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Fuku Spo – ラグビー/藤田 雄一郎(東福岡高校ラグビー部監督)

東福岡高校ラグビー部監督/藤田 雄一郎

二ュージーランドへの留学でラグビーを楽しむことを学んだ。

 中学生の頃までは野球をしていましたが、ラグビー好きな母の影響もあり、また雪の早明戦を観てラグビーに興味を持ち、ラグビーをするために東福岡高校に進学しました。ラグビーはルールが難しいと言われますが、一度覚えてしまうとそうでもなくて、自由と責任がうまく噛み合っている、すごく魅力的なスポーツだと思います。また、前監督の谷崎先生がとても魅力的な指導者で、楽しくラグビーをさせてもらったことが、その後もラグビーを続けるきっかけとなりました。

 高校卒業後は、福岡大学、JR九州でラグビーを続け、JR九州時代にはニュージーランドへの留学を経験。ニュージーランドに行ったのは、当時のW杯で日本がニュージーランドに17対145で大敗したことがきっかけです。どうしてそんな点差で負けるのか、その理由が知りたくて行ったのですが、そのときに受けたコーチングは、今でも生きていると感じています。

 ラグビーは15人でするスポーツ。球技の中ではいちばん人数が多いのですが、私は究極の個人競技だと思っているんですよね。1番から15番まで、それぞれにやるべき仕事が一緒だったり、全く違ったりするわけですが、一人ひとりが自分の仕事を把握して、15人の集合体として闘っているんですよね。そこで大切になるのが自主性です。留学時代はホームステイをしていましたが、試合から帰ってくると、ホストファミリーは、勝ったか負けたかではなく、その試合を楽しめたかを聞くんです。まずはラグビーを楽しむことの方が大切で、その結果として勝敗があるということを学ばせてもらいました。

 

2連覇をめざし望んだ花園は3位という悔しい結果に!

今シーズンの花園(全国高校ラグビーフットボール大会)は、2連覇を目指して挑みましたが、3位という結果に終わってしまいすごく悔しかったですね。あのチームのメンバーはタレント性も高かったですし、最終的にまとめきれなかったのは自分の責任だと感じています。とはいえ、グラウンドの幅70mを使うラグビーを辞めるつもりはありません。最近は、フォワードに固執して狭いエリアでラグビーをするチームもあるけれど、得点を取りたいんだったら、70mを使うべきだし、1対1の個人的なフィジカルやスピード、判断力をしっかりと育むことが、とても大切だと思いますね。

2019年には日本でワールドカップがありますが、これまで他国であるものだと思っていた大会が日本であるというのは、自分にとってもすごく大きな出来事ですし、チャンスがあれば観に行けるというのは、とてもワクワクしますね。前回大会で日本が南アフリカに勝利したことも含め、予選リーグで3勝して大フィーバーとなりましたが、その次の大会ということで、2019年は日本のラグビー界にとって、大きなインパクトがありますよね。

 

新チームのテーマは「つくりあげる」

昨今の高校生たちは“ゆとり”と言われがちですが、一人ひとりが自分自身のリーダーシップを持っていて、それを表に出すか出さないかの差だと感じています。  花園が終わって、新チームが動き始めていますが、今年のテーマに「つくりあげる」という言葉を掲げました。今はキャプテンと副キャプテンと自分でいろいろ話しながら、チームをつくりあげている状況ですが、私がチームを引っ張りあげて勝つのと、彼ら自身がチームをつくりあげて勝つのは全然違いますし、後者の方が俄然楽しいはずですから。前回大会で優勝し、今年のチームは勝ち方にもこだわって圧倒的に勝つこと、昨年のチームを超えることを目標としていました。勝ち方にこだわり過ぎたことが、結果として3位ということになってしまったのかもしれません。なので新チームはそういった重圧を外してあげて、私たち指導者もチームスタッフもプレイヤーも保護者も、みんなが楽しめるチームでありたいと思いますし、今、そのチームづくりの過程がとても楽しいんですよね。

国内最高峰のラグビーリーグであるトップリーグには、当校の卒業生が36人ほどいます。この春卒業する大学生がトップリーグのチームに加入すると、40人を超えるんですよね。教え子たちが帰省して、自分たちが所属するチームの練習をしてくれるのは、生徒たちにとってもいい経験になっていると思います。

福岡はとても住みやすい街。食事は美味しいし、ラグビーに熱い人が多いですよね。選手たちは試合などでたくさんの人から見てもらうことで成長します。今年もスピードにこだわり、アップテンポでどんどんボールを回すようなラグビーをめざしていきたいと思っていますので、選手たちの活躍を観に、ぜひ試合に足を運んでください。

※シティ情報Fukuoka 2018年3月号本誌掲載

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