【インタビュー】緑黄色社会「日常的でリアルな感情を歌にできたら」

取材・文/編集部
撮影/占部千尋

’12年に長屋晴子(vo/g)、小林壱誓(g/cho)、peppe(key/cho)、穴見真吾(b/cho)の4人で結成された愛知発の男女混合バンド・緑黄色社会。今年、初となる全国流通盤をリリースしたばかりながら、すでに多くのメディアで取り上げられるなど存在感を増している注目のバンドだ。SNSをきっかけに結成し、今ではお互いのことを「家族のよう」「全部理解できる」と話す彼らにインタビューを敢行した。

(左より)穴見真吾(Ba/Cho)、長屋晴子(Vo/Gt)、peppe(Key/Cho)、小林壱誓(Gt/Cho)

—元々は高校の軽音部がバンドの母体なんですね。
長屋:はい、ベースの真吾は違うんですけど、私と小林とpeppeは高校が一緒で、入学する前からSNSで繋がっていたんです。私は高校に入学する前から軽音部に入るってずっと決めていて、小林も決めていたらしいんです。で、事前にSNSに「○○高校の軽音部に入る」とプロフィールに書いておくんですね。私はそのSNSで小林と繋がっていて、顔もわからないしどんな音楽が好きかも知らないんですけど、「バンド組もうね」って約束していて。それで、入学してpeppeと出会って、peppeは部活悩んでたんですけど、「一緒にバンドやらない?」って言ったらすんなり来てくれて。
peppe:ふふっ(笑)。
長屋:ベースの真吾は小林の幼なじみで、後々加わることになりました。今考えると、凄いバンドの組み方をしたなと。
穴見:なかなかないよね。
長屋:普通は音楽の趣味とか聞いてからだよ。

—最初に音楽の話はしなかったんですか?
長屋:しなかったです(笑)。

 

—それからバンドがスタートして、「やっぱりちょっと違うな」みたいなこともなく?
長屋:それがおかしいということにも気づいてなかったんです。
小林:普通はなんらかの違和感が生じるんだろうけど。みんな聴いていた音楽もバラバラなので、逆にそれを活かそうという発想になって、たとえば真吾はレッチリが好きだったから、じゃあベースでスラップやればいいじゃんとか、peppeはクラシックや洋楽が好きだったのでじゃあそういうフレーズ弾けばいいじゃんと。バラバラのものがグッと集まって新しいものになればいいんじゃないかと思っていました。もう7年目だけど、普通はこんなに続かないよね。
穴見:7年て今考えると凄いね。
小林:「くもん」とか7年も続かなかったもん。
一同:アハハハ(笑)!
長屋:今思うと、私はギターボーカルがやりたくて小林もギターボーカルがやりたかったのに、「バンド組もうよ」って話してて(笑)。
小林:おかしいよね、それがまずね(笑)。
peppe:たしかに…初めて気づいた(笑)。
長屋:なんで嫌だって言わなかったの? 壱誓は。
小林:「俺がどうせボーカルだろう」と思ってた。
長屋:私も「私がボーカルだろう」と思ってた(笑)。
小林:初めて部室で「じゃあ演奏してみよう」となった時に、準備中に彼女の鼻歌が聴こえてきたんですよ。二小節ぐらいのフレーズで「あ、このバンドじゃもうボーカルできないな」と思って。SEKAI NO OWARIの曲を鼻歌で歌ってたと思うんですけど。

—奇跡のような確率で結成されたんですね。
長屋:peppeともよく話すんですけど、本当に運命だったんだと思いますね。

—そして今年、1月に初の全国流通盤である『Nice To Meet You??』を発売されて、これまでにないようなレスポンスが返ってきたんじゃないですか?
長屋:「こんなにも届けられるんだ」という思いがありました。それまでライヴ会場限定で自主制作の音源を3枚出していて、やっぱり自分たちがその土地に行かないと届けられないので。
小林:郵送販売とかもしていたんですけど、全国の店頭に置かれるのは全然違いますね。
長屋:いろんなところから「やっと買えました」って声が聞こえるのが本当に嬉しくて。

—多くのリスナーに届いた実感があって、それを踏まえての最新作『ADORE』だったと思いますが、制作にはどのように入りましたか?
小林:アルバムに向けて「いつもと違うことをしよう」と張り切ったわけではなくて、いつも通りの感覚でできた曲の中から選んでいきました。

長屋:今、できている自分たちの最高のものを常に更新し続けるという気持ちがあって、今回は前回できなかったことを詰め込んでいこうと。

—ストレートに感情を伝える楽曲が多いですよね。作詞を務める長屋さんは何気ない日常の中から素敵な瞬間を切り取るのが得意な方なのかなと思いました。
長屋:それを得意にしているわけではないんですけど、自分の普通の、日常的でリアルな感情を歌にできたら結局それはみんなが感じていることなんじゃないかなと思っていて、本当に自分の思うままを歌えればいいのかなと…。昔はそんなに素直に歌詞を書けるタイプじゃなくて、むしろ自分の気持ちを悟られるのが恥ずかしくって。ぼやかして書いていたんですけど、最近は徐々に気持ちを曲にできるようになってきましたね。

