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【インタビュー】映画『さよならの朝に約束の花をかざろう』岡田監督、堀川プロデューサー

(C) PROJECT MAQUIA

『劇場版 あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』(’13)、『心が叫びたがってるんだ。』(’15)の脚本を手掛け、叙情的な人気でファンの裾野を広げている岡田麿里さん。ドラマや実写映画など、脚本家として活躍してきた岡田さんの初監督作『さよならの朝に約束の花をかざろう』が公開に!

2月24日の公開を前にした舞台挨拶付上映会のためT・ジョイ博多を訪れていた岡田麿里監督と堀川憲司プロデューサーに、話を聞かせていただきました!

T・ジョイ博多の劇場スタッフ手作りのウエルカムポスターの前で

ちょっぴりシャイで、でも脚本家なだけあり、言葉をじっくり選んでひとつひとつ考えながら答えてくれる岡田監督は、キャリアをスタートさせた頃、実際の画面や奥行きの感覚を掴むために短編を撮ったことはあったけれど、まさか自分が監督をすることになるとは思っていなかったそう。しかし堀川プロデューサーの「いつか岡田さんが100%自分をさらけ出した作品を観てみたい」という言葉をきっかけに、本作を監督するに至ったそう。とは言え、アニメーションは、共同作業なので、キャラクターデザインや、作画監督、アニメーターなど、大勢の人の力を結集して作り上げるもの。

岡田「私100%というものは本来存在しないのですが、さらけ出すことはできるんです。だから自分が100%観たい作品を作ろうと思いました。でも、まだ形にないアイディアを伝えることは大変でした。言葉重ねても伝わらないことはあって、しかもファンタジーという、誰も見たことがなく、私の頭の中にもぼんやりしかない世界。

特に今回、キャラクターの感情表現を、よくある定形のものにはしたくなかったんです。マキアという主人公は、設定的には普通じゃないけれど、自分が今まで書いてきたキャラクターの中ではわりと普通の子なんです。親がいなくてひとりぼっちだけど、ひとりぼっちじゃいたくなくて、エリアルというひとりぼっちの子どもと出会い、この子と一緒にいればひとりぼっちじゃない、この子を守りたいという思いになった。それって美しいことだけど、自分の孤独を埋めたいということでもある。

でもその感情、守りたいものに対して盲目的になるところ、母親でいなければ彼が離れていくのではないか、この関係が壊れてしまうのではないか。だから普通の親子よりももっと必死になっちゃう。自分の役割が決まってないと、この関係もなくなっちゃうんじゃないかという思いは、とても微妙なものです。

人それぞれの考え方、思考のクセみたいなものをもっているキャラクターたちにしたかったのですが、それは共有しづらいところですね。マキアの思考のクセは、こう、エリアルの思考のクセはこう、と掘って行きたかった。そこの情報を共有し合うのは、言葉だけでは難しい部分ですが、そういうことに挑戦できた作品です。

こうなんですって話し合ってわかっていくところもあるので、逆に一つひとつ出来上がってきて自分たちでもようやくわかってくることも。私自身、この子はこういう時にこういう表情をする子、とか、こういう時にこういう仕草をする子、など、仕草込みで感情を伝えて、みんなで話し合ってできあがった映像を観て、あ、そうそう! この子はこういう子! というように、人間ができていく感じを味わえましたし、スタッフの気持ちもだんだんひとつになっていけたと思います。最後は本当に怒濤のように(笑)。それが嬉しくて気持ちよかったですね。

脚本を書き始めてから完成までは、約3年。その間ずっとトップスピードではなかったですけど、やっぱり最後はバタバタでした。そのバタバタになってからの濃度が濃いというか、もう時間がないからとりあえずっていうのではなくて、時間がないけれど、もっと行く!みたいな(笑)。完成形までの一カ月前の追い上げはすさまじく、1カ月前にはほぼ出来上がっていたのに、それからのブラッシュアップがすごかったです。

その状態でも、私は充分グッときていたのですが、『敢えて言うなら』の『敢えて』がすごく多かった(笑)。その『敢えて言うなら…』に応えてくださった皆さんの熱とスピード! 最後まで熱意でつながっていて、初めて監督させていただいた現場がそんなすごい現場で本当に嬉しかったです。スタッフさんの力のお陰です。」

そう語る岡田監督の横で堀川プロデューサーは穏やかに、でもユーモアたっぷりに言葉を繋ぐ。

堀川「本来なら、監督のために現場のムードを作っていくのがプロデューサー仕事ですが、すでに岡田さんと仕事をしてきた人たちだったので、それは自然とできていたので、僕がやる仕事と言えば、スタッフの暴走を止めるくらい(笑)。まあ、まあ、そのくらいでって(笑)。中心になるスタッフたちが、岡田さんと過去に仕事をしてきた人たちで、そのスタッフが監督としてこの人を認めるかどうか、だから。この監督と組んだら、今までに見たことのない面白いものができるかもしれない、という期待値をみんな持っていました。しかも、出来上がった映画が、想像していたよりも良くて、僕はラッキーでした(笑)」。

