のナレーションは少し変えるイメージで現場に行ったんですけど、監督から「ほぼ同じ感じで」と言われたんです。作品を通して「棒読みで」とか「感情を入れないで」と演出があって、それでできあがった作品を観た時に、本当に最後まで笑っていなくて、ずっと抑えているからこそ最後の鼻歌でワッと爽やかというか、一気に温かい気持ちになるような作品になっているなと思ったので、さすがだなと(笑)。

坂下:他愛のない話なので深く考えずに観ていただけたら嬉しいです。僕も含めてなんですけど、これからいろんな作品に出たいと思っているキャストが集まっているので、もしかしたら今後売れる人も出てくるかもしれない。だから、これを観ていたら自慢になるかもしれないです(笑)。

中西:個人的には寅さんみたいな、ああいう日常を描いたところがこの作品の魅力だと思うので、観る時は肩の力を抜いていただけたら。ただただ楽しめる作品なので、ストーリー自体も良い意味ですごく単純だし、だけど展開が裏切られていくのもこの作品の見どころだと思うんですけど、若い方からご年配の方まで楽しめるようになっているので、ぜひいろんな方に観ていただきたいなと思っています。

■東京ウィンドオーケストラ
/2月4日(土)KBCシネマ1・2にて公開

[’16・日・75分](製)深田誠剛(監)(脚)坂下雄一郎(出)中西美帆/小市慢太郎/松木大輔/星野恵亮/遠藤隆太/及川莉乃/水野小論/嘉瀬興一郎/川瀬絵梨/近藤フク/松本行央/青柳信孝/武田祐一/稲葉年哉

http://tokyowo.jp/

(C) 松竹ブロードキャスティング

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