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【インタビュー】クアイフ「世の中に放った瞬間リスナーのものになる。それが僕らのPOPの定義」

取材・文/本田珠里(編集部)
撮影/福島大祐(編集部)

2012年に名古屋で結成、2017年11月満を持してメジャーデビューしたクアイフ。アニメ『いぬやしき』のエンディングテーマとして話題になったデビュー曲『愛を教えてくれた君へ』を含むメジャー1stアルバム『POP is YOURS』のリリースと、全国ツアーを目前に控えたメンバーが来福。現在の心境を直撃してみた。

(左から)三輪幸宏(Dr.)、森彩乃(Vo./Key.)、内田旭彦(Ba./Cho./Prog.)

ーインディーズ時代が5年と割と長いですよね。今回メジャーアルバムをつくるにあたって制作過程での違いは感じましたか?

内田:インディーズ時代は自分たちでアレンジまでやっていましたが、今回は色んなアレンジャーの方に関わってもらいました。ただ結成当初からギターレスのピアノトリオならではのオリジナリティを追求したバンドになりたいという根本的な欲求があるので、アレンジャーの方々もチームとして仲間が増えるという感覚で制作しました。

 

ー外部のアレンジャーの方々と関わって気付かされたこともありましたか?

内田:そうですね。僕はバンドにも演者にも”手グセ”があって、それがバンドらしさだと思ってるんですが、今回色々な意見を頂くことで、新たな手グセを身に付けるいい機会でした。例えば、森(彩乃)はクラシックピアノ出身で、ジャズアプローチが今まで少なかったんですが、1曲目の『Take me out』は、アレンジャーの(渡辺)シュンスケさんの提案でジャズっぽい要素が加わったり。

ーメジャーデビューシングルでもある『愛を教えてくれた君へ』では、死者目線からの歌詞の世界観が独特で斬新でした。森さんと内田さんの共作ですよね。

森:そうですね。1サビの「(自分がいない)今の日々を愛さないで」という部分を内田が書いてきた時に、すごくグサッときたんです。「普通は大切な人に幸せになって欲しいって思うだろうし、それを曲にするんじゃないの?」と一瞬思ったけど、自分がいないのに好きな人が幸せそうに過ごしていたら嫉妬してしまう、そんな感情も共感できるなって。最終的にはやっぱり大切な人には幸せでいて欲しいから「今の日々を愛していて」って、真逆の事も言っているんですが、両方とも本当の感情なんですよね。最後“もう一度君に会いたい”ってメッセージで終わるんですけど、人の感情って一言では表わせないことだらけで普段の環境でも色んな複雑な感情が絡み合って成り立ってるなと気付いたんです。メジャーデビュー曲として、この曲を作り上げた事によって、素直になれない気持ちも歌詞としてメロディに乗せて届けたいなと、そういう感情を掘り下げてくれるきっかけになりました。

《メジャーデビューシングル『愛を教えてくれた君へ』》

ー『さよならライアー』の歌詞は、素直になれない恋愛を描いた、まさにそういう内容ですよね。

内田:『愛を教えてくれた君へ』もですが、結果言いたいことは“もう一度君に会いたい”なんです。『さよならライアー』は、「僕」と「君」がいて、僕は君と一緒にいたい、君も同じ気持ちなのに、お互い嘘をついている。そんな自分たちとさよならして素直になろうっていう内容なんですが、その曖昧な感情を上手く切り取って伝える事ができたかなと。恋愛の歌って、だいたい最終的に言いたいことはどれも似たようなことなんです。でも表現の仕方や描き方がそれぞれ違うから色んな曲になると思うんですよね。

 

ー内田さんが主に作詞作曲されてますが、どうしてこんな女心を書けるんですか(笑)?

内田:僕の場合、男女の違いはもちろんあっても、男性が女性に共感することもあるし逆もしかりだと思っていて、自分が思うこと、感じることを先ず歌にすることを大前提として、その描き方を女性的か男性的かっていう風に考えるんです。女性はこうだろうな…とか想像することもありますが、やっぱりリアルではないので、女性目線でも自分の考えを表現する事を意識しています。

森:私自身、それこそ『さよならライアー』みたいに強がっちゃう部分があるんです。日常の自分が強がりなので、内田がストレートに女心を書いているのを見て、「自分にはこの歌詞書けないかも…」と、ハッとしたりして(笑)。男性の内田が素直になれない私の心を書いてるみたいな感覚というか…そのバランスがすごく面白いですね。内田の歌詞には共感できるし、共感しないとリスナーには届かないと思うんです。実際は私が事実上女子なので(笑)、語尾の感じはこうがいいんじゃない?って話し合うこともあります。

《アルバム収録曲『さよならライアー』》

ー個人的な意見ですが、森さんが作詞している『ワタシフルデイズ』は、逆に男らしく感じたんですが…(笑)。

森:テーマが”戦い”で、革命を起こそうっていう内容だったので意識して書いたんですけど、でも、そうですね…確かに内田よりも私の方が言葉が強いかもしれないです(笑)。

 

ー実際、メンバー的にはどう思いますか?

三輪:まあ、一番パワフルですよね(笑)。

森:でも、それが強がりだったりするときもあるんだよ(笑)!