そんなプロデューサーの心強い言葉に、

岡田「実は今回一番プレッシャーだったのは、関わってくださった皆さんに、関わるんじゃなかったと思われたらどうしようって。実は一番ドキドキしていたこと。うれしい言葉をかけてくださるので、本当に感動し、良かったと思いました」とホッとしたよう。

岡田「メインスタッフの方たちの多くの時間をいただいてしまうので、関わってくださった方たちの何かにならなきゃいけないと。それこそ副監督の篠原俊哉さんなど、ご自身も監督をされているのにかかりきりになっていただいて、この作品が篠原さんの何かにならなければ、と。そういうことを考えることのプレッシャーが大きかったです。こんなに胃にくるんだって発見でした」と笑う。

岡田「スタッフさんにすごく助けていただいて…、“助けていただいた”というのは違うのかな? みんなでつくった、みんなの作品なので、それはいつも脚本をひとりで書いているのとは全然違う喜びがありましたね。現場を意識しすぎてこういうのは難しいだろうなって萎縮しちゃうと、それはまた違うのかもしれないですけれど、脚本自体は映像には叶わない、映像で伝わる情報や感情は、いくらセリフを重ねても叶わないと思っていました。

このキャラクターがこういう感情の時に、こういう空の色だったら、と決めるのは脚本家ではないし、私がなんとなく見たかった映像ってなんとなくなので、実際その”なんとなく”を形にするのって現実に落とす途方もない労力というのは想像できていたので、私は脚本だけ頑張ろうって思っていたんです。

でも今回、監督をやらせていただくことで、このセリフにはこの表情がほしいとか、そういうのを話してアイディアもいただけて、いろんなことが形にできました。セリフもいつもよりシンプルにしました。シンプルに、シンプルに削いでいくと感情の幅ができるんです。ふつうの人に対して、堀川さんはこういう人だと説明したとしても、それは私から見た一面だけで、他の人には別の側面があるように。ああいうのをやってみたかったんです。

観客それぞれの想像の余地がキャラクターにあったとしても、それはキャラがブレているわけでもなく、いくつものそういう一面をもった人物像の構築に挑戦してみたくて、監督をやらせていただけなかったらできなかったんじゃないかな、と思います。」

それこそが、プロデューサーの言う100%だと腑に落ちていく気持ち良さ!
堀川プロデューサーがそれを補完する。

堀川「岡田監督自身を分解していろんなキャラクターに投影させているので、そのキャラクターにも岡田監督らしさというものがあるし、色、形、デザイン,すべてに監督のジャッジが入ってる。だから、トータルとして創り上た世界は岡田監督が作り上げた世界。岡田監督がどういう人なんだろうというのが、いろんな方向から観たら、岡田監督らしさというか、100%になるんじゃないかな、と。今後、岡田麿里という人を研究したい人はこの作品を何度も観てもらればいいかな、と思います(笑)。」

ところで、このタイトルは監督が?

岡田「最初は『マキア』というタイトルだったんですが、『岡田さんと言えば長いタイトルにしてくれ』と、オーダーがありまして(笑)。でも最初に仮で『マキア』というタイトルを付けていたから走り続けられました。マキアとエリアルが中心ですが、群像劇にしたくて、その中のひとりの女のコがマキアで、彼女が別れの一族であるという話をぶらさずに書けました。別れるのが面倒くさい、別れがきついから出会いたくないな、と若い頃に思っていた時期がありまして(笑)。“別れるときはつらいと、わかっていても出会いたい”という気持ちを描きたかったんです。否応なく別れが待っている設定ですが…」

だからこそせつなくて、別れが必然だからこそ美しい世界…! それを彩る世界はあくまでも美しく、時に残酷。でも澄んだ空気の涼やかさまでも伝わってくるような、きれいな世界観。0からそれを作り上げた大勢の人たちのことを考えると、ただ、ただ、脱帽だ。
シャイだけれどチャーミングな監督と、ニコニコ見守ってくれるような穏やかな堀川プロデューサーに、ファンの方への言葉をいただきました!

堀川「自分の大切な人との関係をもう一度考えてみたくなる作品になっています。観終わった後には、そのことについて語り合いたくなるような作品ですので、ぜひそういう人と一緒にご覧になってください。」

岡田「すべてのカットに熱量がある作品で、みんなで話し合いを重ねた作品でもあります。作画監督の石井さんも1つシーンを描くごとに、魂をもってかれるくらい、最後の方のシーンは、『もう今日はこれ以上描けないからと帰ります』とフラフラになりながら帰っていったくらい、キャラクターと一体になって描いてくださっています。この作品をもし皆さんに認めていただけるとしたら、それは今のアニメ業界のスタッフ1人ひとりがすごい力をもっているということです。そんなすごいスタッフの集大成なので、個々のスタッフの技を観ていただけたらと思います。作画とか背景とか、この表情が好きだな、とか、この光が好きだなとか、そういったものがひとつの物語になった映像作品として楽しんでいただけたら。スタッフ一人ひとりが全力を出して出来上がったこの映画の中に、みんなが溶け込んでいる作品です。」

映画『さよならの朝に約束の花をかざろう』
2018年2月24日(土)よりT・ジョイ博多他にて全国ロードショー!

http://sayoasa.jp/

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