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【インタビュー】映画『デメキン』
健太郎×佐田正樹(バッドボーイズ)×山口義高監督

取材・文・写真/本田珠里(編集部)

福岡出身のお笑い芸人、バッドボーイズ・佐田正樹の不良時代を描いたシリーズ累計180万部を誇る人気の実録自伝小説・コミックス『デメキン』が映画化!主演に抜擢されたのは、映画初主演となる人気急上昇中の若手俳優・健太郎。
今回、舞台となった福岡では、全国公開に先駆けて1週間先行上映が行われるということで、キャンペーンで来福した山口義高監督と、原作者の佐田正樹さん、そして健太郎さんを直撃!

ー映画化されると聞いた時は、どんな気持ちでしたか?

佐田:ただただ「う・れ・し・い」の4文字ですね(笑)

 

ー監督が原作を映画化されるに当たって一番気をつけた事は。

山口:やっぱり実在の人物なので、「佐田正樹」に見えないと…と考えた時、じゃあこの総長の役を誰がやれるんだっていう心配も最初はあったんですが、健太郎と出会えて本当に正樹になりきってもらえた、そこが一番ポイントでした。“正樹に負けない正樹”を作りたいなと思って取り組みました。

 

ー健太郎さん、山田裕貴さん共に、とにかく目力がすごく印象的だったんですが、キャスティングの決め手の部分は。

山口:いやもう、その目ですよ。「デメキン」と言われる目であり、強く、そしてセクシーな目が一番のポイントでしたね。

 

ー私もエンドロールが流れる頃には、健太郎さんの大ファンになってしまいました(笑)。(「インタビュー中に女見せんなよー!」と佐田さんからの突っ込みの洗礼も…笑)暴走族仲間も、かなりキャラクターが強くて、キャスティングもストーリーを飽きさせない要因の一つかなと感じたのですが。

佐田:僕も一緒にオーディションに参加させてもらって、最初は「『ビーバップハイスクール』みたいに本物の不良をオーディションしたいです」という提案をしたんですが、配給会社の方から、今のご時世、万が一問題起こすと映画が上映できなくなってしまいます…と言われて、確かになと思いまして(笑)。まーかっちゃん役は、本当に顔が似てたんですよ(笑)。そういったのを監督に伝えながらオーディションしました。

 

ー健太郎さんは今回初の長編映画の初主演、博多弁、暴走族の総長役と挑戦が多かった作品だと思いますが、どういった気持ちで作品に臨まれましたか?また、記憶に残る撮影中のエピソードや、見て欲しいシーンなどあれば。

健太郎:“この作品で主演を初めて演れた”ということが本当にものすごく嬉しくて、もし他の人がやっていたら…って考えたらゾッとするほどイヤですね。撮影中は、とにかくみんなキャラクターの延長線みたいな感じで仲が良かったです。でもそれは、『デメキン』という佐田さんが生きてきた世界を一緒に演っているからこそ、余計に仲良くなれたんじゃないかなと感じたし、そういう意味でも『デメキン』という作品に出会えた事に感謝しています。観て欲しいのは…そうですね、本当に全部好きなシーンなので一秒も見逃して欲しくない映画というか、それくらい僕ら全員が命をかけた作品なんですが、強いて言えば、仲間同士が仲良くしているところですかね。撮影していて僕も楽しかったですし、観ていてもそれが伝わって楽しい気持ちになってもらえるかなと思います。

 

ー博多弁、大変じゃなかったですか?

健太郎:馴染みがない方言だったので、大丈夫かなと思っていたのですが、佐田さんからの不良博多弁講座もありましたし、現場に来てくださったときにも微妙なニュアンスを教えていただいたので、おかげでみんなもいい感じの不良になれたと思います。

 

ーケンカのシーンも多かったですが、佐田さんアクションシーンの指導はされたんですか?

佐田:いやいや全然!アクション指導の方に「どういう喧嘩してましたか?」って聞かれて、「こげんして、こげんして、こげんしました!」(こげん=こんな風に)とは伝えましたけど(笑)。投げるシーンが多く出てくるんですが、先ずは投げて、そこからワーーーッ!みたいな(笑)。特に体育館で喧嘩するシーンなんかは、そういうアドバイスを実際にたくさん入れてくれてましたね。

山口:(佐田さんが)柔道やってたので、そういうところはアクションに取り入れたりしました。華麗なアクションというよりは、生っぽい喧嘩みたいな感じ、割と高校生の身体能力でやってる喧嘩っていうことにシフトして作りましたね。佐田さんがどう動いていたかも聞いてたので、それを取り入れてアクション監督の坂口さんと作り上げていったという感じです。

健太郎:ここまでがっつりのアクションはこの作品が初めてで、アクション練習を撮影に入る前に少しさせて頂いて、本当にもうボロボロで下手くそだったのですが(笑)、なんとか観せられるものにはなったかなと。でも動きが全部バチっと決まった時って、ものすごく気持ちいいので、またやりたいなと思いましたし、楽しかったです。

山口:うまかったですよ。ドロップキックとか、回し蹴りとか。なかなか初めてとは思えない感じでした。

ー佐田さん自身、映画を見てジーンときたシーンは。

佐田:アキが正樹を病院の屋上に呼び出して「こんなことになるなら、引退させとけばよかった〜あああああ!!!(と泣け叫ぶように)」のシーンは、今、言うてるだけで泣きそうになります。わかります?そこ泣くでしょ?わかるでしょ?あと山田裕貴くん演じる厚成が勝手に暴走して、総長になった正樹と対立する場面も目頭熱くなりますね、そこら辺は全部想い出とともにジーンとなります。

 

ー耳に包丁を当てられるシーンがありましたが、本当の出来事なんですか?

