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【インタビュー】映画『ばぁちゃんロード』篠原哲雄監督

©2018「ばあちゃんロード」製作委員会

教会のバージンロードを、自分を育ててくれたおばあちゃんと歩きたい。
骨折して以来、施設にこもりきりの祖母(草笛)を心配する孫の夏海(文音)には、式も遠慮する祖母を励まそうと、車イスを押すから参加して!とお願いする。祖母のキヨは、車イスなんて…と、孫と一緒に歩けるように、リハビリに精を出しはじめるが、なかなか思うようにはいかず…。

そんな祖母と孫を中心とした家族の映画『ばぁちゃんロード』を監督した篠原哲雄監督。

両親が共働きで祖父母に育てられた人なら共感ポイントがたくさんありそうです…と、久しぶりに福岡にやってきた篠原哲雄監督にそう切り出すと、意外そうな表情。
どちらかと言うと観客の年齢層は高く想定されていたとか。確かに“ばぁちゃん”役の草笛光子さんは、最近出版したフォトブックが、オシャレでカッコイイと大評判で、映画の中でも、気丈だけれどキュートで魅力的な祖母役を演じているから、その年代の人たちにヒットしそう。孫目線、祖母目線、どちらの視点からも共感しながら観られる映画であることは間違いない。さらに介護を受ける側の尊厳やリハビリの難しさなど、色々な要素が含まれていて、それらをとても自然なドラマとして見せてくれているのが篠原監督だ。

—富山県の氷見でロケをされたそうですね。氷見はいかがでしたか?

篠原:いいところでしたね〜。冬は寒ブリ、白エビと、魚介類が有名ですが、氷見牛も美味しかったので、よく食べました! 街の方たちにたくさん協力していただいて、夏海の実家として撮影した家は、実際に人が住んでいたのですが、広い庭をもった大きな家だったので、生活されていても、たくさん部屋があるから全然大丈夫でした。風通しがいい家で、快く貸していただけて。ふつうだったら飾ったり作り込む必要があるのですが、そのままでいい感じでした。家族の方も撮影を見学していて「なんかたくさんお客さんが来てウチを撮影してくれてる」という感じでした。富山のお宅は仏壇がとても立派でしたね。氷見には映画館がないので、関係者試写会は映画館ではないところで上映したのですが、皆さん喜んでいただけました。市長も来ていただいて。

 

—そんな地方の町に住む若者を演じる文音さんと三浦貴大さんは、東京育ちのはずなのに、本当に地方に住む若者のような佇まいでした。

篠原:サラブレットですが、案外素朴な面を持っていたんじゃないですかね? その瞬間に2人が感じるままにまかせていました。三浦くんは『種まく旅人 くにうみの郷』(’15)という映画でも漁師役をやってもらったんですね。今回も漁師役で、実際漁にも出てもらったのですが、なじみやすい人なんだな、と思いました。リアリティを大事にしている役者さんです。文音さんもそうです。彼女は、以前も草笛さんと共演されていたので、祖母と孫の役がとても作りやすかったです。

 

—草笛さんはとてもキュートなおばあちゃん役でした。とても上品だけれど、「こんちくしょう」と思うようにならない心情を表す言葉がぴったりでした。

篠原:あれは草笛さんの著書でも書かれていた言葉なんです。「私は「こんちくしょう」って言葉を使うんですよ」と話されていたので、それを使わせてくださいと最初にお話しさせていただきました。草笛さんは、今回どのシーンにおいても自分の中にセリフが降りて来るような作品でありたいと思ってくれて、自然体なお芝居でした。映画において、衣裳とメイクで変わると仰っていて、リハビリしている時もふつうのおばあさんを演じてくれました。衣装は着てみてご自身が納得される、フィットするものしか選ばない。おそらく女優として、女性として生身の魅力が表れているんだと思います。ご自身は洗練されていて美しいですから。

 

—夏海と大和がイチャイチャしながら画面から消えていくシーンがとてもキュートで印象に残りました。

篠原:あれは引きで撮っていたのですが、画面から消えても、ずーっとカメラを回し続けてたらまた戻ってきたんです。あれは良かったな〜。その時生まれた感情で自然にやってくださいと、2人の自然な動きにまかせていたら、また戻ってきて、カットをかけないからそのまま芝居を続けてくれて、一緒に部屋へ上がっていくところまで撮ってました。本当は1カットで使いたいくらいでしたが、夏海の大事なセリフは彼女のアップにした方が観客にわかりやすいと思い、カット割しました。

 

—爆発があったりとんでもない悪役が登場したり、宇宙から何かが襲来したりもしない、実は難しいタイプの映画なのに、観客の集中力と興味を引き続ける演出力がみごとです。

篠原:俳優さんたちが自然にとけこもうと、なりきろうとしていたからです。草笛さんが「この道」を唄い出すシーンも、カットかけずにいたら、自然と唄い出したんです。それを聞いて、「この道」を主題歌にしていいんじゃないか、と。エンディングでは大貫妙子さんが唄う「この道」を使わせていただきました。

 

—“バージンロード”からの『ばぁちゃんロード』で、テーマ曲が「この道」。完璧な流れですね!

篠原:自然にうまく行くことが多い映画でしたね!

映画『ばぁちゃんロード』は中洲大洋にて5月19日より公開!
http://baachan-road.com/

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