—『恋って』もとても恋愛に対して無垢な気持ちを歌っていて、純粋そのものですよね。そこの視点は恋愛の歌において飛ばして書きそうな気がするんです。改めてその無垢な視点からの感動が伝わってくるなと。
長屋:たしかに、「普通」が好きです。

—メンバーの皆さんも歌詞の変化は感じますか?
小林:感じますね。さっき長屋が言った通り、当初僕らが高校生の時に作っていた曲よりもとてもわかりやすくなっているし、それがわかりやすくしようと思ってわかりやすくしているわけじゃなくて、ただ単に長屋が素直になったんだろうなと。
長屋:人間的に変わりました。元々話せないとか、相談とかもできない自分が好きではなかったんですけど、自分に対しての嫌な気持ちが変えていったのかもしれません。
小林:あとはやっぱり、peppeが書いた曲に長屋が歌詞を乗せるとか、そういうことで普段長屋が書けないような、もっとピュアで女のコらしい映像が書けるようになったんじゃないかな。
peppe:1stの時に『Bitter』という曲があって、それは自分が長屋に歌詞をつけてもらうとかも考えずに作り始めて、完成系としては女性らしい歌詞になって。最初はピアノロック系のカッコいい感じで作っていたんですけど、長屋が歌詞を乗せたらとても良い化学反応が生まれて、私が曲を書いて長屋が歌詞を乗せることにしっくりきたんですね。
長屋:私がpeppeのイメージをガン無視して歌詞を乗せたんです(笑)。
peppe:なので、以降は長屋の歌詞を若干気にしながら、多分良い意味で壊してくれるだろうなという思いで作っていて、『恋って』も私が曲を作ってから長屋に投げて歌詞を入れてもらったら、もう、やっぱり…みたいな(笑)。
小林:この曲に関しては元々仮のタイトルが『クラップ』で、peppeは手を叩いて楽しんでほしい曲だったんですね。そのイメージは残しつつ長屋が歌詞を入れたので、これはね、peppeの意見もちゃんと…(笑)。
peppe:残ってるね(笑)。

—一方、『キラキラ』などはのどかで、NHKの「みんなのうた」で流れていてもおかしくなさそうな曲で。
長屋:あぁ、嬉しい。

—そして最後の『それなり』も、「それなり」ってタイトルをラストにもってくる感性も面白いなと感じたんです。楽曲から「それなりでいいんだよ」というメッセージがとても伝わってきて。
長屋:メンバーにも相談するぐらい、結構タイトルに悩んだんですよ。この曲が一番伝えたいのは「それなり」というワードかなと思ってつけたんですけど。
穴見:サビがそのままタイトルになったね。

—今年に入ってからワンマンでのライヴが増えて、ライヴ活動がだいぶ活発になってきましたよね。
長屋:そうですね、特に今年の夏はフェスにも出られたりして。
穴見:先輩のバンドとやる機会も増えて、刺激が本当に凄いです。バックヤードとかですれ違うだけで、オーラが凄い。これはいろいろ盗んでおかないといけないなと思います。

—人前で演奏する機会が増えたことによる変化はありますか?
小林:それこそ『クラップ』という曲で…『クラップ』じゃないね(笑)。
一同:アハハハ(笑)。
小林:『恋って』とかは手拍子のあおり方とか、「あ、お客さんはこうじゃないとわかりにくいんだな」とか、生のライヴじゃないとわからないことを感じました。お客さんと実際に接してみてわかることはありますね。
peppe:私はライヴを見据えた曲作りばかりで、長屋がライヴで歌っているところを常に頭で妄想しながら作っています。そのイメージ通りにいった時は凄く嬉しいです。『恋って』はそうだね。「しめた!」みたいな(笑)。

—わかりました。最後に身近なものでも結構ですので、皆さんの見つめる次のステップを教えてください。
長屋:まずはやっぱり、年末に控えるワンマンライブ。地元の名古屋を飛び出して東名阪をまわるので、それをどうするか、残りの時間でじっくり考えたいです。ワンマンでしかできないことってたくさんあるなと最近実感していて。自分たちらしさを届けられたらいいなと思っています。
peppe:今回福岡に来られたみたいに、今年はいろんなところに行くことができて、もう、全部行きたいです。九州も、他の県も行きたいし。
長屋:そう! 47都道府県まわりたいと私思ってる。
穴見:まわりたい!
peppe:みんな思ってるよね。絶対やりたいし、とにかくたくさんの人に出会いたいです。
小林:国境も越えたいです。僕も同じですね。各地でいろんな人と触れ合って、ライヴでしか感じられないことをたくさん吸収して成長していけたら。

—最後に穴見さん、いかがですか?
穴見:そうですね…、忘れ物とかなくしたいです。
小林:凄いね、それは次のステップだね(笑)。それは真吾にとってデカいと思う(笑)。
長屋:本当に忘れ物がひどいんですよ、ベースも忘れそうになったり(笑)。
小林:多分真吾が忘れ物をなくすっていうステップは、武道館公演と同じぐらいだと思う。
長屋:そうだね。今日も充電器忘れてケータイの充電1%だからね(笑)。

<Release>
2 nd Mini Album『ADORE』発売中(タワーレコード限定) 1500円+税

緑黄色社会
http://www.ryokushaka.com/