佐田:本当ですよ。本当にあったこわ〜い話です(笑)。あの当時は仲間を裏切ることが最低な行為だと思っていたので「仲間裏切るくらいなら、耳一個くらいなくても生活できるやろ」っていう気持ちになっちゃったんですよね。だから本当に何の恐怖心もなかったです。(初代総長の)大八くんが少年院から出てくる前に、拉致監禁っていう罪状で捕まってたって聞いてたんですよ。(以下、超具体的なお話の為、割愛させて頂きます(笑)気になる内容は劇場で確認をm(_ _)m)そんな奴が出てきたって、ブルブル震えてたんですけど、実際に大八くんに捕まって「タバコ(顔で)消せ」って言われた時に、「え、これがあの話に聞いてたやつ?」って思いました(笑)。で、タバコの火を顔で消した後の、耳に包丁なんですが、タバコの時点で僕もイライラスイッチが入ってるんで「なんでこんなヤツに、こんなことさせられないかんのや」って屈辱的な気持ちもあって「耳一個くらい切ってくださいよ、先輩」って感じでした(笑)。

 

ー健太郎さんはそんな総長を演じる上で苦労したシーンはありますか。

健太郎:うーん…苦労っていう言葉が当てはまるところはないのですが、一番スタッフキャスト含め、みんなで頑張ったなっていうシーンは、最後の蝉魔竜との対決で屋上にあがっていくところですね。夕方くらいに入って、朝日をめがけて屋上に上がっていくという撮影だったのですが、そこはやっぱり全員で頑張ったなと。

佐田:監督、朝日をめがけたのには何か意味があったんですか?

山口:やはり最後のシーンになるので開放感があった方がいいなと。全体的に夜の設定が多かったんですが、象徴的に“全てが終わる”っていうところで、朝日の中を帰っていくっていう形にしました。

佐田:最高でしたよね。

山口:映画化する決め手となった事でもあるんですが、やっぱり今の時代を生きていて、なんか息苦しいなっていう感じ、それは誰もが避けられないことだと思うんです。でも「デメキン」の世界には開放感があるなと思ったんですね。あの頃が時代的に一番良かったとは言わないですが、少なくとも自由があったなと。その世界に今の若い役者たちを解き放って「自由にやってくれ」っていうのをやりたかったんです。色々考えずに自由に振舞えたというか、毎日が冒険みたいで、ネットもない、ナビもない、でもそれなりに楽しく生きてた時代の感覚を今味わうのもいいんじゃないかと思ったんです。あと脚本の足立さんと、正樹と厚成の二人の友情がすごくグッとくるんじゃないか、男たちが仲間を守るために闘う友情を今見たいよねという話になって、脚本を作っていきました。

 

ー「暴走族」というと世間では嫌がられている人たちだと思うんですが、健太郎さんは演じてみて、彼らの生き様や仲間たちのことをどう思いますか?

佐田:嫌われてたんすか、僕たち。ショックー(笑)!

(一同爆笑)

健太郎:仲間たちそれぞれが自分の信念を持ってる人たちの集まりで、佐田さんもおっしゃっていたのですが、自分たちの表現の仕方がたまたま喧嘩だったというだけで、普通に部活をやっている子達となんら変わらない気持ちなんです。何かを目指した先が、彼らにとっては“福岡統一”だったっていうだけなんですよね。そういう曲がっていない気持ちを全員が持っているところが、すごく好きです。

佐田:監督も言われていましたが、時代は変わっていくもので、便利になったぶん不便なこともあるんですよね。なんかムカついたことをネットに書き込むことでストレス発散する。そういうものが無かった時代だからこそ、目が合った→ムカついた→ストレス発散どうすんの?→じゃあ殴る→殴られる→ああスッキリした→ラーメン食い行くや?っていう感じだったと思うんですけど、その時代も良かったんですよ。思ったことを文章にせず、感情をそのまま口に出して言い合いしていた時代。今、ネットでやりあいして「やったった!」って考えている子たちがいるならば、そういう時代を見ていただいて、こんな素敵な人生の先輩たちもいたんだよ、じゃあ今後どう生きる?っていうのを感じさせてくれる映画だと思うので、ぜひいろんな年齢層の方に見ていただきたいなと思っています。

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単なる不良映画ではなく、リアルな高校生同士の感情のぶつかり合いや友情など、すべての青春が詰め込まれたストーリー展開に、最後は感動すら覚えてしまう。そんな佐田さんの青春時代を見事に演じきった健太郎さんの迫真の演技は、是非劇場で!

 

<公開中>
映画『デメキン』公式サイト http://demekin-movie.com/

〈STORY〉
幼少期からデメキンと呼ばれ、いじめられていた佐田正樹(健太郎)は、ある日、”強くならなきゃ”と覚悟を決めて拳を握った。いつしか、かつてのいじめっ子集団を返り討ちにするほど腕っぷしが強くなり、喧嘩では敵なしの存在となっていた。赤髪リーゼントがトレードマークの正樹。小学校からの親友・厚成(山田裕貴)と喧嘩やバイクに明け暮れる日々を過ごす。中学卒業後、正樹は高校へ進学し、厚成はラーメン屋で働き始める。環境は変われど人は変わらず、年上の不良に目をつけられてはひたすら喧嘩三昧の日々を過ごしていた。ある日、バイク事故で死んだ憧れの総長・真木(栁俊太郎)のことを思い返していた厚成は正樹に福岡一のチームを作ろうと持ちかける。二人はチーム「亜鳳(あほう)」を結成するが、次々と血気盛んな敵が待ち受けていて…。

©よしもとクリエイティブ・エージェンシー/ワニブックス/秋田書店・ゆうはじめ
©2017映画『デメキン』製作委員会

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