 

ー今回の作品ではポップさがパワーアップして、日本語のストレートな歌詞が、森さんのヴォーカルによって更に引き立っているなと思いました。インディーズ時代から成長したと感じる事や、今からクアイフを聴く人に、こういうところを聞いて欲しいなというところはありますか?

内田:歌詞の部分で言うと、結成から6年の間に音楽業界も配信が多くなって、CDも全体的に売れなくなってきている変化を感じながら、日本語で歌う以上、“言葉”は大事にしたいなって思ったんです。今どれだけの人が歌詞カードを見ているかといえば、自分も含めて、そんなに多くはないな…と。でも歌詞を武器にするなら、街中で流れているのを聴いたときに、歌詞カードがなくても曲のストーリーがちゃんと入るような言葉にする事が大事だと思っているので、そんな言葉を考えながら制作しています。それはインディーズのときから明らかに変わったところであり聴いて欲しい部分です。

ー6月限定でcross fmでクアイフのラジオ番組も始まるとのこと。福岡でももっと多くの人にクワイフの音が届きそうですね。

三輪:福岡はここ最近、来る頻度というか密度がすごくて(笑)より距離が近づいている気がしますね。

 

ー福岡と言えば、森さんはとにかくラーメン好きいうことで、ツイッターを見たら、昨日福岡に来てすでに2杯食べた形跡がありましたが(笑)。

森:(前のめり気味で)そうなんです!ピアノは4歳から始めたんですが、ラーメンは言葉を覚えたくらいのレベルのころから大好きすぎて「ラーメン食べたい〜!」って泣いてたってエピソードがあるくらい歴が長くて、ラーメン愛はブレないんですよ〜(笑)!音楽活動ももちろんですが、自分的にはラーメン活動も使命だと思ってるんです。福岡にくる機会も増えたので、いつも滞在中に何店舗かは行きたいと思って地元の方にオススメを聞いて食べに行きます(笑)。

 

ー毎回メンバーの皆さんも付き合ってるんですか?

三輪:はい。ラーメン好きだから大丈夫なんですけどね(笑)。

内田:うん、全然いいんだけど、普通一人で1日2杯は食べないよね…。

 

ーあと、森さんは黒夢の清春さんの大ファンとのこと。一瞬見た目からは想像つかなくて意外だなと思いました。

森:清春さんは私の初期衝動です(笑)!ほんっとうに好きなんです!

 

ーその頃に出会っていたら音楽性も変わってたかもしれないですね(笑)。

三輪:そうですね〜(笑)!

 

ーそれぞれ影響を受けた音楽の趣向も結構違っていて、三輪さんは以前ラウドロックバンドで活動されていたとか。

森:そうなんです。同じ趣向の人たちが集まるバンドもありますが、私たちはルーツが全然違っていて、最初スタジオに一緒に入った時に個性が出て面白いな、この3人でどんな音楽ができるんだろうってところから始まりましたね。

 

ーそんなメンバーで作り上げたのがポップミュージックというのも興味深いですね。ルーツの違う3人だからこそ、ライヴで観るとまた違って見えるのかなと期待してしまうのですが。

内田:今回の『POP is YOURS』ってタイトルにも意味を込めているんですが、僕たちはポップの定義は何だろうって考えた時、ジャンルではなく自分たちの音楽を世の中に放った瞬間、その作品がリスナーのものになるという関係性と捉えているんです。ライヴでは、それをさらに体感できるかなと思います。

ーなるほど~。ますますツアーが楽しみです!では最後に福岡のファン、そしてこれからクアイフの音楽を耳にする方に一言!

内田:(しみじみと)めちゃくちゃ福岡好きなんですよ、僕。何がそんなに好きなのかなって昨日の夜考えてたんですけど、人の温かさや空の広さ、店の雰囲気とか色んな意味で開放的なイメージで、とにかく好きなんです。だから福岡のみなさんにも僕らのことを大好きになって欲しいです!

森:両思いになりたいんだね(笑)!

内田:そう!

三輪:僕も負けずに福岡大好きですよ(笑)!今回のアルバムはワクワクしたり共感したり、何かを感じ取ってもらえるような作品になったと思うし、ライヴでは、それをさらに体感できると思うので是非見に来てください!

森:私たちは音楽を届ける側ですが、みんなと同じ感覚なんです。職業が違う友達と話していても、それぞれ環境や人間関係などの悩みとか葛藤は共通する部分があるなと思うし。だからそういう気持ちを曲やステージを通して伝えたいし、聞いてくださる方の深いところに届く自信もあるので、アルバムはもちろん、ライヴはより生モノなので一緒に体感してもらえたらいいなと思っています!

リリース情報

メジャー1stアルバム『POP is YOURS』
2018年6月6日発売

通常盤

初回生産限定盤(CD+DVD)3300円
通常盤(CD)2800円

ライヴ情報

クアイフ Tour“LIVE is YOURS”
2018年6月30日(土)18:00開演
会場 graf(福岡市中央区天神3-4-19-B1F)
出演 クアイフ、東京カランコロン、ЯeaL
料金 3000円(ドリンク代別)
チケットぴあ (Pコード:116-450)、ローソンチケット (Lコード:81689)、eプラス
問合せ:BEA 092-712-4221 (平日11:00〜18:00/第2,4土曜11:00〜15:00)

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